講義内容詳細:フランスの文化と社会Ⅰ/フランスの文化と社会Ⅰ(再)

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年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) フランスの文化と社会Ⅰ/フランスの文化と社会Ⅰ(再)
英文科目名/Course Title (English) French Culture and Society Ⅰ
学期/Semester 前期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 露崎 俊和
英文氏名/Instructor (English) TSUYUZAKI Toshikazu

講義概要/Course description
ユーラシア大陸西端に位置するフランスは、周囲を英仏海峡、ピレネー山脈、地中海、アルプス山脈、ジュラ山脈、ライン川に囲まれ、周辺国から地理的に隔離された一つの統合的空間を保証されているかに見えるが、実際は、その広大な空間の内部には多様な地形と風土があり、多彩な地域文化が存在する。また、フランスは欧州列強国の一員として、16世紀以来世界進出を繰り返し、中東、マグレブ、西アフリカ、インド洋、インドシナ、西インド諸島、南太平洋、北アメリカなどの各地において、植民地を経営し、また現地主権国家を属領として支配してきた過去をもつ。第二次大戦後に独立した諸国家もあれば、フランスの海外領土としてフランス共和国の成員としてとどまっている地域もある。独立した国々との間にも旧宗主国としていまだに深い関係を保っている。
中世以来西欧キリスト教国家の主要な一員として発展してきたフランスは、現代においては多様な移民文化を受け入れ、世俗性を政治・社会的な原理として、文化の融合を是認し、多民族国家としての姿を見せはじめている。寛容が 求められ、叫ばれてはいるが、軋轢も存在する。
フランスという一つの「国」を多元的構築体として捉えるために:
前期は、フランスにおける諸地域の風土と文化を概観し、植民地主義の歴史と遺産(正の遺産と負の遺産)を検討する。さらに、フランスが革命を経て君主制から共和制へと移行していく近代国家成立の過程を、文化史的視点と連動させながら概観する。
後期は、現代フランスにおける社会問題から芸術、文学、芸能、スポーツまで幅広くその特質を考察する。
達成目標/Course objectives
フランスについてはいい加減で、薄っぺらなイメージが世間には蔓延しているかに見えます。そのような浅薄なフランス像から脱却し、フランス語やフランス文学を学んでいく上で、必要かつ有用な知識、フランスという国について知っておくべき「リアルな」常識を身につけることがこの授業の目的です。
フランスの社会と文化とが抱える様々な問題を、連続するものと対立・変化するものという二つの軸に沿って、必要に応じて歴史を遡って検証しつつ、フランスの社会と文化に固有のダイナミズムとは何かを考察します。最終的には、全体的な展望のなかで、「フランス的な生き方、感じ方、考え方」を、いわば文化的精神特性とでもいうべきものとして捉えることをめざします。

履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
授業をよく理解し、自分なりのフランス像を得ようとするならば、フランスの社会情勢を伝える報道に接することや、文学作品、造形美術、映画、写真、音楽などに積極的に触れてみることが推奨されます。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 序論:フランス、「国家」と「国土」【初回から対面授業】
2
授業計画/Class 地域と文化(1):アルプス、プロヴァンス
3
授業計画/Class 地域と文化(2):ラングドック、ピレネ
4
授業計画/Class 地域と文化(3):ブルターニュ、ノルマンディー
5
授業計画/Class 地域と文化(4):ブルターニュ、ノルマンディー
6
授業計画/Class 地域と文化(5):ピカルディー、アルザス
7
授業計画/Class 地域と文化(6):ローヌ渓谷とイール・ド・フランス
8
授業計画/Class 地域と文化(7):首都パリの過去と現在
9
授業計画/Class 地域と文化(8):旧植民地と海外領土
10
授業計画/Class 植民地問題:植民地帝国の時代
11
授業計画/Class 植民地主義の遺産:移民社会、移民文化の軋轢
12
授業計画/Class 旧体制下のフランス:封建社会から絶対王政へ
13
授業計画/Class 革命・国民国家・共和制:フランス大革命から第三共和制成立まで(1)
14
授業計画/Class 革命・国民国家・共和制:フランス大革命から第三共和制成立まで(2)
15
授業計画/Class 授業総括
レポート課題の説明と指導
 
事前学習/Preparation 配布資料に目を通し、各回の授業の要点を自分なりに把握しておく。
事後学習/Reviewing 授業のな内容、問題点を整理し、コメントペーパーを提出する。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
補足事項/Supplementary notes対面授業(通常型)で実施します。
配布資料に基づき、映像資料なども参考にしつつ、講義形式で進める。コースパワーによる、コメントペーパーの提出なども求める。
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 平常点 In-class Points 50% 二度の平常試験を基本に、コメント・ペーパーの実績を加味する。
2 レポート Report 50% 課題レポートは、授業に関連した書籍を参考にし、自分なりの関心に即して、選択したテーマを一定分量内で論じる。