講義内容詳細:交通論Ⅱ/交通経済学Ⅱ

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年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) 交通論Ⅱ/交通経済学Ⅱ
英文科目名/Course Title (English) Transportation Ⅱ/Economics of Transportation Ⅱ
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 須田 昌弥
英文氏名/Instructor (English) SUDA Masaya

講義概要/Course description
 「交通」はわれわれの日常生活においても身近な現象であると同時に、経済活動にも大きな影響を与えるものでもある。本講義ではこの「交通」について、それが経済学的にどのような価格形成がなされ得るかを検討する。その上で、社会の希少な資源をこの領域にどのように振り向けるべきであるかについても理解を深めたい。
 通常の講義の形態をとるが、漫然とテキストや資料を眺めるだけでは得るところ(「単位」を含む)は少ない。本講義においては、無味乾燥な知識の「記憶」よりも、知識の現実への「応用」能力を高く評価する方針である。講義中、出席を兼ねた小テストを行なうことがある(日時・回数・方式は未定)ほか、適宜指名して解答を求めることがある。そのほとんどは皆さんの日常の経験・知識に基づけば解答可能であるので、憶することなく答えてもらいたい。また、講義中の積極的な質問も歓迎する。
達成目標/Course objectives
「交通」に関する諸問題について、各自の見解を持つために必要な知識と考え方を身に付ける
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
前期開講の「交通経済学I/交通論I」をあらかじめ履修しておくことを推奨する。その他、履修に際してはミクロ経済学の初歩を理解していることが望ましい。その知識がなくとも講義の大要は理解できると思われるが、より詳しく学びたい者はミクロ経済学の入門書を読んだ上で受講することを薦める。また、経済理論には数式がつきものであり、本講義でも多少使用することが予想される。ただし、数学の知識不足は数式の理解の妨げ(言い訳)にはならない。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class オリエンテーション・前期(交通経済学I/交通論I)の内容確認[オンライン授業(オンデマンド型)での実施]
事前学習/Preparation このシラバスにあらかじめ目を通しておく。
交通経済学I/交通論Iを履修済の者は、その内容をあらかじめ復習しておく。
事後学習/Reviewing 前期の部分を含め、テキストを用いて交通経済学の体系をあらかじめ把握しておく。
2
授業計画/Class 総括原価主義とその問題点
事前学習/Preparation テキストの175〜186ページをあらかじめ読んでおく。
事後学習/Reviewing 今日に至るまで、なぜ「総括原価主義」が運賃決定に採用されているのか、その問題点は何なのかについて考察する。
3
授業計画/Class インセンティブ規制(1):プライス・キャップ規制
事前学習/Preparation テキストの187〜192ページをあらかじめ読んでおく。
交通経済学I/交通論Iを履修した者は、交通における「規制」のあり方に関する議論を復習しておくこと。
事後学習/Reviewing 航空産業の規制政策としてプライス・キャップ規制はどのように評価できるか考えておく。
4
授業計画/Class インセンティブ規制(2):ヤードスティック競争
事前学習/Preparation テキストの193〜196ページをあらかじめ読んでおく。
事後学習/Reviewing 日本の鉄道事業におけるヤードスティック競争の意義について考えておく。
5
授業計画/Class 「料金プール制」と高速道路料金
事前学習/Preparation テキストの196〜205ページをあらかじめ読んでおく。
「公共財」の理論についても復習しておくとよい。
事後学習/Reviewing 日本の高速道路政策における「償還制」と「料金プール制」の果たした役割と今日における問題点について整理しておく。
6
授業計画/Class 内部相互補助
事前学習/Preparation テキストの205〜218ページをあらかじめ読んでおく。
交通経済学I/交通論Iを履修済の者は、「共通費」の議論についても復習しておくとよい。
事後学習/Reviewing 多くの産業において広く行われている「内部相互補助」が、なぜ交通では問題視されやすいのか説明する。
7
授業計画/Class 市場の効率性と経済厚生
