講義内容詳細:経営演習Ⅰ(1)/経営演習Ⅱ(1)

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年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) 経営演習Ⅰ(1)/経営演習Ⅱ(1)
英文科目名/Course Title (English) Seminar on Business Ⅰ(1)/Seminar on Business Ⅱ(1)
学期/Semester 前期 単位/Credits 2/4
教員名/Instructor (Japanese) 佐藤 靖
英文氏名/Instructor (English) SATO Osamu

講義概要/Course description
[授業内容]
 経営演習Ⅰ(1)と経営演習Ⅱ(1)はペア科目であるため、両科目の講義要綱をまとめて以下に記す。 

 「経営者マインドの育成」という基本理念にもとづき、「会計情報を経営上の意思決定にいかに役立てていくか」が本演習のテーマである。会計情報を中心とした定量情報(必要に応じて個別企業に関する定性情報およびマクロ経済情報)を企業活動にどう活用していくかを、企業経営者の立場に立って、経営の実践的ケースを取り上げて学んでいきたい。

 経営の実践的ケースについて検討を加えるということは、理論を軽視するということを意味するものでは決してない。理論なしに実践を論ずるということは、言わばライトを持たずに夜道を歩きまわるに等しい行為である。経営に関する基礎理論の習得は、経営を実践していくうえでの必要条件と言える。経営に関する基礎理論の一つが財務分析に関する理論に他ならない。

 そこで、経営演習Ⅰ(1) / 経営演習Ⅱ(1)(前期)を、理論的な基礎固めの期間、つまり、財務分析の基礎について学習する期間と位置づける。財務分析指標は数多く存在し、また、財務分析の目的(分析者の情報欲求)によっていかようにも作成しうる。しかし、情報過多の状態は却って経営者の意思決定を混乱させかねない。そこで本演習では、利益とキャッシュの構造的分析に焦点をあてて、主要な財務分析指標を取り上げて学んでいきたい。財務分析においても所謂「パレートの法則」は当てはまるのである。
 なお必要に応じて、会計情報の意味内容について、複式簿記の原理にまで遡って再検討を加える時間も設けることとする。

 経営演習Ⅰ(1)の受講者にはレポート(期中の小レポート、期末レポート)の提出を求める。レポートの作成やディスカッションの際には、その内容はもちろんプレゼンテーションの仕方も重要なポイントとなる。レポートや論文の書き方の技術的な指導も随時行い、表現力も高めていきたい。また、経営演習Ⅱ(1)の受講者は、経営演習Ⅰ(1)の受講者のチューター役を担うことにより、前年度に学んだ財務分析の理論と実践について復習して、卒業論文の執筆に繋げて欲しい。

