講義内容詳細:近代法史B/近代西洋法史

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年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) 近代法史B/近代西洋法史
英文科目名/Course Title (English) History of Modern Law B/History of Modern European Law
学期/Semester 前期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 松本 英実
英文氏名/Instructor (English) MATSUMOTO Emi

講義概要/Course description
諸君は不思議に思わないだろうか。西洋は新大陸をはじめとして世界のあらゆる地域を(一時)植民地とし、また奴隷制を駆使して近代国家・社会の物質的基礎を築いたにもかかわらず、誰も、旧植民地の人をはじめとして彼らの法的責任を追及しようとしていないのを。この謎を解く鍵を皆さんとともに教科書を一緒に読むことを通じて考えたい。法学部で学んでいく日本法、近代法は、西洋で編み出された方法を用いている。我々が基本として用いるさまざまな概念はどのように西洋で生まれたのか。西洋人は「西洋でないもの」に対してどのような態度をとってきたか。これを通じてどのように自己理解、他者理解をしてきたのか。このことが法にどのように関係するのか。以上のことを古代ギリシア人から出発して考える。近代を深く考えるためには、古代を理解することが必要である。いやそれどころか、西洋近代は西洋古代から生まれたのだ、という基本理解を獲得することがこの授業を通して求められる。
達成目標/Course objectives
われわれが日本に移植したと(勝手に)信じている西洋法の成立(?)とは何なのかについて、ギリシア・ローマの古典作品を素材としながら、同時に教科書に指定したアルトーグの枠組みの射程を検証しながら、皆さんと一緒に考えていきたい。近代を深く考えるためには、古代を理解することが必要である。いやそれどころか、西洋近代は西洋古代から生まれたのだ、という基本理解を獲得することがこの授業を通して求められる。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
特になし。「日本史選択でした」「世界史選択しませんでした」という人は、この授業を通して勉強すればOK。固有名詞は知っていれば知っているほどよい。地理、歴史、文学など何でも見直しておくと役に立つ!
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class はじめに オンライン授業(オンデマンド型)での実施
西洋法の世界旅行(植民地化)ー近代西洋法を考えるために
皆さんが法学部で4年間学ぶ法は、西洋で生まれた法です。西洋法の特徴は何か、考え方の根底を探ります。
大学で(西洋)法を学ぶ際の「戦略」を、Aoyama Lawの科目と関連付けながら、紹介します。
事前学習/Preparation Course Powerで本授業に履修仮登録を行って、本科目のお知らせメールが配信されるよう設定を確認しておく。教科書を入手し、手に取って目次などを眺めてみてください。高校で「世界史選択」である必要はありません。ただし、求む、好奇心!
事後学習/Reviewing 西洋と非西洋の関係を考える視点にはどのようなものがあるか、考えよう。
2
授業計画/Class この授業の基本コンセプト:西洋近代は古代から生まれた                          はじめに――オデュッセウスとは何者か:西洋文化の根底にある人間観
事前学習/Preparation 教科書p.401- 訳者による解説「オデュッセウス、『オデュッセイア』、そして『オデュッセウスの記憶』」を読む。特にI(p.402-406)精読のこと。
事後学習/Reviewing Q:近代とは何だろうか、近代を知るためには何を知ればよいだろうか
 西洋とは何だろうか、西洋を知るためには何を知ればよいだろうか                           ホメーロス『オデュッセイア』を手元で参照できる人は是非読んでほしい。
3
授業計画/Class ホメーロスの戦略ーー『オデュッセイア』を読む―― 
事前学習/Preparation ホメーロス『オデュッセイア』を読む。教科書の中の訳者解説「オデュッセウス、『オデュッセイア』、そして『オデュッセウスの記憶』」特にIIp.406-412を読む。
事後学習/Reviewing ホメーロス『オデュッセイア』を読む。訳者解説「オデュッセウス、『オデュッセイア』、そして『オデュッセウスの記憶』」復習。
4
授業計画/Class オデュッセイアと法的視点 ヒュブリスそして戦争 (リモート)
事前学習/Preparation 教科書 解説特にIII(p.413-419)およびIV(p.426)を読む。
事後学習/Reviewing ホメーロス『オデュッセイアー』を読む;教科書訳者解説を読む
