講義内容詳細:中国文学・思想演習Ⅱ

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年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) 中国文学・思想演習Ⅱ
英文科目名/Course Title (English) Seminar in Chinese Literature and Thought Ⅱ
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 髙田 宗平
英文氏名/Instructor (English) TAKADA Sohei

講義概要/Course description
 本授業では『山海経』を講読します。『山海経』は撰者・成立年代などの定説が見られず、春秋・戦国時代から前漢にかけて、複数の撰者によって段階的に記され、形成されたものと見られています。『山海経』は、地理的な情報の他、動物・植物・鉱物の医薬的な効能や呪術的な用法、奇怪な動物や神の祭祀・儀礼方法などが記されており、地理書、博物志、異物志、祭祀・儀礼書、占術書、医薬書などの性格を有した複合的な内容です。このような世界観から方士・道士の道教的世界観に通ずるものと考えられます。中国では、複数の注釈が撰されました。東晋の郭璞『山海経注』は最古の注釈として権威を有し広く読まれました。清代になると呉任臣『山海経広注』、畢沅『山海経新校正』、郝懿行『山海経箋疏』(清代の諸注釈で最も詳細な内容)など、考証学者が注釈を撰しました。現代には、袁珂『山海経校注』、欒保群『山海経詳注』などが撰されました。一方、日本では、『山海経』は、平安時代、9世紀後半頃に成立していた『日本国見在書目録』に著録され、宇多天皇の治世には、既に伝来していました。室町時代の康正度(年号を決める討議の場)では年号を決める際の一つの年号候補の出典となり(しかし、今まで『山海経』を出典とする年号は採用されていません)、江戸時代には刊行されました。また、多くの日本文学作品に引用されました。このように『山海経』は、中国のみならず、日本でも広く受容され、日本文学・文化とも無縁な文献ではありません。本講義では、『山海経』の最古の版本である中国国家図書館所蔵の南宋淳煕七年(1180)刊本の影印本を底本とし、明成化刊本(影印本)、郝懿行『山海経箋疏』、袁珂『山海経校注』、欒保群『山海経詳注』などを参考にして、文字の異同を確認し、諸注釈の校勘に着目し講読していきます。
 本授業では、南宋版を底本として、漢文訓読により講読し、明版や諸注釈と比較し、諸注釈における校勘を確認し、古典文献学、版本学、校勘学の基礎的方法の習得を目的としています。更には、日本において『山海経』が受容された意味も考えてみたいと思います。
 受講生に皆さんに、担当箇所を割り振り、原文、書き下し文、現代語訳、校異(文字の異同)、引用の出典、語釈などを記したレジュメを作成し、発表してもらい、皆さんにコメントを求め、議論してもらいます。また、『山海経』は、奇怪な動物や神の形状についても記述されていることがありますので、その場合については、読解に基づき、絵を描いて説明してもらいます。
達成目標/Course objectives
1.漢文訓読に親しむ。
2.原文を書き下し文、現代語訳にすることができる。
3.影印本に親しむ。
4.注釈に親しむ。
5.古典文献学・版本学の方法がわかる。
6.校勘学の方法がわかる。
7.『山海経』が日本で受容された意味がわかる。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
 漢和辞典(紙媒体)の携帯を必須とします。授業中に漢和辞典(紙媒体)で漢字を調べてもらいます。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class ガイダンス、『山海経』概説(1)
【初回はオンライン授業(オンデマンド型)】
事前学習/Preparation シラバスを読んでおいてください。
事後学習/Reviewing 授業の復習(テキストを読み直し、授業内容を確認しておく)
2
授業計画/Class 『山海経』概説(2)、古典文献学・版本学と校勘学の概説
事前学習/Preparation 授業の予習(担当者はレジュメを作成し発表の準備をしておく。担当者以外はテキストを読み、コメントや議論ができるようにしておく)
事後学習/Reviewing 授業の復習(テキストを読み直し、授業内容を確認しておく)
3
授業計画/Class 山海経序 講読(1)
事前学習/Preparation 授業の予習(担当者はレジュメを作成し発表の準備をしておく。担当者以外はテキストを読み、コメントや議論ができるようにしておく)
事後学習/Reviewing 授業の復習(テキストを読み直し、授業内容を確認しておく)
4
授業計画/Class 山海経序 講読(2)
事前学習/Preparation 授業の予習(担当者はレジュメを作成し発表の準備をしておく。担当者以外はテキストを読み、コメントや議論ができるようにしておく)
事後学習/Reviewing 授業の復習(テキストを読み直し、授業内容を確認しておく)
5
授業計画/Class 序目 講読
事前学習/Preparation 授業の予習(担当者はレジュメを作成し発表の準備をしておく。担当者以外はテキストを読み、コメントや議論ができるようにしておく)
事後学習/Reviewing 授業の復習(テキストを読み直し、授業内容を確認しておく)
6
授業計画/Class 南山経 講読(1)
事前学習/Preparation 授業の予習(担当者はレジュメを作成し発表の準備をしておく。担当者以外はテキストを読み、コメントや議論ができるようにしておく)
