講義内容詳細:アメリカ法D

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年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) アメリカ法D
英文科目名/Course Title (English) American Law D
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 竹部 晴美
英文氏名/Instructor (English) TAKEBE Harumi

講義概要/Course description
英米不法行為法について掘り下げて考察することにより、判例法の基本的な考えを理解することを目的とする。具体的には事例(case)における法的事実をどのように抽出し、それに対する法的分析はどのようにおこなえばよいかについて、不法行為法事案を素材に検討を行う。最初に、英米不法行為法の特徴と考え方について説明したあと、実際にどのような要件で不法行為訴訟が提起できるのかについて、故意による不法行為と過失による不法行為、さらに製造物責任に関する訴訟を取り上げる予定である。この科目では、訴訟当事者の立場に立てばどのような異なった法的構成が可能なのかということをつねに意識しながら、法的理由付けの方法を学ぶことに主眼を置く。
達成目標/Course objectives
配布資料がある場合には、それにもとづいて、なるべくケース・メソッド、ソクラティック・メソッドによる授業を行いたい。そのため、授業への積極的な参加をすることを達成目標に一つとして挙げておく。この科目では、アメリカ法の歴史的発展、法思考の特徴、先例拘束原理を理解し、アメリカと日本の不法行為法について詳しく理解することを目指す。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
本講座以外のアメリカ法科目、さらに日本の不法行為法を既に履修していることが望ましい。しかし、それは必須ではないので、初めてアメリカ法に触れる、もしくは日本法が苦手という場合も履修を歓迎する。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class ・英米私法の構造:はじめに―不法行為法の特徴と範囲:①不法行為法の位置づけと歴史的発展 ②不法行為法の現代的問題
・故意による不法行為(1)ー① 故意不法行為の種類(Assault & Battery)
なお一回目の授業に関しては、オンライン授業(オンデマンド型)にて行う。
2
授業計画/Class 故意による不法行為(2):精神的苦痛(emotional distress)と抗弁(Defense)
3
授業計画/Class 過失による不法行為(1):Negligenceとは何か ①過失の概念 ②過失の要件 ③過失の基準
4
授業計画/Class 過失による不法行為(2):Negligenceと注意義務(duty of care) ①制定法における過失 ②土地所有者の責任 ③医師の注意義務
5
授業計画/Class 過失による不法行為(3):Negligenceと抗弁(defense) ①negligenceに対する抗弁 ②寄与過失 ③比較過失 ④危険の引き受け ⑤バナナの皮ケースを考える
6
授業計画/Class 共同不法行為:①要件 ②事例 ③責任の分配
7
授業計画/Class 因果関係論(1):causationの要件 ①事実上の因果関係とbut for test ②近接的因果関係(proximate causation)
8
授業計画/Class 前回の続き:③ポールズグラフ事件を考える
因果関係論(2):causationとintervening causeの要件 ①介在的中断理由 ②相当因果関係
9
授業計画/Class 前回の続き:③イン・リー・ポレミス事件を考える

10
授業計画/Class 因果関係論(3):causationと事実的因果関係 ①res ipsa loquitorについて
11
授業計画/Class 製造物責任(1)過失責任から厳格責任(無過失責任)①製造物責任の発展史②privityの要件と厳格製造物責任(リステイトメント第2版)
12
授業計画/Class 前回の続き:③リステイトメント第3版における「警告」と免責条項
製造物責任(2):Warranty(担保責任)による製造物責任 ①Warrantyによる製造物責任(明示と黙示の保証責任)
13
授業計画/Class 前回の続き:②merchantability(商品性)による保証責任 ③UCCにおける製造物責任
14
授業計画/Class 前回の続き:④マックファーソン v. ビューイック事件を考える。 
製造物責任(3):まとめ 
15
授業計画/Class 授業全体のまとめと質問(授業が予定通りに進まない時の予備日とします。)
 
事前学習/Preparation 事前学習は特に必要ない。講義中に「来週までに考えてきてください」や「来週までに読んできてください」など課題を課す場合があるので、その場合は指示に従って事前学習を行なってください。
事後学習/Reviewing 講義内容の復習を行うことが望ましい。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
補足事項/Supplementary notes対面授業(通常型)で行う。
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 試験 Exam 60% 学期末試験:課題の内容に対し、設問の意図を理解し、設問に解答できているかという点を評価の対象とする。授業で学習したことを解答に反映できているかという点も重視する。
2 レポート Report 40% 学期中に2回小レポート課題を課す。
教科書/Textbooks
 コメント
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1 初回授業で詳しく説明する。基本的にはレジュメで対応する予定である。
参考書/Reference books
 著者名
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タイトル
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出版社
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出版年
Published year
ISBN価格
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コメント
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1 判例六法最新年度版 有斐閣 3080 可能な限り最新年度版が望ましいと思います。
2 樋口範雄 [ほか] 編 アメリカ法判例百選 有斐閣 2012.12 9784641115132 2600円+税 蔵書情報 / Library information
メッセージ/Message
この講義はとにかくアメリカ法に触れ、アメリカ法を楽しみ、興味を持っていただくことが目的です。アメリカ法と日本法の比較をしながら双方の違いを知ることで、アメリカ法はもちろん日本法への理解(整理)も進むと考えています。なるべく履修者のみなさんとコミュニケーションをはかって、フレンドリーに授業を行っていきたいと思います。楽しんでもらえるように工夫しますので、興味があれば、履修してみてください。
その他/Others
出席については、授業への貢献度や積極性から評価を行う場合もある。