講義内容詳細:アメリカ法B

戻る
年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) アメリカ法B
英文科目名/Course Title (English) American Law B
学期/Semester 前期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 竹部 晴美
英文氏名/Instructor (English) TAKEBE Harumi

講義概要/Course description
アメリカ私法のうち、アメリカ契約法(Contract Law)について、主に判例にもとづいてその法理論を検討し、その背後にある法思想を明らかにすることが目的である。単に英米契約法の理論を学ぶのではなく、可能な範囲で我が国の契約法との比較を行いたい。なぜ当該条文が規定されているのか、なぜこのような解釈がなされているのかを掘り下げて考察することを主眼とする。
達成目標/Course objectives
配布資料がある場合には、それにもとづいて、なるべくケース・メソッド、ソクラティック・メソッドによる授業を行いたい。
そのため、授業への積極的な参加をすることを達成目標に一つとして挙げておく。この科目では、アメリカ法の歴史的発展、法思考の特徴、先例拘束原理を理解し、アメリカと日本の契約法について詳しく理解することを目指す。コロナ等社会状況によっては、発言を求めず、一般的な講義形式に変更することもある。その場合であっても、履修者の皆さんとなるべくコミュニケーションがとれるよう工夫して講義を行うこととする。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
本講座以外のアメリカ法科目、さらに日本の契約法を既に履修していることが望ましい。しかし、それは必須ではないので、初めてアメリカ法に触れる、もしくは日本法が苦手という場合も履修を歓迎する。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 授業の導入とアメリカ私法の構造:本講座についての注意点や成績評価等についての一応の説明を行う(自己紹介を含む)。その後、アメリカ私法の歴史的発展と法的特徴について明らかにする。なお一回目の授業に関しては、オンライン授業(オンデマンド型)にて行う。
2
授業計画/Class 申込(offer)と承諾(acceptance):申込と承諾をめぐる法的問題点を明らかにし、我が国の契約法と比較検討を行う。
3
授業計画/Class アメリカ私法の構造とアメリカ契約法:第一回の授業(アメリカ私法領域の歴史的発展と法的特徴)を踏まえて、アメリカ私法における契約法の位置づけついて明らかにする。
4
授業計画/Class 約因(consideration)と約束の法的拘束力:約因の要件とは何か、アメリカ契約法において約因が必要とされる理由は何かに主眼を置き、日本の贈与契約の拘束力について考察する。
5
授業計画/Class 約束的禁反言の法理(promissory estoppel)をめぐる諸問題:約束的禁反言の法理の内容を学び、詐欺防止法(Statute of Frauds)、契約交渉破棄に対する適用可能性について検討を行う。
6
授業計画/Class 口頭証拠排除の法則(parol evidence rule):アメリカにおいては実体法上のルールとして、契約書面の解釈に関する法理が確立しているが、その意義と内容、法的問題点につき明らかにする。
7
授業計画/Class 契約関係からの離脱:取引過程に対する規制ルール(強迫、不実表示など)と取引の内容に関する規制ルール(非良心性など)を学び、不当条項規制のあり方を検討する。
8
授業計画/Class 債務の履行と不履行:重大な契約違反をめぐる判例、履行期前の履行拒絶に関する判例を検討し、英米の債務不履行制度に関する理解を深める。
9
授業計画/Class 事情変更とリスク負担:事情の変更により履行が困難となった場合のリスク負担について、また再交渉義務論について検討を行う。
10
授業計画/Class 契約能力:未成年者による契約、その他の無能力者による契約の効力について、アメリカ法の考え方を明らかにする。
11
授業計画/Class 契約違反に対する救済(1):特定履行と損害賠償の関係につき、法と経済学の議論を参考にしながら理解を深める。特に、不特定物に関する債権について強制履行を認めるべきか否かを検討する。
12
授業計画/Class 契約違反に対する救済(2):Hadley 判決を分析し、英米における損害賠償ルールを学ぶ。また、我が国の民法416条に関する解釈を取り扱う。
13
授業計画/Class 契約違反に対する救済(3):契約違反によって得た利益の吐き出しをめぐる議論を扱う。また、契約違反を不法行為として懲罰的損害賠償(punitive damages)の対象とされる場合を明らかにする。
14
授業計画/Class 信認関係(fiduciary relationship)と受認者の義務:契約関係においても、一方の他方に対する信頼と裁量権を根拠に信認関係が成立し、受認者に特別の法的義務が課される場合があるが、その意味と問題点を検討する。
15
授業計画/Class まとめ(上記授業日程の間に、アメリカ法への理解を深めるため、映像資料を用いたいと思う。その場合の予備日として設定しておく。)
 
事前学習/Preparation 事前学習は特に必要ない。講義中に「来週までに考えてきてください」や「来週までに読んできてください」など課題を課す場合があるので、その場合は指示に従って事前学習を行なってください。
事後学習/Reviewing 講義内容の復習を中心に事後学習を行うことが望ましい。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
補足事項/Supplementary notes対面授業(通常型)で行う。
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 試験 Exam 60% 学期末試験:課題の内容に対し、設問の意図を理解し、設問に解答できているかという点を評価の対象とする。授業で学習したことを解答に反映できているかという点も重視する。
2 レポート Report 40% 学期中に2回の小レポート課題を課す。
教科書/Textbooks
 コメント
Comments
1 初回授業で詳しく説明する。基本的にはレジュメで対応する予定である。
参考書/Reference books
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
ISBN価格
Price
コメント
Comments
 
1 判例六法 最新年度版 有斐閣 3080 可能な限り最新年度版が望ましいと思います。
2 樋口範雄 [ほか] 編 アメリカ法判例百選 有斐閣 2012.12 9784641115132 2600円+税 蔵書情報 / Library information
メッセージ/Message
この講義はとにかくアメリカ法に触れ、アメリカ法を楽しみ、興味を持っていただくことが目的です。アメリカ法と日本法の比較をしながら双方の違いを知ることで、アメリカ法はもちろん日本法への理解(整理)も進むと考えています。なるべく履修者のみなさんとコミュニケーションをはかって、フレンドリーに授業を行っていきたいと思います。楽しんでもらえるように工夫しますので、興味があれば、履修してみてください。
その他/Others
出席については、授業への貢献度や積極性から評価を行う場合もある。