講義内容詳細:日本文学演習Ⅰ[1]

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年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) 日本文学演習Ⅰ[1]
英文科目名/Course Title (English) Seminar in Japanese Literature Ⅰ [1]
学期/Semester 前期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 小松 靖彦
英文氏名/Instructor (English) KOMATSU Yasuhiko

講義概要/Course description
詩を読む(基礎編)
 この演習では、詩(古典詩歌・近代詩)を読むための基礎的トレーニングを行う。古典(『萬葉集』)と近代(戦争の時代と関わる詩)、ことばと文字の間を往還しながら、〈日本文学〉についての理解を深める。
 なお、この演習では、これまで、Ⅰ書物(書物としての姿)、Ⅱ萬葉集(日本詩の出発点)、Ⅲ文学交流(海外の文学との比較研究。また、戦争という視点)という3つの視点を重視している。

 具体的には、以下のように授業を進める。

⑴〈詩の分析法〉を用いて戦争の時代と関わる近代詩を読む【戦争という危機的状況の中での〈ことば〉を考える】
⑵〈古典詩歌の分析法〉を用いて『萬葉集』の長歌(『萬葉集』の特徴を示す詩形)を読む【初源の詩の〈ことば〉の可能性を考える】
⑶  文字の視覚的印象や配置を工夫した造形的・視覚的な詩(古典〈散らし書き〉・近代)を読む【文字の造形性、美術・音楽としての詩を考える】

この基礎的トレーニングの中で、自分自身の研究テーマの発見をめざす。

*受講者は、⑴~⑶のトピックどれか一つについて、1回研究発表を行う(登録時点で、⑴~⑶の全てに関心を持っていなくともよい)。
達成目標/Course objectives
1.詩の読み方の基礎を身に付ける。
2.古典詩歌と近代詩の両方についての読解力・分析力を高める。
3.〈日本文学〉とは何かを考える力を身に付ける。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class イントロダクション【オンライン授業(オンデマンド型)での実施】
2
授業計画/Class 〈詩の分析法〉の解説と前期授業計画の立案
3
授業計画/Class 〈古典詩歌の分析法〉の解説
4
授業計画/Class ⑴ 戦争の時代と関わる近代詩を読む(1)【受講者による発表①】
5
授業計画/Class ⑴ 戦争の時代と関わる近代詩を読む(2)【受講者による発表②】
6
授業計画/Class ⑴ 戦争の時代と関わる近代詩を読む(3)【受講者による発表③】
7
授業計画/Class ⑴ 戦争の時代と関わる近代詩を読む(4)【受講者による発表④】
8
授業計画/Class ⑵ 『萬葉集』の長歌を読む(1)【受講者による発表⑤】
9
授業計画/Class ⑵ 『萬葉集』の長歌を読む(2)【受講者による発表⑥】
10
授業計画/Class ⑵ 『萬葉集』の長歌を読む(3)【受講者による発表⑦】
11
授業計画/Class 〈造形的な文字の詩の分析法〉の解説
12
授業計画/Class ⑵ 『萬葉集』の長歌を読む(4)【受講者による発表⑨】
13
授業計画/Class ⑶ 造形的な文字の詩を読む(1)散らし書き【受講者による発表⑩】
14
授業計画/Class ⑶ 造形的な文字の詩を読む(2)近代詩【受講者による発表⑪】
15
授業計画/Class ⑶ 造形的な文字の詩を読む(3)近代詩【受講者による発表⑫】
 
事前学習/Preparation 【講義の回】
・資料教材を読み、興味を覚えた点と疑問点をノートしておく。
・資料教材に示された詩を読み、気づいた点をノートしておく。
【受講者による発表の回】
・授業で扱う詩について、〈詩の分析法〉〈古典詩歌の分析法〉〈造形的な文字の詩分析法〉を用いて、自分なりに読解をしておく。
・予め発表資料を読み、興味を覚えた点と疑問点を明確にしておく。
事後学習/Reviewing 【講義の回】
・出された課題の回答をコースパワーに入力する。
・講義を聞いて、さらに調べたいと思った点を自分で調べる。
【受講者による発表の回】
・発表に対するコメント(感想・質問・アドバイス)をコースパワーに入力する。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method ハイブリッド型ハイフレックス形式 / hybrid high flex
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 平常点 In-class Points 30% 授業への積極的参加。事前学習・事後学習。他の受講生の発表の時も、自分なりに調査・研究を進める。
2 レポート Report 30% 授業の課題への回答によって評価する。
3 試験 Exam 40% 学期末に、研究発表中の、自分自身の考察をさらに深めたレポートを提出する。自分自身の研究テーマが十分に深められているかを評価の基準とする。
課題(試験やレポート等)に対するフィードバックの方法/Feedback methods for assignments (exams, reports, etc.)
毎回の課題回答からピックアップしてまとめ、TAのアドバイス、担当教員のコメントを記した資料教材をコースパワーにアップする。
教科書/Textbooks
 著者名
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タイトル
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出版社
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出版年
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ISBN価格
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1 小川靖彦 万葉集 隠された歴史のメッセージ(角川選書) KADOKAWA 2010 9784047034709 1600(本体) 電子版でも可。アマゾンに中古本あり。
参考書/Reference books
 著者名
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タイトル
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出版社
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出版年
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ISBN価格
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1 小松靖彦著 戦争下の文学者たち―『萬葉集』と生きた歌人・詩人・小説家 花鳥社 2021.11 9784909832467 3200円+税 蔵書情報 / Library information
2 小海永二編 現代詩(鑑賞 日本現代文学 第31巻) 角川書店 1982.5 4045808310 2300円 蔵書情報 / Library information
メッセージ/Message
 この演習では、古典と近代を往還します。古典詩歌を学ぶことで近代詩の見方も深まります。また、近代詩を知ることで古典詩歌の特徴を発見することができます。文学におけることばと文字の関係、絵画性・音楽性についても学び、文学を芸術として捉える目を養います。
 この演習では、大学の日本文学科で、自分自身で研究を進めてゆく基礎的力を身に付けてもらいます。その研究の核心にあるのは、自分自身の問題関心です。前期はそれぞれの問題関心を明確にすることをめざします。
キーワード/Keywords
    萬葉集     近代詩     戦争     文学交流         造形的な詩