講義概要/Course description
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本講義では、近世以降の世界的な法の展開を担ったローマ法とコモン・ローについて、その相互の影響関係を分析することを目標とする。コモン・ローの形成・発展における『法学提要』の役割等、ローマ法の影響を検証し、あわせてカノン法(教会法)が提供した基盤を検討する。つまり、コモン・ローを”Civil Law”(大陸法)との共通部分から考察する試みである。ローマ法と教会法を基礎とするユース・コムーネius communeの展開と、コモン・ロー、Civil Lawを混合するスコットランド法、オランダ法等を視野におさめつつ、最後に、日本法のあり方をコモン・ローとの関係を通して考える(法典編纂における法学提要の重要性と、法典化における日本伝統法・慣習法の問題を財産法と身分法の区別という観点から比較考察する)。授業方法は講義形式を基調としつつ、英語文献の講読やディスカッションを交える。
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達成目標/Course objectives
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法学部で学んでいく日本法、近代法は、西洋で編み出された法という方法を用いている。我々が基本としている概念や制度はどのように西洋で生まれ、その後どのような展開を遂げて世界に広がっていったのか。その根幹にあるローマ法の存在を押さえつつ、西洋法の二つの流れ(大陸法とコモン・ロー)の一つを担うイギリス法の歴史を理解する。
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履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
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法史学Aとあわせて受講することが望ましい。
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授業計画/Lecture plan
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1
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授業計画/Class |
はじめに オンライン(オンデマンド型)での実施 授業の進め方についての説明 |
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2
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授業計画/Class |
序 西洋法概観 世界の中の法の動き(ローマ法とコモン・ロー)(オンライン)
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3
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授業計画/Class |
コモン・ローの誕生/授業内発表担当決定
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4
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授業計画/Class |
The Common Law (John Baker) |
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5
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6
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授業計画/Class |
ローマ法とイングランド法(1) |
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7
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授業計画/Class |
ローマ法とイングランド法(2) |
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8
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授業計画/Class |
イングランドにおけるカノン法(1) |
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9
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授業計画/Class |
イングランドにおけるカノン法(2) |
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10
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授業計画/Class |
Mixed Jurisdictionとローマ法・カノン法 |
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11
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授業計画/Class |
Mixed jurisdiction:スコットランド法、オランダ法、フランス法 |
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12
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授業計画/Class |
Mixed Jurisdiction: 日本法、モンテネグロ法 |
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13
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授業計画/Class |
コモン・ローと英米法--コモン・ローの日本への普及(1)(オンライン) |
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14
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授業計画/Class |
コモン・ローと英米法--コモン・ローの日本への普及(2)(ゲスト・スピーカー、オンライン) |
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15
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事前学習/Preparation |
教科書の該当箇所を予習する。適宜配布英語文献を読む。 受講者人数によっては授業内発表を課すので発表の準備を行う。
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事後学習/Reviewing |
教科書、プリントをもう一度読み、コモン・ロー概念についての理解を深める。 |
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授業方法/Method of instruction
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区分/Type of Class |
対面授業 / Classes in-person
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実施形態/Class Method |
ハイブリッド型ブレンド形式 / hybrid blend
補足事項/Supplementary notes本講義は対面授業(通常型)で実施します。 指定したテクスト(日本語、英語)を読んでくることを前提として授業を行い、受講者人数によっては報告形式を採用する。イギリス法制史随一の学者による概説を精読し、日本語の説明(教科書)と読み比べながら、理解を進める。詳細は授業指示します。
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活用される授業方法/Teaching methods used |
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成績評価方法/Evaluation
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1 |
レポート Report
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50%
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2 |
平常点 In-class Points
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50%
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授業内発表等を含む授業内での積極的参加
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教科書/Textbooks
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| 著者名 Author | タイトル Title | 出版社 Publisher | 出版年 Published year | コメント Comments |
1 |
J.H.ベイカー、葛西康徳編
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コモン・ロー入門
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東京大学出版会
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2022
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2022年刊行予定
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参考書/Reference books
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| 著者名 Author | タイトル Title | 出版社 Publisher | 出版年 Published year | ISBN | 価格 Price | コメント Comments | |
1 |
Peter Birks and Grant McLeod (translation and introduction)
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Justinian's Institutes
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Duckworth
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1987
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9784000229371
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2 |
Robert Warden Lee
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The Civil Law and the Common Law---A World Survey
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Michigan Law Review
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1916
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Vol. XIV, No.2, 1916, 88-101
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3 |
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SEED BOOK 12
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Aoyama Gakuin
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2014
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2870
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https://www.aoyamagakuin.jp/education/english/pdf/learning_tool_12.pdf
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4 |
Tony Honoré
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About law
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Clarendon Press
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1995.
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0198763875
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https://www.agulin.aoyama.ac.jp/opac/opac_details/?lang=0&amode=11&bibid=TB20425757
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蔵書情報 / Library information
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5 |
Catherine Barnard, Janet O'Sullivan and Graham Virgo [editors] ; with contributions by Mark Elliott, Kevin Gray, Tony Weir
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What about law?
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Hart Publishing
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2011.
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9781849460859
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https://www.agulin.aoyama.ac.jp/opac/opac_details/?lang=0&amode=11&bibid=TB50225770
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蔵書情報 / Library information
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6 |
ラインハルト・ツィンマーマン著 ; 佐々木有司訳
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ローマ法・現代法・ヨーロッパ法
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信山社
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2008.9
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9784797261516
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6600円+税
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蔵書情報 / Library information
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7 |
クヌート・W・ネル著 ; 村上淳一訳
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ヨーロッパ法史入門
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東京大学出版会
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1999.2
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4130323164
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2400円+税
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蔵書情報 / Library information
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8 |
村上淳一著
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「権利のための闘争」を読む
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岩波書店
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1983.11
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4000048740
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1800円
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蔵書情報 / Library information
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メッセージ/Message
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法学部で学ぶ法は西洋起源の法が中心です。西洋をどうとらえるか。この問いを考えることが、法を使いながら社会に出、世界に出て行く第一歩です。
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その他/Others
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法史学Aとあわせて受講すると、西洋法史が二つの観点から理解でき、概観できる。また、海外研修F(イギリスセミナー)とも内容的に関連します。オクスフォードで法学、古典学を学ぶユニークなサマー・プログラムです。関心のある人は情報提供しますので松本まで。説明会等の開催についても注意してください。
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キーワード/Keywords
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西洋法
ローマ法
イギリス法
コモン・ロー
フランス法
大陸法
Institutes
混合法
法制史
歴史
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