1
|
授業計画/Class |
『女性の労働をめぐる法政策』
女性の労働をめぐっては、日本においては、当初は「保護」の対象と考えられ、その後、女性の社会進出に伴い、「性差別の禁止」の政策が進められてきました。そして、近年では、「女性の活躍推進」が1つの大きなテーマとなっています。このことは、女性の労働に関する政策が、労働市場政策の一環として取り組まれる側面があることを示しています。こうした政策の変遷や女性の活躍の現状と課題について確認し、検討していきたいと思います。
*上記した初回の講義内容とは別に、『ガイダンス』として、 本講義の内容や進め方等をに関する方針を説明した動画をオンデマンドで配信します。すなわち、第1回は「ガイダンス動画」+「講義動画」という構成になります。 第1回の講義内容をガイダンスのみで終わらせてしまうと、残り14回では到底講義内容を網羅することができないため、ご了承ください。 |
|
2
|
授業計画/Class |
『育児・介護に関する法制度とワーク・ライフ・バランス』
働く人の価値観の多様化が進み、仕事と私生活の調和、いわゆるワーク・ライフ・バランスが提起され、多くの政策が取り組まれてきました。育児や介護と仕事を両立を図るための法律である「育児・介護休業法」は、その代表的な法律です。しかし、現状でもなお、仕事と私生活の両立は必ずしも容易ではない状況です。この回では、「育児・介護休業法」が定める制度を解説するとともに、ワーク・ライフ・バランス推進の法政策の全体像を確認し、その課題について考えたいと思います。 |
|
3
|
授業計画/Class |
『有期雇用の法政策と法理』
期間を定めて雇われる、いわゆる有期雇用について、欧州諸国ではこれを例外的なものと位置付けたうえで、その利用に厳しい制約をかけてきました。これに対し日本では、有期雇用の利用には特に制限を設けず、結果として有期雇用は、いわゆる「正社員」を補完する、非正規労働者の雇用形態として幅広く利用されてきました。その結果、有期契約労働者は、地位が不安定なものとして放任され、近年の非正規労働者の増加に伴い、不安定な雇用の増加という新たな課題を生み出しています。この回では、有期雇用の不安定な地位に対し、どのような保護法理が形成され、どのような政策が進められているのか、検討したいと思います。 |
|
4
|
授業計画/Class |
『パートタイム労働』
日本の非典型雇用は、パートタイム労働者が大きな位置を占めていることが特徴の1つです。特に、いわゆる「主婦パート」や学生アルバイトを中心に、正社員を補完するとともに、雇用調整を目的として広く活用されてきました。しかし、近年は、パートタイム労働者についても正社員との様々な意味での「格差」が問題とされるようになっています。この回では、パートタイム労働者の保護をめぐる法政策の変遷を確認し、その課題について考えたいと思います。 |
|
5
|
授業計画/Class |
『労働者派遣』
労働者派遣をめぐっては、これまで、「派遣切り」、「偽装請負」といった多くの社会的な問題が生じてきました。他方で、労働者派遣という仕組みが労働市場にとって必要である、有益な効果をもたらすという指摘も多く存在します。このような複雑な地位に置かれている「労働者派遣」についてどのように考えるべきなのか、またその保護をどう図るべきなのか、法政策および法理論の見地から、検討したいと思います。 |
|
6
|
授業計画/Class |
『高齢者雇用(1)-高年齢者の雇用をめぐる法理論的問題』
近年、政府は年金問題への対応と将来的な労働力不足の観点から、高齢者雇用の促進を大きな課題の1つに据えています。高齢者の雇用をめぐっては、1つには「定年制は『年齢差別』にあたらないのか」という大きな問題が提起されてきました。他方で、高齢者、とりわけ定年後の再雇用をめぐっては、法的な紛争もしばしば症いています。この回では、高年齢者の雇用をめぐる、法理論的な問題について検討したいと思います。 |
|
7
|
授業計画/Class |
『高齢者雇用(2)-高齢者の雇用促進の法政策』
現在の政府は、年金支給開始年齢との兼ね合いから、定年延長や定年後再雇用制度の義務付けといった方法で、60代以降の雇用を促進する政策を進めてきました。そして、現在は70歳までの就業機会の確保が検討の俎上に上っています。こうした政策は、高齢者の雇用の確保という点では意義が認められる一方、高齢まで働くことを強いられるという問題、また若年者の雇用機会の喪失等の問題も指摘されています。この回では、これまでの政策の変遷も踏まえつつ、今後の高齢者の雇用をめぐる政策のあり方について、考えていきたいと思います。 |
|
8
|
授業計画/Class |
『障害者雇用』
障害者の雇用については、障害者に対する「差別禁止」という考え方がある一方で、障害者に対する「配慮」をしなければならないという考え方が他方に存在します。そして、障害者の雇用を促進する上での大きな柱であるこの2つの考え方は、他方では、相互に矛盾を含んでいるという側面もあり、このことが障害者に対する雇用政策を難しくしています。この回では、障害者に対する雇用政策について「差別禁止」という考え方と、「配慮」という考え方の2つの柱を軸に、最新の政策動向と今後の課題について検討します。 |
|
9
|
授業計画/Class |
『外国人労働』
