講義内容詳細:地域経済学Ⅰ/地域経済学Ⅰ(再)

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年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) 地域経済学Ⅰ/地域経済学Ⅰ(再)
英文科目名/Course Title (English) Regional Economics I
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 須田 昌弥
英文氏名/Instructor (English) SUDA Masaya

講義概要/Course description
 「地域経済学」は、従来ともすると経済学の体系の周縁におかれ、理論的素養をあまり要しない分野とみなされがちであった。しかるにこの分野は近年「空間経済学(Spatial Economics)」として急速な発展を遂げ、経済学及びその隣接領域における重要性も増してきている。本講義ではミクロ経済学の内容を基礎に、「空間的競争」や「集積」などの地域経済学の基礎理論を概観する。地域経済学の最終的な目標は、特定の地域の経済を論ずることではなく、経済理論の中に「空間」という要素を導入して理論を拡張することで、多様な地域の諸問題を考察することにある。
達成目標/Course objectives
地域経済学の基礎理論を習得することを通じて、「地域の問題」を分析・考察する能力を養う。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
前期に履修している「ミクロ経済学講義」・「ミクロ経済学演習」の知識を前提とする。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class はじめに−「地域経済学」とは?[オンライン授業(オンデマンド型)で実施]
事前学習/Preparation このシラバスにあらかじめ目を通しておく。
事後学習/Reviewing テキストを入手し、地域経済学がどのような内容を全体として扱うのか認識しておく。
2
授業計画/Class 空間と輸送費
事前学習/Preparation 現実の地理的空間において「距離」とはどのように定義できるのか考えておく。
『時刻表』などを用いて、実際の運賃がしばしば「遠距離逓減」の運賃率を持つことを確認する。
事後学習/Reviewing 「輸送費の低下」が地域経済にどのような影響をもたらすのか検討する。
3
授業計画/Class 輸送費と立地(1):端点立地定理について
事前学習/Preparation テキストの第7章第2節をあらかじめ読んでおく。
事後学習/Reviewing 「端点立地定理」が、実際にはどのようなときに成り立つ/成り立たないのかを考察する。
4
授業計画/Class 輸送費と立地(2):輸送費対労働費・生産費
事前学習/Preparation 今日の企業立地において、「輸送費」がそれほど重要でないことを確認する。
なぜ地域によって「労働費」が異なるのか考える。
事後学習/Reviewing 「フットルース化」自体を輸送費指向論で説明する。
5
授業計画/Class 独占的競争から「空間的競争」へ
事前学習/Preparation ミクロ経済学における完全競争・不完全競争の理論を復習しておく。
事後学習/Reviewing 「独占的競争」と「空間的競争」の関連について整理しておく。
6
授業計画/Class ホテリングのモデル(アイスクリーム屋の立地競争)
事前学習/Preparation テキストの第7章第3節をあらかじめ読んでおく。
事後学習/Reviewing このモデルにおける企業の利潤や消費者の移動コストなどについて、簡単な数値計算ができるようにしておく。
7
授業計画/Class 空間的競争と都市システム
事前学習/Preparation テキストの第9章第1節・第2節をあらかじめ読んでおく。
事後学習/Reviewing 商圏の境界やその時の企業の利潤などについて、数値計算に基づいた理解ができるようにしておく。
空間的競争の均衡解から都市システムがどのように導出されるのか整理する。
8
授業計画/Class 「収穫逓増」と地理的集中
事前学習/Preparation テキストの第7章第4節・第8章第2節をあらかじめ読んでおく。
事後学習/Reviewing 空間的集積における循環がなぜ生じるのか説明できるようにする。
9
授業計画/Class 動学的外部経済と地域産業政策
事前学習/Preparation 前回の講義内容を復習しておく。
「地域経済の活性化」のための政策としてどのようなことが挙げられるかまとめておく。
事後学習/Reviewing 「産業クラスター」などの実際の地域政策について、その理論的根拠と実現可能性をまとめておく。
10
授業計画/Class 集積はなぜ生じるか(1):産業レベル
事前学習/Preparation 製造業/商業・サービス業における「集積」の事例としてどのようなものが挙げられるか整理しておく。
事後学習/Reviewing 現実の地域経済において、「収穫逓増」がどのような形で生じるのか検討する。
11
授業計画/Class 集積はなぜ生じるか(2):都市レベル
事前学習/Preparation 前回の講義内容を復習しておく。
事後学習/Reviewing 東京のような大都市が形成されるにはどのような要因が必要なのか整理する。
都市の発展がもたらす、地域間格差の拡大について自分の意見をまとめてみる。
12
授業計画/Class 地理的集中モデル(1):集中はいつ生じるか
事前学習/Preparation 「輸送費」と「集積」がしばしばトレードオフの関係になることをあらかじめ確認しておく。
事後学習/Reviewing このモデルにおいて、数値例に基づいて集中/分散がどのようなときに生じるかを考察できるようにする。
13
授業計画/Class 地理的集中モデル(2):「ロックイン効果」について
事前学習/Preparation 前回の講義内容を復習しておく。
事後学習/Reviewing 前回のモデルの枠組みで、どのような場合に「ロックイン効果」が働くと言えるか説明できるようにする。
14
授業計画/Class 地域経済学から見た「国境」とは?
事前学習/Preparation 「比較優位の原理」について復習しておく。
事後学習/Reviewing 国境がなくなることが経済にどのような影響をもたらすのか説明する。
15
授業計画/Class おわりに−地域経済学は何の役に立つか?
事前学習/Preparation テキストなどを参照して、地域経済学がどのような政策提言を行っているのか確認する。
事後学習/Reviewing 講義内容全体を整理・復習し、期末試験に備える。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
補足事項/Supplementary notes第2回目以降は対面授業(通常型)で行う。漫然と板書等をノートに写すだけでは得るところ(「単位」を含む)は少ない。本講義においては、無味乾燥な知識の「記憶」よりも、知識の現実への「応用」能力を高く評価する方針である。講義中、出席を兼ねた小テストを行なうことがある(日時・回数・方式は未定)ほか、適宜指名して解答を求めることがある。そのほとんどは皆さんの日常の経験・知識に基づけば解答可能であるので、憶することなく答えてもらいたい。また、講義中の積極的な質問も歓迎する。
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 100%  期末試験の成績に、適宜行なう小テストの点数を加味して評価する。
教科書/Textbooks
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1 山田浩之・徳岡一幸編 『地域経済学入門[第3版]』 有斐閣 2018年 上記の内容に完全に対応しているわけではないが、この文献の第7章〜第9章を中心に講義を進める。なお、この文献は「地域経済学II」「都市経済学」でもテキストとして使用する。
参考書/Reference books
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1 佐藤泰裕 『都市・地域経済学への招待状』 有斐閣 2014年 9784641150096 ¥1,800+税 上記テキストとほぼ同レベル。ただし、数学に抵抗感のない人向け。
2 黒田達朗・田渕隆俊・中村良平 『都市と地域の経済学[新版]』 有斐閣 2008年 9784641183711 ¥2,500+税 テキストよりやや上級の地域経済学の教科書。
メッセージ/Message
オフィス・アワー並びに連絡先については初回講義時に説明する。
その他/Others