講義内容詳細:開発金融

戻る
年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) 開発金融
英文科目名/Course Title (English) Development Finance
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 奥田 英信
英文氏名/Instructor (English) OKUDA Hidenobu

講義概要/Course description
 少子高齢化が本格化し国内市場が伸び悩む我が国にとって、新興市場経済の成長を取り込んでいくことが重要に成ってきています。この授業では、新興市場経済の発展を金融面から把握することで、我が国の企業や金融機関にとってのビジネスチャンスがどこにあるか、我が国の政府開発援助はどうあるべきなのか考える基本的視点を提供します。 
 授業では、初めに、経済発展における金融の役割を整理し、新興市場経済にとって望ましい金融システムの姿を考えます。次に、新興市場経済における金融機関、企業、家計の実態について紹介します。最後に、先進国からの開発援助や海外投資が、新興市場経済の発展に与える影響について説明します。 時事問題については機会を見て取り上げて生きたいと思います。
 授業は、原則としてテキストに沿って進めていきます。事前に金融の知識は必要ありませんが、簡単な数値例などを使って基本的なコンセプトについて理解ができるようにしたいと思います。授業に関連して簡単な宿題を出します。授業の後半で、自習問題を配布し、期末試験はこの中から出題します。
達成目標/Course objectives
 授業では、①経済開発にとって望ましい金融システムは何か、②新興市場経済の銀行、企業金融、農村金融の実態、③近年の国際的開発援助の動向、について「経済学の視点」から解説して行きます。また、アジアを中心に新興市場の時事問題も取り上げます。これらの問題について、各自が的確に説明できるようになることが、授業の到達目標です。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
 様々な経済学および金融論の様々なコンセプトを利用しますが、特に事前履修の必要はありません。授業の中で、できるだけ分かり易く説明します。もちろん経済学や金融論の基礎知識があるほど、理解度は高くなります。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 途上国開発と金融の役割(1)
 ①はじめに
 ②経済発展と金融部門の役割、
 ③金融と経済発展の検証
2
授業計画/Class 途上国開発と金融の役割(2)
 ④途上国の開発金融政策の変遷
 ⑤これからの開発金融政策の展望:フィンテック、デジタル通貨など
3
授業計画/Class 東南アジア諸国の金融システム
 ①はじめに
 ②開発金融パラダイムの転換
 ③いろいろな事例:韓国、タイ、マレーシア、フィリピン、カンボジア
4
授業計画/Class 銀行型システムか市場型システムか
 ①銀行と証券市場はどう違うか
 ②銀行が途上国経済で優越する理由
 ③経済発展と金融システムの転換
 ④補足:時事解説
5
授業計画/Class 途上国の銀行
 ①はじめに
 ②銀行業の特性
 ③グローバル化と途上国の銀行
 ④補足:時事解説
6
授業計画/Class 外国銀行の進出とその役割
 ①外国銀行のメリットとデメリット
 ②外国銀行の進出と地場銀行
 ③アジア市場における外国銀行と邦銀
7
授業計画/Class 途上国の企業資金調達
 ①企業金融の理論
 ②東アジアの企業の資本構成
 ③時事解説
8
授業計画/Class 東アジアとコーポレート・ガバナンス
 ①負債によるガバナンスと株式によるガバナンス
 ②東アジアのコーポレート・ガバナンス
 ③時事解説
9
授業計画/Class 途上国農村の金融問題:マイクロ・ファイナンス(1)
 ①農村金融の問題
 ②マイクロ・ファイナンスのメカニズム
 ③マイクロ・ファイナンスの可能性と限界
10
授業計画/Class 途上国の金融問題:マイクロ・ファイナンス(2)
 ①グラミーン・バンク
 ②グラミーンⅠ
 ③グラミーンⅡ
 ④マイクロ・ファイナンスの将来
11
授業計画/Class 開発途上国と対外資金(1)
 ①対外資金フローの種類と性質
 ②対外資金利用の経済分析:民間資金と公的資金
 ③時事解説
12
授業計画/Class 開発途上国と対外資金(2)
 ③開発途上国への資金フローの歴史的展開
 ④今後の展望
13
授業計画/Class 途上国・新興経済の対外債務問題
 ①対外債務の経済分析
 ②低所得国の債務問題
 ③中所得国の債務問題
14
授業計画/Class 開発援助資金の動向と課題
 ①持続可能な開発目標:MDGからSDGへ
 ②公的開発援助の動向
 ③開発援助の効果について
15
授業計画/Class まとめに代えて:東南アジアの金融と日本
 ①東南アジアの金融ニーズの変化
 ②東南アジアの発展と日本企業・金融機関
 ③東南アジアの発展と日本の開発援助政策
 ④時事問題
 
事前学習/Preparation ①テキストに沿って要点を説明していきます。
②授業の予定に合わせてテキストに一通り目を通しておいてください。不明な個所を予めメモしてから授業に参加すると良いでしょう。
事後学習/Reviewing ①各章の授業が終わったら、授業の要点を復習するための簡単な課題をCourse Powerを使って出します。内容を理解できたかどうか確認するのに利用してください。次回の授業までを目途に提出してください。
②期末テストは、年末に配布する課題の中から出題します。試験までには十分に時間があるので、時間をかけて準備をしてください。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
補足事項/Supplementary notes①テキストに沿って要点を説明します。
②授業を忘れないうちに、テキストを読むと理解が深まります。
③授業の要点を復習するための簡単な宿題を出します。次回の授業で提出してください。
④期末テストは、年末に配布する課題の中から出題します。十分に時間をかけて準備をしてください。
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 試験 Exam 70% 期末テスト(事前に問題を提示、持込不可、記述式)
2 その他 Others 30% 宿題提出
教科書/Textbooks
 コメント
Comments
1 奥田英信・三重野文晴・生島靖久『新版 開発金融論』日本評論社。
参考書/Reference books
 コメント
Comments
 
1 必要があれば授業で紹介します。
メッセージ/Message
 日本企業の活動も、国内市場が少子高齢化で伸び悩む中で、新興経済の比重がますます重要になってきました。単なる生産拠点ではなく市場として、製造業だけでなくサービス業にとっても重要性が高まっています。最近では銀行・保険会社などの進出も目覚ましいものがあります。政府も日本企業の活動を積極的に支援する姿勢を明確にしています。金融を切り口として、途上国のこれから、日本の役割、を理解するのに役に立つコースにしたいと思います。
その他/Others
授業中に不明な点は遠慮なく質問してください。
キーワード/Keywords
開発金融論     新興市場経済     銀行と市場     企業金融     マイクロファイナンス     開発援助