講義内容詳細:書理論Ⅱ

戻る
年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) 書理論Ⅱ
英文科目名/Course Title (English) Theories of Calligraphy Ⅱ
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 笠嶋 忠幸
英文氏名/Instructor (English) KASASHIMA Tadayuki

講義概要/Course description
本講義では、前期につづき、書表現の歴史的展開を通覧します。前期で学んだ中世に至るまでの諸相を基盤として、後期はこれにつづく、桃山時代以降、とくに江戸時代から近現代に至るまでの、特徴的な書作品を取り上げながら、そこに見えてくる書き手の心理や意識、書くことの意図、思想について解説します。江戸時代は、書の歴史の中で、再び中国の影響を大いに受けた時期です。中国と日本の間にある、意識や観点の違いについても考えてみましょう。近現代の動向や、いま私たちが用いている文字の世界へと繋がっている特徴に関しても考えてみましょう。
達成目標/Course objectives
具体的な作例を紹介しつつ、書表現の機能について、より広い視点から解説してゆきます。書の美的な表現の諸相や多様な魅力について、造形面と技法面の両方から観察できるような観点を養い、理解を深めましょう。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
全国の美術館・博物館が所蔵する作品を検索し、それらの画像をWEB上で確認しておきましょう。受講後も、講義内で取り上げた作品を再度確認することに努めてください。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class ガイダンス【オンライン(オンデマンド型)】前期のまとめと後期の指針
2
授業計画/Class 桃山時代(1)ー王朝美への憧れ
3
授業計画/Class 桃山時代(2)ー本阿弥光悦の工房制作
4
授業計画/Class 桃山時代(3)ー琳派と書
5
授業計画/Class 江戸時代(1)ー江戸の唐様
6
授業計画/Class 江戸時代(2)ー文人趣味の余技
7
授業計画/Class 江戸時代(3)ー俳諧趣味の味わい
8
授業計画/Class 江戸時代(4)-禅の書画表現
9
授業計画/Class 江戸時代(5)ー頼山陽、個性の伝播
10
授業計画/Class 江戸時代(6)-田能村竹田と書画論
11
授業計画/Class 明治・大正時代(1)-富岡鉄斎を識る
12
授業計画/Class 昭和時代(1)-戦前の混沌
13
授業計画/Class 昭和時代(2)ー戦後の挑戦
14
授業計画/Class 昭和時代(3)ー造形と絵画性
15
授業計画/Class まとめ ー 書の未来を考える
 
事前学習/Preparation 前回までの講義内容を復習しておきましょう。また自分の考えも整理し、まとめておきましょう。
事後学習/Reviewing 提示資料に再度、目を通して、分からなかった点、理解不足だった点など、わすれないように手元ノートへ記録しておきましょう。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
補足事項/Supplementary notes【対面授業(通常型)での実施】
毎回、PPTスライドにて画像を見ながら、具体的な解説をしてゆきます。必要に応じて、筆の運び方の特徴や伝統的な筆法などについても、板書や、書画カメラを用いて実践的に説明します。理論的な関連史料は、プリントを配布します。
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 レポート Report 60% 講義内容の理解度について、総合的な観点で確認します。2000字以内でレポートにまとめて提出してもらいます。
2 平常点 In-class Points 40% 講義内容に関する理解度について、講義後5分前後で文章にまとめていただき確認します。
参考書/Reference books
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
ISBN価格
Price
 
1 笠嶋忠幸 書を味わう 淡交社 2010 9784473036698 1,900
2 笠嶋忠幸 日本美術における「書」の造形史 笠間書院 2013 9784305707098 2,800
メッセージ/Message
日常において筆墨を用いる場がなくなった今、さらにIT化の影響で、手書きすることすら少なくなりつつあります。しかし、文字を書くこと、文字による相互伝達の習慣はなくなりません。本講義を通して、過去の人々が如何に書表現によって個性を伝え遺し、多様な美意識を継承してきたか。また日常性とは別に、筆墨を用いて文字を造形することを見つめ、さまざまに考えて創意工夫し、如何に楽しんできたか、が理解していただければ幸いです。
キーワード/Keywords
筆跡     書道     芸術     美術     造形表現     僧侶     文人     近現代     現代     書家