事前学習/Preparation ミクロ経済学における「消費者余剰」「独占」「価格差別」の概念について復習しておく。
事後学習/Reviewing 上記の概念が、この後でてくる様々な運賃理論とどのような関連性を持つのか整理しておく。
8
授業計画/Class 限界費用価格形成原理
事前学習/Preparation テキストの222〜233ページをあらかじめ読んでおく。
ミクロ経済学における「完全競争市場」の概念について復習しておく。
事後学習/Reviewing 限界費用価格形成自体は非現実的であるにも関わらず、なぜ運賃理論において重要なのか考えておく。
9
授業計画/Class ラムゼイ運賃と2部料金
事前学習/Preparation テキストの233〜242ページをあらかじめ読んでおく。
2部料金は、現実に採用されている事例も多いのでそのような例を探してみる。
事後学習/Reviewing これらの運賃・料金がなぜ「望ましい」と言えるか確認しておく。
10
授業計画/Class 混雑料金
事前学習/Preparation テキストの243〜252ページをあらかじめ読んでおく。
事後学習/Reviewing 混雑料金の長所と欠点をそれぞれ整理しておく。
11
授業計画/Class ピークロード・プライシング
事前学習/Preparation テキストの253〜267ページをあらかじめ読んでおく。
前回の講義内容についても復習しておく。
事後学習/Reviewing 「混雑」に対して、「混雑料金」と「ピークロード・プライシング」は何が異なっており、そして異なっている両者がなぜ収斂してくるのかを確認する。
12
授業計画/Class 交通投資について
事前学習/Preparation (交通における)費用負担の方法にはどのようなものがあるか検討する。
事後学習/Reviewing 「上下分離」は近年の「電力自由化」においても重要な概念となっている。講義内容を踏まえてその点を確認しておく。
13
授業計画/Class 日本の鉄道150周年*
事前学習/Preparation 鉄道事業を「政府」と「民間」が運営するそれぞれのメリット/デメリットについて整理しておく。
事後学習/Reviewing 現在の「民間主体」の鉄道運営の問題点について考える。
14
授業計画/Class 費用便益分析について
事前学習/Preparation テキストの270〜310ページをあらかじめ読んでおく。
事後学習/Reviewing 費用便益分析のメリットと問題点についてまとめておく。
15
授業計画/Class これからの交通整備のあり方
事前学習/Preparation 前回までの講義の内容を再確認しておく。
事後学習/Reviewing 今日における「交通問題」とは何か考える。
期末試験に向けて数値計算なども含めた講義内容を確認する。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
補足事項/Supplementary notes第2回目以降は対面授業(通常型)で行う。基本的にはテキスト(4〜6章)に準拠して講義を進めていく。主に運賃ならびに交通投資に関する分析について検討する。「交通論」履修者に配慮し、適宜ミクロ経済学の復習を行う。時折テキストから離れたトピック(*を付した項目。変更の場合あり)についても議論してみたい。
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 100% 1.試験期間内に期末試験を行ないその結果に基づいて評価する。
2.小テストを適宜行う(日時・回数・方式は未定)。これは試験合格者の「加点材料」とはなるが、これによる減点(単位不認定を含む)は一切行わない。
教科書/Textbooks
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1 山内弘隆・竹内健蔵 『交通経済学』 有斐閣 2002年 下記参考書以外の参考文献については講義中に指示する。
参考書/Reference books
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ISBN価格
Price
 
1 竹内健蔵 『交通経済学入門[新版]』 有斐閣 2018年
2 田邉勝巳 『交通経済のエッセンス』 有斐閣 2017年 9784641150492 ¥2,000+税
メッセージ/Message
「交通経済学」(経済学部)と「交通論」(経営学部)は、互いに異名称同一科目である。一方の科目を履修する(した)者は他方を履修できないので注意されたい。
講義内容に関して質問のある者はアドレス:msuda@econ.aoyama.ac.jpまで連絡をとること。オフィス・アワーについては初回講義時に連絡する。
キーワード/Keywords
運賃         交通投資