講義内容詳細:都市法

戻る
年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) 都市法
英文科目名/Course Title (English) Urban Government Law
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 久保 茂樹
英文氏名/Instructor (English) KUBO Shigeki

講義概要/Course description
 都市法とは聞きなれない言葉かもしれないが、簡単に言えば、都市空間の形成・管理をめぐる利害調整に関わる法分野(都市計画、開発・建築規制、都市計画事業、景観保護、都市再生、都市防災さらに「まちづくり」等を含む)のことを指す。
 都市法はもともと行政法各論の一分野であったが、租税法、経済法、社会保障法、環境法・・・等がそうであったように行政法から次第に分離し、今日では独立した一つの法分野とみなされるようになった。
 歴史的にみると、(近代)都市法の起源は、近代国家の誕生を契機とした「都市の拡大(croissance urbaine)」に求めることができる。これまでの都市法は、都市計画を基本に置いて(計画的手法)、都市基盤の整備(事業的手法)と土地利用の制御(規制的手法)を両輪として発達してきたが、人口減少・少子高齢化の時代を迎えて「都市の縮退・空洞化」が指摘されるようになり、コンパクト・シティや都市再生等の<都市構造のあり方に関わる問題>や、まちづくりやエリア・マネジメント等の市民活動と結び付いた<都市管理に関わる問題>が、新たに注目を集めるようになってきた。
 都市法はこの意味で、今日大きな転換期を迎えており、これからのわが国社会にとって欠くことのできない重要な法分野となっている。この講義では、以上のことを前提に、比較法の視点も交えながら、今日の都市法が抱える諸問題を体系的に整理し、かつ分かり易く論じていくことにしたい。
達成目標/Course objectives
 都市法の考え方や基礎知識を身に着けること、都市法をめぐる紛争について法的解決の道筋を示せるようになること、これからの「まちづくり」を切り開く視点や展望を得ること、以上の3点がこの講義の達成目標となる。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
 この講義は、都市環境やまちづくりに関心のある人であれば、どなたでも歓迎したい(ただし、履修制限があるので「履修ガイド」で確認すること)。
 進路との関係では、公務員志望者(とりわけ自治体職員志望者)、地域の再生・活性化に関心を持つ人、都市開発や不動産部門で仕事をしたい人、さらには法曹志望者(公法系第2問の頻出分野でもある)にとって、将来役に立つことが多く含まれていると思う。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 序章 都市法とは何か――都市法の過去・現在・未来
*初回のみ、オンライン授業(オンデマンド型で実施)。
2
授業計画/Class 第Ⅰ部 都市法の基本手法
 第1章 都市計画(1)――都市計画の種類、マスタープラン
3
授業計画/Class  第1章 都市計画(2)――都市計画の決定主体・決定手続、都市計画の適正担保
4
授業計画/Class  第2章 開発行為に対する規制――開発許可
5
授業計画/Class  第3章 建築行為に対する規制(1)――建築規制の概要、建築基準とは、建築協定
6
授業計画/Class  第3章 建築行為に対する規制(2)――建築確認、違反是正措置、既存不適格
7
授業計画/Class  第4章 都市計画事業――都市施設の整備事業、市街地開発事業
8
授業計画/Class 第Ⅱ部 都市法の各論的課題
 第5章 景観保護
9
授業計画/Class  第6章 都市再生
10
授業計画/Class  第7章 都市防災
11
授業計画/Class 第Ⅲ部 都市法の担い手
 第8章 都市行政と自治体の役割
12
授業計画/Class  第9章 まちづくりとその担い手
13
授業計画/Class 第Ⅳ部 都市法と権利救済
 第10章 都市法上の紛争とその解決方法
14
授業計画/Class  第11章 都市計画と行政訴訟
15
授業計画/Class  第12章 損失補償、その他の利害調整
むすび――都市に生きる権利(droit à la ville)
 
事前学習/Preparation コースパワーの指示に従うこと
事後学習/Reviewing 講義内容を復習し、よくわからないところがあれば遠慮せずに質問をすること。質問は勉強している証(あかし)なので、基本的に歓迎する(加点要素となる)。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
補足事項/Supplementary notes 対面授業(通常型)
 毎回、レジュメや資料を配布して講義形式で授業を行う。レジュメはコースパワーに掲載するので、予め目を通してきてほしい。昨年度は、コースパワーを活用して、リアクション・ペーパー(質問・意見、感想等)を提出してもらい、受講者とのコミュニケーションを図りながら授業を進めた。今年度もこのやり方を踏襲する予定である。

活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 レポート Report 50% レポート内容の評価(1~2回)
2 平常点 In-class Points 50% 授業後の応答(リアクション・ペーパー)を評価対象とする。授業時の応答も評価対象となる。
課題(試験やレポート等)に対するフィードバックの方法/Feedback methods for assignments (exams, reports, etc.)
教室でフィードバックの機会を持ちたい。
教科書/Textbooks
 コメント
Comments
1 『都市法入門』(仮題)を準備中
メッセージ/Message