 なお必要に応じて、企業の経営者(取締役レベルでオンラインでのコミュニケーションが可能な方)をゲストスピーカーとして招き、企業経営の経験を基に議論をする場を設けたい。
達成目標/Course objectives
 財務分析の基礎理論(会計学および経営学の基礎理論を含む)を習得したうえで、個別企業の財務分析を経営者の視点で行い、それに基づいて具体的な経営戦略・戦術の立案ができるようにする。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
アカウンティング基礎Ⅰ・Ⅱを修得済みであること。
財務分析論Ⅰを必ず受講すること(または受講済みであること)。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 授業ガイダンス
 財務分析の意義に関する講義を含む。(対面授業での実施)
事前学習/Preparation アカウンティング基礎Ⅰ・Ⅱの復習とともに、教科書の「はじめに」および第1章を通読する。加えて、参考書の第1章を通読しておくことが望ましい。
事後学習/Reviewing 演習ノートを参考にして、改めて、教科書の「はじめに」を読んで講義内容を確認する。加えて、参考書の第1章を再度通読することが望ましい。その際には、オンラインシステムを十全に活用して、4年生がチューターとなって3年生の指導を行って欲しい。
2
授業計画/Class 「損益の動態分析」に関する講義とそれに基づくディスカッション(1)
 損益分岐点分析の展開としてのレバレッジ指標に焦点をあてて
事前学習/Preparation 教科書1-25頁(特に1-18頁)を熟読して疑問点(最低でも各自5つ以上)を明らかにする。この事前学習を効率的に行うためには、参考書の第1章の通読が効果的である。
事後学習/Reviewing 演習ノートを参考に、教科書1-18頁を再度熟読すること。そのうえで、現段階で残る疑問点を明らかにする。この疑問点は次回の演習の論点となる。
3
授業計画/Class 「損益の動態分析」に関する講義とそれに基づくディスカッション(2)
 各種レバレッジ指標の統合指標としての安全余裕率(MSR)に焦点をあてて
事前学習/Preparation 第2回の授業で提示された資料を参考にしつつ、教科書1-25頁(特に18-25頁)を熟読して疑問点(最低でも各自5つ以上)を明らかにする。この事前学習を効率的に行うためには、参考書の第1章の通読が効果的である。
事後学習/Reviewing 演習ノートと資料を参考に、教科書18-25頁を再度熟読する。そのうえで、現段階で残る疑問点を明らかにする。この疑問点(第2回授業後の疑問点を含む)は次回の演習の論点となる。
4
授業計画/Class 「損益の動態分析」に関する講義とそれに基づくディスカッション(3)
 「戦略的意思決定のための損益構造分析」に焦点をあてて
事前学習/Preparation 教科書1-25頁を熟読して「損益の動態分析」の内容を復習する。そして、依然として残る疑問点を明らかにする。この事前学習を効率的に行うためには、参考書の第1章の再度の通読が効果的である。なお、前回のゼミを振り返り、議論すべき課題を明確にしておくこと。
事後学習/Reviewing 演習ノートとレジュメを参考に、教科書1-25頁を再度熟読するする。その際には、①MSRと各種レバレッジ指標の関係、②MSRの値を踏まえた経営意思決定、に焦点をあてて復習すること。なお、講義中に用いた財務分析プログラムをコースパワーを通じて全員に送信する予定である。同プログラムを事後学習に活用すること。
5
授業計画/Class 「損益の効率性分析」に関する講義とそれに基づくディスカッション(1)
 ROAとROEの関係、特にFLEVの理論的および実践的意味に焦点をあてて
事前学習/Preparation 教科書第2章(全節)を熟読して疑問点(最低でも各自5つ以上)を明らかにする。この事前学習を効率的に行うためには、参考書の第3章の通読が効果的である。
事後学習/Reviewing 演習ノートを参考に、教科書第2章(全節)を再度通読すること。そのうえで、現段階で残る疑問点を明らかにする。この疑問点は次回の演習の論点となる。
6
授業計画/Class 「損益の効率性分析」に関する講義とそれに基づくディスカッション(2)
 「いわゆる借金の効用の功罪」に焦点をあてて
事前学習/Preparation 教科書第2章(全節)を熟読して「損益の効率性分析」の内容を復習する。そして、依然として残る疑問点を明らかにする。この事前学習を効率的に行うためには、参考書の第3章の再度の通読が効果的である。なお、前回のゼミを振り返り、議論すべき課題を明確にしておくこと。
事後学習/Reviewing 演習ノートと資料を参考に、教科書第2章(全節)を再度熟読する。その際には、①ROAとROEの関係(特にFLEV)、②FLEVを意識した経営意思決定、に焦点をあてて復習すること。なお、講義中に用いた財務分析プログラムをコースパワーを通じて全員に送信する予定である。同プログラムを事後学習に活用すること。
