講義内容詳細:刑事法特論D

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年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) 刑事法特論D
英文科目名/Course Title (English) Topics in Criminal Law D
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 小野上 真也
英文氏名/Instructor (English) ONOGAMI Shinya

講義概要/Course description
 本講義では「経済刑法」を学びます。経済活動により、他の人・組織に何らかの不利益を生じさせ、それが犯罪にあたる場合には処罰の対象となりますが(経済犯罪)、それらの経済犯罪がいかなる場面で発生するのか、また、いかなる要件の下で成立するのかを検討します。
 基本的に講義形式で行いますが、ときおり、受講者に意見を求め、(可能な範囲で)それを基に議論する双方向授業も実践する予定です。なお、毎回レジュメを提供します。レジュメには、具体的な事案を数例挙げます。授業では、自分はそれらにつきいかなる結論を採るか(その理由付けも含め)考えながら受講して下さい(事前・事後学習でもレジュメを活用して下さい)。
達成目標/Course objectives
刑法総論・各論の知識を経済刑法解釈に応用できるようにすること、自らの力で考え抜き一定の帰結を説得的に表明することができるようにすること、が本講義の達成目標です。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
とくにありません。ただ、本講義は、刑法、刑事訴訟法、刑事政策、民法、会社法、金融商品取引法、独占禁止法、税法などにもかかわりますので、刑事法全般のほか、刑事法以外のさまざまな領域にも興味をもって学修して下さい。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class イントロダクション―経済刑法講義の全体像―【※第1回授業については、オンライン授業(オンデマンド形式)で行います。】
事前学習/Preparation 「経済刑法」とは何だろう?と興味をもって考えてみて下さい。
事後学習/Reviewing この半期間で学ぶことの全体像を可能な範囲でイメージしてみて下さい。
2
授業計画/Class 経済刑法の概念と対象領域・経済刑法における法益概念
事前学習/Preparation 刑法典の対象領域と経済刑法のそれとはどこが異なるかを考え、また、「法益」とはいかなる概念かを復習しておいて下さい。
事後学習/Reviewing 経済犯罪とはいかなるものかを理解し、今回扱った経済犯罪の保護法益は何かを復習して下さい。
3
授業計画/Class 法人処罰の基礎理論
事前学習/Preparation 「自然人」と「法人」という概念を復習して下さい。
事後学習/Reviewing 肉体と精神の無い「法人」を処罰の対象とし得る根拠を考えて下さい。
4
授業計画/Class 法人処罰論の現代的展開
事前学習/Preparation 企業犯罪予防・事後対策に向けた、各企業の取り組みに興味をもって下さい。
事後学習/Reviewing 同一視理論と組織モデル、企業の内部統制システム、コンプライアンス・プログラムの意義を復習して下さい。
5
授業計画/Class 会社法上の犯罪①:特別背任罪の成立要件と不良貸付けの相手方の共犯
事前学習/Preparation 背任罪(刑法247条)と特別背任罪(会社法960条以下)を調べて下さい。
事後学習/Reviewing 経済活動の自由と借り手の共犯責任がどういう関係に立つか考えて下さい。
6
授業計画/Class 会社法上の犯罪②:会社財産の危殆化罪・経営の公正に対する罪
事前学習/Preparation 会社財産を危うくする犯罪にはどのようなものがあるか、予習して下さい。
事後学習/Reviewing 今回扱った犯罪の各要件を復習して下さい。
7
授業計画/Class 金融商品取引法における「情報開示規制」と刑法
事前学習/Preparation (旧)証券取引法・(現行)金融商品取引法とはどのような法律か調べて下さい。
事後学習/Reviewing 今回扱った犯罪は何を保護しようとしているか復習して下さい。
8
授業計画/Class 金融商品取引法における「不公正取引規制」と刑法
事前学習/Preparation 金融商品取引法における不公正取引のうち「インサイダー取引」とは何かを調べて下さい。
事後学習/Reviewing 各要件がどのようになっているか、犯罪成立範囲はどこまでか復習して下さい。
9
授業計画/Class 広義の刑法における賄賂罪(刑法・会社法・金商法)と没収・追徴の意義
事前学習/Preparation 賄賂罪の成立要件(とくに職務関連性)や、没収・追徴を行なうことの意義について予習して下さい。
事後学習/Reviewing 狭義の刑法における賄賂罪と会社法・金商法における賄賂罪の特徴、没収・追徴の意義を復習して下さい。
10
授業計画/Class 情報の不正入手(産業スパイ事件)と刑法典の財産犯
事前学習/Preparation 刑法典の窃盗罪・背任罪・横領罪の各要件を確認しておいて下さい。
事後学習/Reviewing 今回扱った事案での「財物性」「不法領得の意思」の意義を復習して下さい。
11
授業計画/Class 営業秘密侵害罪をめぐる諸問題(不正競争防止法)
事前学習/Preparation 前回講義で学んだ(刑法典の)財産犯成立の限界を確認して下さい。
事後学習/Reviewing 営業秘密侵害罪の改正動向から学び取ることができるものを復習して下さい。
12
授業計画/Class 補助金の不正受給と詐欺罪・補助金等不正受交付罪
事前学習/Preparation 刑法典における詐欺罪と補助金適正化法における補助金等不正受交付罪の処罰範囲・成立要件の違いを調べて下さい。
事後学習/Reviewing 詐欺罪と補助金等不正受交付罪の適用関係はどのようになるか(法条競合か?観念的競合か?)について復習して下さい。
13
授業計画/Class 消費者保護と刑法
事前学習/Preparation マルチ商法やねずみ講をはじめとした消費者被害について調べて下さい。
事後学習/Reviewing 消費者被害に対しいかなる刑事規制が予定されているか復習して下さい。
14
授業計画/Class 租税法違反の刑事規制
事前学習/Preparation 「租税」とは何か調べて下さい。
事後学習/Reviewing 脱税に対しいかなる刑事規制が予定されているか復習して下さい。
15
授業計画/Class 法的制裁の意義―独占禁止法違反と刑事制裁・行政制裁・民事制裁―
事前学習/Preparation 独占禁止法とはいかなる法律か調べて下さい。
事後学習/Reviewing 独占禁止法違反に対しいかなる刑事規制が予定されているか、刑事制裁と行政制裁のもつ意味の違いは何か、を復習して下さい。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 試験 Exam 70% 評価基準は、基本的に、次の①~③に依ります。
①問題の所在と、諸学説・判例を適確に把握し理解できているか。
②諸学説・判例を分析検討したうえで、各事案に適確にあてはめることができているか。
③私見を適確に表現できているか。


2 その他 Others 30% 内容理解確認のための「小テスト」を複数回行ないます。
教科書/Textbooks
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
ISBN価格
Price
1 斉藤豊治/浅田和茂/松宮孝明/髙山佳奈子 編著 新経済刑法入門 第3版 成文堂 2020年 9784792353186 3,850円(本体3,500円)
メッセージ/Message
 しっかりと事前学習(予習)をして「何がわからないか」をある程度明確にして授業に臨んでください。授業の理解度が(予習しなかった場合に比べ)格段に高まるはずです。そして、事後学習(復習)で理解を深めてください。その積み重ねが大切です。各回の学びには、授業時間外に少なくとも約2時間程度の予習・復習が前提となります。上記「授業計画」に記載の事前学習・事後学習内容を参考に、予習・復習に取り組んでください。
 また、定期試験のほか、授業内の小テストを複数回を行なうため、各回の授業に出席し着実に理解を深めるという受講態度が求められます。
その他/Others
毎回の講義に六法(出版社は問わない)を持参して下さい。