事後学習/Reviewing 授業の復習(テキストを読み直し、授業内容を確認しておく)
7
授業計画/Class 南山経 講読(2)
事前学習/Preparation 授業の予習(担当者はレジュメを作成し発表の準備をしておく。担当者以外はテキストを読み、コメントや議論ができるようにしておく)
事後学習/Reviewing 授業の復習(テキストを読み直し、授業内容を確認しておく)
8
授業計画/Class 南山経 講読(3)
事前学習/Preparation 授業の予習(担当者はレジュメを作成し発表の準備をしておく。担当者以外はテキストを読み、コメントや議論ができるようにしておく)
事後学習/Reviewing 授業の復習(テキストを読み直し、授業内容を確認しておく)
9
授業計画/Class 南山経 講読(4)
事前学習/Preparation 授業の予習(担当者はレジュメを作成し発表の準備をしておく。担当者以外はテキストを読み、コメントや議論ができるようにしておく)
事後学習/Reviewing 授業の復習(テキストを読み直し、授業内容を確認しておく)
10
授業計画/Class 南山経 講読(5)
事前学習/Preparation 授業の予習(担当者はレジュメを作成し発表の準備をしておく。担当者以外はテキストを読み、コメントや議論ができるようにしておく)
事後学習/Reviewing 授業の復習(テキストを読み直し、授業内容を確認しておく)
11
授業計画/Class 南山経 講読(6)
事前学習/Preparation 授業の予習(担当者はレジュメを作成し発表の準備をしておく。担当者以外はテキストを読み、コメントや議論ができるようにしておく)
事後学習/Reviewing 授業の復習(テキストを読み直し、授業内容を確認しておく)
12
授業計画/Class 南山経 講読(7)
事前学習/Preparation 授業の予習(担当者はレジュメを作成し発表の準備をしておく。担当者以外はテキストを読み、コメントや議論ができるようにしておく)
事後学習/Reviewing 授業の復習(テキストを読み直し、授業内容を確認しておく)
13
授業計画/Class 南山経 講読(8)
事前学習/Preparation 授業の予習(担当者はレジュメを作成し発表の準備をしておく。担当者以外はテキストを読み、コメントや議論ができるようにしておく)
事後学習/Reviewing 授業の復習(テキストを読み直し、授業内容を確認しておく)
14
授業計画/Class 南山経 講読(9)
事前学習/Preparation 授業の予習(担当者はレジュメを作成し発表の準備をしておく。担当者以外はテキストを読み、コメントや議論ができるようにしておく)
事後学習/Reviewing 授業の復習(テキストを読み直し、授業内容を確認しておく)
15
授業計画/Class 総括・まとめ
事前学習/Preparation 前期授業の復習
事後学習/Reviewing 授業の復習
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
補足事項/Supplementary notes 本授業では、『山海経』の最古の版本である中国国家図書館所蔵の南宋淳煕七年(1180)刊本の影印本を底本に、明成化刊本(影印本)、郝懿行『山海経箋疏』、袁珂『山海経校注』、欒保群『山海経詳注』などを参考にして、文字の異同を確認し、諸注釈の校勘に着目し講読していきます。
 本授業では、南宋版に依拠して、漢文訓読により講読し、明版や諸注釈と比較し、諸注釈における校勘を確認し、古典文献学、版本学、校勘学の基礎的方法の習得を目的としています。更には、日本で『山海経』が受容された意味も考えてみたいと思います。受講生に皆さんに、担当箇所を割り振り、原文、書き下し文、現代語訳、校異(文字の異同)、引用の出典、語釈などを記したレジュメを作成し発表してもらい、皆さんにコメントを求め、議論してもらいます。また、『山海経』は、奇怪な動物や神の形状についても記述されていることがありますので、その場合については、読解に基づき、絵を描いて説明してもらいます。
 初めの数回のみ講義形式で行う予定ですが、残りの回は演習方式で行います。
 なお、進み具合によって授業計画・内容に多少の変更が生じる可能性があります。
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 平常点 In-class Points 60% 平常点は受講態度、レジュメ・発表、コメント・討論内容などを勘案します。
なお、総授業日数の3分の1以上欠席した場合、単位を認定しません。
2 試験 Exam 40% 試験は期末試験とします。内容は『山海経』の書き下し文、現代語訳の習熟度を確認するものです。
課題(試験やレポート等)に対するフィードバックの方法/Feedback methods for assignments (exams, reports, etc.)
授業中や授業後に質問を受け付けたり、コースパワーの質問機能からも随時質問を受け付けます。コースパワーを用いてフィードバックします。
教科書/Textbooks
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1 資料を配布します。
参考書/Reference books
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1 授業の中で随時紹介します。
メッセージ/Message
漢和辞典(紙媒体)の携帯を必須とします。授業中に漢和辞典(紙媒体)で漢字を調べてもらいます。東洋の書物文化の世界を楽しみましょう。