7
授業計画/Class 「利益とキャッシュの差異分析」に関する講義とそれに基づくディスカッション(1)
 利益とキャッシュの差異要因と利益キャッシュ関係式の理解に焦点をあてて
事前学習/Preparation 教科書第3章(特に69-88頁)を熟読して疑問点(最低でも各自5つ以上)を明らかにする。この事前学習を効率的に行うためには、参考書の第2章の通読が効果的である。
事後学習/Reviewing 演習ノートを参考に、教科書69-88頁を熟読すること。そのうえで、現段階で残る疑問点を明らかにする。この疑問点は次回の演習の論点となる。
8
授業計画/Class 「利益とキャッシュの差異分析」に関する講義とそれに基づくディスカッション(2)
 キャッシュ・フロー管理の実践的指標としての各種回転率指標に焦点をあてて
事前学習/Preparation 第7回の授業で提示された資料を参考にしつつ、教科書第3章(特に88-100頁)を熟読して疑問点(最低でも各自5つ以上)を明らかにする。この事前学習を効率的に行うためには、参考書の第2章の通読が効果的である。
事後学習/Reviewing 演習ノートと資料を参考に、教科書88-100頁を再度熟読すること。そのうえで、現段階で残る疑問点を明らかにする。この疑問点(第7回授業後の疑問点を含む)は次回の演習の論点となる。
9
授業計画/Class 「利益とキャッシュの差異分析」に関する講義とそれに基づくディスカッション(3)
 「戦略的意思決定のための利益とキャッシュの差異分析」に焦点をあてて
事前学習/Preparation 教科書第3章を熟読して「利益とキャッシュの差異分析」の内容を復習する。そして、依然として残る疑問点を明らかにする。この事前学習を効率的に行うためには、参考書の第2章の再度の通読が効果的である。なお、前回のゼミを振り返り、議論すべき課題を明確にしておくこと。
事後学習/Reviewing 演習ノートと資料を参考に、教科書第3章(全節)を再度熟読する。その際には、①利益キャッシュ関係式の内容、②回転期間分析とキャッシュ・フロー管理の関係、に焦点をあてて復習すること。なお、講義中に用いた財務分析プログラムをコースパワーを通じて全員に送信する予定である。同プログラムを事後学習に活用すること。
10
授業計画/Class 「キャッシュ・フロー分析」に関する講義とそれに基づくディスカッション(1)
 総額ベースのキャッシュ・フロー情報の算定とその分析に焦点をあてて
事前学習/Preparation 教科書101-128頁(特に101-110頁)を熟読して疑問点(最低でも各自5つ以上)を明らかにする。この事前学習を効率的に行うためには、参考書の第2章の通読が効果的である。
事後学習/Reviewing 演習ノートを参考に、教科書101-110頁を再度熟読すること。そのうえで、現段階で残る疑問点を明らかにする。この疑問点は次回の演習の論点となる。
11
授業計画/Class 「キャッシュ・フロー分析」に関する講義とそれに基づくディスカッション(2)
 収支分岐点と収支構造分析に焦点をあてて
事前学習/Preparation 第10回の授業で提示された資料を参考にしつつ、教科書101-128頁(特に110-126頁)を熟読して疑問点(最低でも各自5つ以上)を明らかにする。この事前学習を効率的に行うためには、参考書の第2章の通読が効果的である。
事後学習/Reviewing 演習ノートと資料を参考に、教科書110-126頁を再度熟読すること。そのうえで、現段階で残る疑問点を明らかにする。この疑問点(第10回授業後の疑問点を含む)は次回の演習の論点となる。
12
授業計画/Class 「キャッシュ・フロー分析」に関する講義とそれに基づくディスカッション(3)
 「損益構造と収支構造の比較分析」に関する講義を中心に
事前学習/Preparation 教科書第4章を熟読して「総額ベースのキャッシュ・フロー分析」の内容を復習する。そして、依然として残る疑問点を明らかにする。この事前学習を効率的に行うためには、参考書の第2章の再度の通読が効果的である。なお、前回のゼミを振り返り、議論すべき課題を明確にしておくこと。
事後学習/Reviewing 演習ノートと資料を参考に、教科書第4章全節を再度熟読する。その際には、①利益キャッシュ関係式を用いた総額ベースのキャッシュ・フロー情報の算出の仕方、②収支分岐点分析の理論と実践的意義、に焦点をあてて復習すること。なお、講義中に用いた財務分析プログラムをコースパワーを通じて全員に送信する予定である。同プログラムを事後学習に活用すること。
13
授業計画/Class 「財務バランスの分析」に関する講義とそれに基づくディスカッション(1)
 流動性分析の理論的および実践的意味に焦点をあてて
事前学習/Preparation 教科書第5章(第1節~第2節)を熟読して疑問点(最低でも各自5つ以上)を明らかにする。この事前学習を効率的に行うためには、参考書の第4章の通読が効果的である。
事後学習/Reviewing 演習ノートを参考に、第5章(第1節~第2節)を再度熟読すること。そのうえで、現段階で残る疑問点を明らかにする。この疑問点は次回の演習の論点となる。