日本はこれまで、入管法によって外国人労働者の受け入れを(建前上は)厳しく制限し、いわゆる「移民労働者」の受け入れを否定してきました。しかし実際には、「技能実習制度」などの特例により、低コストの労働者を海外から受け入れ、そのことを原因とする(劣悪な労働条件や人権侵害を含む)問題もしばしば生じています。そして現在、政府は、「移民労働者」の否定を堅持するとしつつ、一方では高度外国人剤の積極的な受け入れのための施策を検討し、他方では東京オリンピックに伴う人手不足解消を目的とした積極的な外国人労働者の受け入れを検討しています。この回では、これまでの外国人労働政策とその問題点を検討するとともに、現在進められている外国人労働政策とその課題について検討します。 |
|
10
|
授業計画/Class |
『失業者・退職者の法-雇用保険制度』
労働者が何らかの形で働くことができなくなったとき、多くの場合、それは収入がなくなることを意味します。こうした、働くことによって収入を得られなくなった場合に、(一定期間)生活ができるように所得を補償するという仕組みは、労働法という法領域が確立する以前から、社会保険の1つとして存在してきました。そして、中でも失業した労働者に対する所得の補償は、働いている労働者の保護と並んで、歴史的に労働法の中でも重要な課題と考えられてきました。この補償を担う雇用保険制度は、現在では、単に失業者の所得を補償するだけでなく、求職活動の支援による再就職の促進や、労働者の能力開発、失業の予防など、さまざまな役割を果たすようになっています。この回では、雇用保険制度について解説します。 |
|
11
|
授業計画/Class |
『職業能力開発の法政策』
かつて、仕事をするための能力の育成は「職人徒弟制」における親方から徒弟への技術の継承という形で始まりました。その後、戦後の経済発展の中で、日本では、新卒採用→長期雇用(終身雇用)という日本型雇用システムの形成に伴い、企業内での人材育成が職業能力開発の中心となってきました。しかし、1990年代のバブル崩壊以降、こうした日本型雇用システムに変化が生じる中で、「即戦力」を求める企業の要請もあり、労働者個人の職業能力(エンプロイアビリティ)を向上する施策が必要とされるようになっています。この回では、職業能力開発のための法政策の展開を解説し、その上で、現在取り組まれている職業能力開発の法政策とその課題を検討します。 |
|
12
|
授業計画/Class |
『日本の雇用社会と雇用政策』
講義概要等でも記したように、日本の雇用社会は、いわゆる「(男性)新卒正社員」を中心とした仕組みが形成され、維持されてきました。そして、労働政策についてもこれらを前提とした仕組みが形成されてきました。他方で、こうした仕組みについては、近年、多くの課題が指摘されるとともに、実際のあり方としても変化がみられるようになっています。この回では、日本の(従来の)雇用社会の特徴とその課題について、労働法・雇用政策の視点を交えつつ、整理してみたいと思います。
|
|
13
|
授業計画/Class |
『若年者の雇用促進』
日本においては、日本的雇用慣行に基づくいわゆる「新卒一括採用」のシステムが普及してきました。この結果、他の先進諸国とは異なり、若年者の失業率は低く抑えられ、若年者雇用を対象とした政策はあまりとられてきませんでした。しかし、近年、いわゆる「就職氷河期」問題、ニートや、早期離職率の高さなど、若者と雇用をめぐる問題が顕在化し、若年者の雇用をめぐる政策が注目を集めています。この回では、若年者の雇用をめぐる現在の政策を確認し、その課題について考えたいと思います。
|
|
14
|
授業計画/Class |
『キャリア権』
従来、日本の雇用社会は、「新卒正社員」として企業に採用され、企業の都合に沿って配置転換などを経験しつつキャリアを形成していき、定年まで勤めあげるという働き方が一般的でした。しかし、近年は、労働者自身が自らの意思や希望に沿ってキャリアを形成していき、企業や行政がこれをサポートするべきではないかという考え方が広がりつつあります。これを法的に基礎づける考え方として提唱されているのが「キャリア権」という考え方です。この回では、「キャリア権」という考え方と、これに関連する法政策ついて、解説・検討したいと思います。 |
|
15
|
授業計画/Class |
『就労形態の多様化と法政策』
近年、新たな働き方として注目を集めているのが、フリーランス、プラットフォーム型就労といった、企業に雇用されるのではなく、オンラインプラットフォームなどの仲介を活用しつつ、「個人事業主」として働く働き方です。こうした働き方は、自由度が高い反面、労働法や社会保障制度の対象とはされないと一般的に考えられていることから、社会的な保護が薄く(なく?)、不安定でリスクの高い働き方伴っています。こうした働き方に関する法政策がどうあるべきなのか、考えてみたいと思います。
|
|
|
事前学習/Preparation |
次回の講義で扱う教科書の範囲を提示しますので、教科書を読んで予習をしておいてください(ざっと読んで、よくわからない箇所や疑問に思った箇所を予め洗い出しておくとよいでしょう)。
|
事後学習/Reviewing |
講義の内容を改めて整理し、理解の定着に努めてください。講義内容に関する疑問や気になったこと、感じたこと等があれば、CoursePowerを通じて提出してください。詳細は、第1回の講義で説明します。
|
|