講義内容詳細:芸術鑑賞の方法Ⅲ(3)

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年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) 芸術鑑賞の方法Ⅲ(3)
英文科目名/Course Title (English) Workshop on Art Appreciation Ⅲ(3)
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 木原 圭翔
英文氏名/Instructor (English) KIHARA Keisho

講義概要/Course description
アメリカの映画研究者トム・ガニングが提唱した「アトラクションの映画(cinema of attractions)」は、映画研究の領域では最もよく知られ、かつ最も頻繁に言及されてきた概念の一つです。映画というメディアは単に物語を伝達するだけでなく、ショックや驚きなどを与えて観客を惹きつける一種のアトラクションとしての性質を持っているというガニングの議論は、論文の中で対象とされている初期映画研究を飛躍的に促進させただけでなく、現代の作品を含めた映画の本質的特性の一つとして認知され、1990年代以降の映画研究に大きなインパクトを与えました。本講義では、「アトラクションの映画」という概念を出発点としながら、様々な時代やジャンルに幅広くみとめられる映画のアトラクション性を概観し、その現代的意義について考察していきます。
達成目標/Course objectives
「アトラクションの映画」に関する議論を通して、映画研究における重要概念の理解を深めるとともに、作品鑑賞や分析のための新たな視点を獲得すること。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class イントロダクション——映画における「アトラクション」とは何か【オンライン授業(オンデマンド型)での実施】
2
授業計画/Class トム・ガニング「アトラクションの映画」論文解説
3
授業計画/Class 初期映画とアトラクション①:自生性とは何か(リュミエール映画)
4
授業計画/Class 初期映画とアトラクション②:エジソン映画(Electrocutingan Elephant, 1903)
5
授業計画/Class ロシア映画のアトラクション:セルゲイ・エイゼンシュテイン、ジガ・ヴェルトフ
6
授業計画/Class 物語映画とアトラクション①:ミュージカル映画(バスビー・バークレイ)
7
授業計画/Class 女性とアトラクション——ローラ・マルヴィ「視覚的快楽と物語映画」
8
授業計画/Class 物語映画とアトラクション②——「ボディジャンル」とホラー映画
9
授業計画/Class 映画技法と物語
10
授業計画/Class 成人映画とアトラクション——日活ロマンポルノ
11
授業計画/Class デジタル映画とアトラクション①:新しいリアリズム(『ジュラシック・パーク』)
12
授業計画/Class デジタル映画とアトラクション②——生身の身体のアトラクション
13
授業計画/Class アニメーション映画とアトラクション
14
授業計画/Class アンチ・アトラクション:スロー・シネマ、シャンタル・アケルマン
15
授業計画/Class まとめ:「アトラクションの映画」という理論の意義
 
事前学習/Preparation 授業で取り上げる予定の映画用語、映画作品のあらすじ、監督の経歴などをインターネット等で調べておく。
事後学習/Reviewing 授業で言及した作品を一つ以上鑑賞し、紹介した文献を図書館等で調べて内容を確認する。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
補足事項/Supplementary notes【対面授業(通常型)での実施】
感染状況等により教室での対面授業が難しくなった場合は、オンデマンド(リアルタイム配信)で実施する予定です。
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 平常点 In-class Points 40% 授業内での発言や授業後に求めるコメントペーパーの内容等を考慮して評価します。
2 レポート Report 60% 授業内容に関連したレポート(2,000〜3,000字程度)を執筆してもらい、先行研究に対する読解力と受講者が提起する意見の独創性を評価します。
教科書/Textbooks
 コメント
Comments
1 なし(必要な論文等は授業で配布します)
参考書/Reference books
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
 
1 堀潤之・木原圭翔編 『映画論の冒険者たち』 東京大学出版会 2021年
2 長谷正人・中村秀之編訳 『アンチ・スペクタクル——沸騰する映像文化の考古学』 東京大学出版会 2003年
3 岩本憲児・武田潔・斉藤綾子編 『新・映画理論集成①』 フィルムアート社 1998年
メッセージ/Message
・映画史や映画研究に関する事前の知識は特に必要ありません。入門的内容の講義です。映画研究に関心のある学生を歓迎します。
・授業は対面を前提としており、オンラインがメインとなる場合は、一部授業内容を変更する場合がある点、ご了承ください。
その他/Others
その他の参考文献については、毎回の授業で適宜紹介します。