5
授業計画/Class 第1章 オデュッセウスの帰還(リモート)
事前学習/Preparation 教科書 第1章を読む。
事後学習/Reviewing 「人間分別学」とは何か、理解できたか、第1章を読み直す。
オデュッセウスが未知のものと出会うときに立てる問いの意味を理解できたか、確認。
6
授業計画/Class エジプトの旅
事前学習/Preparation 教科書第2章を読む。
事後学習/Reviewing 教科書第2章を読む。
7
授業計画/Class エジプトの旅
事前学習/Preparation 第2章を読む;ヘーロドトスについて調べる
事後学習/Reviewing 第2章を読む
8
授業計画/Class バルバロイの発案と世界の目録
事前学習/Preparation 教科書第3章を読む。
事後学習/Reviewing 教科書第3章を読む。
9
授業計画/Class バルバロイの発案と世界の目録
事前学習/Preparation 教科書第3章を読む
事後学習/Reviewing 教科書第3章を読む
10
授業計画/Class ギリシアの旅
事前学習/Preparation 教科書第4章を読む。
事後学習/Reviewing 教科書第4章を読む。
11
授業計画/Class ギリシアの旅
事前学習/Preparation 教科書第4章を読む。
事後学習/Reviewing 教科書第4章を読む。
12
授業計画/Class ローマの旅
事前学習/Preparation 教科書第5章を読む
事後学習/Reviewing 教科書第5章を読む
13
授業計画/Class ローマの旅 (リモート)
事前学習/Preparation 教科書第5章を読む。
事後学習/Reviewing 結章を読む。
14
授業計画/Class 結章 アポローニオスの記憶とピュータゴラースの名前
 アポローニオスとは何者か (リモート)
事前学習/Preparation 結章を読む。合わせて序文、序章を読む
事後学習/Reviewing 全体の復習として、ぜひ「新装版に寄せて」「日本語版への序文」「序章 旅する人と境界人」を読んでください。全体を読了後に読むと、内容がよくわかるはずです。
15
授業計画/Class 補論:西洋人の自画像 近代と古代
「古代人vs近代人」論争
事前学習/Preparation 二つの序章を読む
事後学習/Reviewing まとめ。教科書を折に触れて読んでほしい。特に留学する人はもう一度読んでほしい。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method ハイブリッド型ブレンド形式 / hybrid blend
補足事項/Supplementary notes本授業はオンライン(オンデマンド型)も交えた対面型で行う予定である。初回に、より詳細な方法について説明する。指定したテクスト(教科書)を読んでくることを前提として授業を行う。
復習は、特に授業の中で取り上げた個所を中心に教科書を読んでほしい。
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 試験 Exam 100%
教科書/Textbooks
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1 フランソワ・アルトーグ著 ; 葛西康徳, 松本英実訳 [新装版]オデュッセウスの記憶 東海教育研究所 2021.4 9784924523197 4800円+税 新版を入手されたい(内容が新しくなっています)。
参考書/Reference books
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1 ホメーロス [著] ; 呉茂一訳 オデュッセイアー 岩波書店 1971.3 4003210247 550円 他の訳者、出版社、版もあります。岩波文庫旧版呉茂一訳がお勧め 蔵書情報 / Library information
2 葛西康徳, ヴァネッサ・カッツァート編 古典の挑戦 知泉書館 2021.3 9784862853363 5000円+税 蔵書情報 / Library information
3 Robert Warden Lee The Civil Law and the Common Law---A World Survey Michigan Law Review 1915 雑誌論文 Vol. XIV, No.2, p.88-101
メッセージ/Message
法学部で学ぶ法は西洋起源の法が中心である。西洋をどうとらえるか。この問いを考えることが、法を使いながら社会に出、世界に出て行く第一歩となる。
その他/Others
海外研修F/イギリスセミナーとも内容的に関連します。オクスフォードで法学、古典学を学ぶユニークなサマー・プログラムです。関心のある人は同科目のシラバスを参照し、かつ是非4月初旬の説明会を覗いてください。
キーワード/Keywords
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