14
授業計画/Class 「財務バランスの分析」に関する講義とそれに基づくディスカッション(2)
 「流動性分析の現代的意義」に焦点をあてて
事前学習/Preparation 第5章(第1節~第2節)を熟読して「財務バランスの分析」の内容を復習する。そして、依然として残る疑問点を明らかにする。この事前学習を効率的に行うためには、参考書の第3章の再度の通読が効果的である。なお、前回のゼミを振り返り、議論すべき課題を明確にしておくこと。
事後学習/Reviewing 演習ノートと資料を参考に、第5章(第1節~第2節)を再度熟読する。その際には、①貸借対照表に示されている情報の意味内容、②流動性分析の現代的意義、に焦点をあてて復習すること。なお、講義中に用いた財務分析プログラムをコースパワーを通じて全員に送信する予定である。同プログラムを事後学習に活用すること。
15
授業計画/Class 総復習と要点整理
事前学習/Preparation 教科書の全章を熟読して、第1回~第14回の演習で学習した内容を復習しておくこと。この学習を効率的に行うためには、参考書の全章を同時に通読することが効果的である。
事後学習/Reviewing 第1回から第15回までの演習ノートを参考に、教科書の全章を再度熟読して講義で学習した内容を総復習すること。その際には、コースパワーを通じて提示した財務分析プログラムを活用して、実際の財務分析と経営意思決定のプロセスを追体験することが有効である。なお、経営演習Ⅱ(1)の受講者は、この財務分析プログラムを卒業論文の作成に活用すること。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
補足事項/Supplementary notes 経営演習Ⅰ(1)/経営演習Ⅱ(1)は対面授業を行います。受講者は時間割で指定された教室に開始時間までに集合してください。
 各授業において、講義内容の記載にしたがって演習を進行します。教員と学生、学生同士のディスカッションが重要な内容となりますので、積極的な参加を期待します。なお、感染症対策として、必ずマスクを着用してください。また、ソーシャルディスタンスの確保や長時間の会話を防ぐという点を意識してディスカッションを進めることとします。
 第5時限では卒論を含めた個別指導ないしグループ単位の指導を行います。それと並行して、財務分析の基礎理論とその実践に関する動画を視聴する時間に宛てます。授業の理解度を小レポートで確認し、翌週の演習において補足説明を行います。詳しくはコースパワーを参照してください。
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 平常点 In-class Points 50% ディスカッションの内容で評価する。
2 レポート Report 50% 授業中に課す小レポートの内容で評価する。小レポートの解答内容で学習の進行度合いを判断し、期末に総合レポートを課すこともある。
課題(試験やレポート等)に対するフィードバックの方法/Feedback methods for assignments (exams, reports, etc.)
提出されたレポートに基づいて、演習時間に補足説明を行う。
教科書/Textbooks
 著者名
Author
タイトル
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出版社
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出版年
Published year
ISBN価格
Price
1 佐藤靖著 『経営意思決定のための財務分析―利益とキャッシュの実践管理』 中央経済社 2013.4 9784502474408 2200円+税
参考書/Reference books
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出版社
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出版年
Published year
ISBN価格
Price
 
1 佐藤靖著 『経営者が知っておきたい実践財務分析―利益とキャッシュの増やし方』 中央経済社 2007.12 9784502279805 2000円+税 蔵書情報 / Library information
メッセージ/Message
演習の時間は演習への出席(オンラインミーティングへの参加)を最優先すること。理由の如何を問わず欠席・遅刻は認めない(ただし、大学が認めた公欠は除く)。
その他/Others
2/3以上の出席を成績評価の要件とします。
第1回の授業において、連絡先(メールアドレス)をお伝えします。個別の質問等がある場合は、あらかじめメールでお知らせください。
キーワード/Keywords
財務分析         経営分析     企業分析     企業経営     経営意思決定