講義内容詳細:刑法A

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年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) 刑法A
英文科目名/Course Title (English) Criminal Law A
学期/Semester 前期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 岡上 雅美
英文氏名/Instructor (English) OKAUE Masami

講義概要/Course description
 大学の指示により、初回はオンデマンド型の遠隔授業とする。
「刑法A」では、後期開講科目の「刑法B」と併せて、刑法総論を対象とし、刑法の基礎理論(刑法の意義や近代刑法の基本原則)および「犯罪論」(あらゆる犯罪に共通の犯罪成立要件。例えば、刑法の解釈手法、違法性とは何か、未遂犯はどのような要件の下に成立するか等)について解説を行う。刑法典の規定でいえば、「第一編 総則」(第1条-第72条)がこれにあたる。とくに「犯罪論」が講義の中心となる。 
 なお,下記の「授業計画」は,項目を表したものであり,各項目が1回の授業で終わるとは限らない。次回にずれ込んだりすることが十分にありうる。講義の順序を示したものと理解してほしい。後半は,刑法Bに続く。
達成目標/Course objectives
刑法総論の基本を理解すること。刑法の基本理念を習得すること。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
特になし。しかし、刑法Bの履修条件は、刑法Aを履修していることなので、刑法Bだけの受講はできない。刑法Aと刑法Bは併せて登録してください。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class ガイダンス;刑法・刑罰の理論 初回のみオンデマンド型授業
2
授業計画/Class 刑法の基本原則(1)(罪刑法定主義、法益保護原則、責任主義)
3
授業計画/Class 刑法の基本原則(2)(罪刑法定主義、法益保護原則、責任主義)
4
授業計画/Class 犯罪論の体系 行為論
5
授業計画/Class 構成要件:客観的構成要件要素、主観的構成要件要素
6
授業計画/Class 因果関係論①:条件関係
7
授業計画/Class 因果関係論②:相当因果関係または客観的帰属論
8
授業計画/Class 不作為犯
9
授業計画/Class 違法性論(違法性の本質/行為無価値と結果無価値)
10
授業計画/Class 可罰的違法性
11
授業計画/Class 違法阻却論①;違法阻却の一般原理、法令行為・正当業務行為
12
授業計画/Class 違法阻却論②:正当防衛
13
授業計画/Class 違法阻却論③;緊急避難
14
授業計画/Class 違法阻却論④:被害者の承諾
15
授業計画/Class 予備日。講義に遅れが出たときのために、この回を用いる。
 
事前学習/Preparation 特に必要としないが、教科書の該当箇所を読んでおくと理解がしやすい。
事後学習/Reviewing 毎回、授業内容を聞いていれば簡単に解ける小テストを行う。同時に、教科書を読み、授業内容を確認する。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
補足事項/Supplementary notes 刑法総論は、高度の論理性と抽象的な思考方法を特徴とする。それは、何よりも慎重な適用が要請されるという事情のほか、「人がなぜ人を処罰することができるのか」という問題は古くから哲学でも論じられたところであり、刑法は法律学の中でもとくに哲学との関係が深い分野である。また、社会・国家の任務の理解、人間観や人権感覚が個々の解釈論に大きく影響することによる。刑法では学説の対立がとくに激しいのも、これらの基本的な立場が相容れることなく異なることに由来する。刑法解釈学の本来の醍醐味は、まさにこの点にあるといってよい。しかし、法律の勉強を始めて間もない初学者が聴講者の大多数を占めることを考え、講義の中では、体系的一貫性を重視しながらも、判例その他の具体例を多用し、実務的な動向にも目を向けたわかりやすい解説に努めたい。原則として各回、授業が理解できているかを確認するためのチェックをCourse Powerの活用によって行うことにする。
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 試験 Exam 60% 教場での試験を予定している。状況により変更がありうる。
2 平常点 In-class Points 40% 授業終了後に、Course Powerを通じてその日の内容の理解度チェック(小テスト)を行うので,それについて解答する。
教科書/Textbooks
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
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出版年
Published year
ISBN価格
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1 浅田和茂著 刑法総論 成文堂 2019.3 9784792352738 3700円+税 定評のある専門書である。入手にも時間がかかることに鑑み,初回は教科書がなくても行えるようにしたい。もちろん,教科書の記述がすべて私の見解と同一ということはないので,相違点については授業で言及する。
参考書/Reference books
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
ISBN価格
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1 井田良著 基礎から学ぶ刑事法 第6版補訂版 有斐閣 2022 1800円+税 初学者向き。刑法のみならず、刑事訴訟法、刑事政策も含む。次の本との間で序列はない。
2 佐久間修, 橋本正博編 ; 岡部雅人 [ほか] 著 刑法の時間 有斐閣 2021.4 9784641139459 2100円+税 初学者向き。刑法のみに関する本。刑法の基本思想が理解できる。前の本との間で、序列はない。 蔵書情報 / Library information
3 佐伯仁志, 橋爪隆編 刑法判例百選Ⅰ 総論 第8版〔No.250〕 有斐閣 2020.11 9784641115507 2300円+税 中級・上級者向け。国家試験や司法試験を考える人には必読の書。 蔵書情報 / Library information
メッセージ/Message
とくに初学者向けの授業であることを勘案し、授業での解説を理解したかどうかを各回ごとに確認する方法を採用し、試験だけでは単位取得が難しい構成にした。したがって、普段は授業にも出席せず、自己学習もしていないのに、試験日だけ答案を作成して単位を取得する…ようなことはできないので、一歩一歩、刑法を学んでもらいたい。
キーワード/Keywords
刑法総論     犯罪論