講義内容詳細:演習ⅡA

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年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) 演習ⅡA
英文科目名/Course Title (English) Seminar ⅡA
学期/Semester 前期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 渡邊 千秋
英文氏名/Instructor (English) WATANABE Chiaki

講義概要/Course description
現代スペイン社会を文化横断的に考える(英文名:Cross-Cultural Analyses of Contemporary Spanish Society)

実際、日本では、スペインはどういう国として捉えられてきたのでしょう?一般に「光と影の国」と評価されるスペインですが、そのスペインは19世紀以来数々のクーデタ、1936-1939年にかけては内戦、そして約40年続いたフランコ独裁から民主化を経て現在にいたる、非常にユニークな歴史的・政治的動向を経験した国です。また近年では、地域ナショナリズムの勃興と国民国家アイデンティティとの相克、アフリカ北西部(マグレブ地域)からの移民の大量流入、ヨーロッパ連合加盟国として国家が果たすべき政治・経済的責任と現実とのギャップ等を前に、深く悩める姿を呈している国でもあります。スペインの文化・社会を正確に理解するためには、このような歴史過程を考察し、その文脈から情報を分析することが必要となってきます。私たちがよく知っている(つもりの)フラメンコも闘牛もサッカーも、その時々の社会・政治的文脈の外には存在しないものなのです。
と同時に、私たちの周辺に氾濫するスペインをめぐるさまざまな情報は、日本にいる私たちのニーズを反映したものでもあります。私たちは、メディアがもたらす情報を通じてスペインの文化的事象を消費し、デフォルメして、あらたに発信してもいるのです。そのような行動にわれわれを至らしめる情報源である日本のメディア、特に新聞・雑誌記事を分析対象として、そこに表象されるスペイン現代社会の姿を、スペインと歴史的に深い関係をもつモロッコやイタリアをも射程にいれながら、皆さんと考察していきたいと思います。
ゼミナールでは方法論の学習に加え、グループワークとしての具体的な事象分析も進めていきます。どのような事象を共通学習の対象とするかは、卒業研究論文執筆を射程に入れつつ、履修する皆さんと一緒に討議しながら決めます。その上で、皆さんそれぞれ自分の興味のあるテーマを掘り下げていっていただきたいと思います。
達成目標/Course objectives
本ゼミナールでは、現代スペイン社会への学びを深めることを目的としています。具体的には、先行研究を通じてスペイン社会の現状を知るとともに、日本のメディアが伝える現代スペインに関連する記事を分析しながら、スペインの文化的・社会的事象が、スペインからは地理的にも文化的にも遠い日本にいる私たちの間でどのように表象・消費されているのかを研究していきます。
自分の興味のあるテーマを選んで卒業論文を仕上げていただくことを目指します。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
「スペイン文化論」をゼミ履修以前、もしくはゼミと並行して履修していただくことが望ましいと考えています。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class はじめに(対面授業)
2
授業計画/Class 現代スペイン文化を理解するための基礎演習(1)
3
授業計画/Class 現代スペイン文化を理解するための基礎演習(2)
4
授業計画/Class 現代スペイン文化を理解するための基礎演習(3)
5
授業計画/Class 現代スペイン文化を理解するための基礎演習(4)
6
授業計画/Class グループ報告
7
授業計画/Class スペインに関する報道を考える:輪読(1)
8
授業計画/Class スペインに関する報道を考える:輪読(2)
9
授業計画/Class スペインに関する報道を考える:輪読(3)
10
授業計画/Class スペインに関する報道を考える:輪読(4)
11
授業計画/Class 映像資料分析(1)
12
授業計画/Class 問題提示・分析(1)
13
授業計画/Class 映像資料分析(2)
14
授業計画/Class 問題提示・分析(2)
15
授業計画/Class まとめ
 
事前学習/Preparation 輪読課題を読み、報告に備える。
事後学習/Reviewing 学習した内容を整理し、まとめる。理解不十分なところについて質問する。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
補足事項/Supplementary notes初回より、対面授業を予定しています。
文献輪読、解読を行います。また映像視聴とその分析を行います。
グループでの作業と個人の作業両方あるので、相互に協力して授業に参加してください。
コースパワーの積極的利用をお願いしています。

活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 平常点 In-class Points 60% 研究課題への取り組みの状況等を評価します。
2 レポート Report 40% 期末レポート
課題(試験やレポート等)に対するフィードバックの方法/Feedback methods for assignments (exams, reports, etc.)
4年生からは状況に応じて卒業論文に関する相談、原稿を受けつけ、フィードバックを行う
教科書/Textbooks
 コメント
Comments
1 皆さんと話し合って輪読教材を定めます。図書館データベースを活用する予定です。その他の輪読文献や参考文献(日本語+英語+スペイン語)は随時指示します。映像資料表を配布しますので、授業時間内外を問わず、積極的に見ていただきたいと思います。
参考書/Reference books
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
 
1 Rodgers, E.J.(ed) Emcyclopedia of Contemporary Spanish Culture Routledge 1999
2 坂東省次・川成洋編 スペイン文化事典 丸善 2011
メッセージ/Message
スペインに興味をもっていること。また映像分析に興味があること。スペイン語の知識があればなお可ですが、履修上の必須条件ではありません。
授業で課題とされる映像資料については図書館にある教材を積極的に活用してください。
より実践的な理解を進めるため、時には「書を捨てて街へでる」こともあります。フットワークを軽くしておいてください。
授業で指示のあった書籍、新聞や雑誌記事などに目を通しておいてください。
日常のなかで見つけることのできるスペイン的な事象を記録するよう、試みてください。
なお、2021年度にはスペインにおける美術(絵画の見方)・食文化などのテーマを扱い、論文・書籍を輪読しました。課外授業としては、岡本太郎記念館を訪れています。
その他/Others
状況により今後授業内容に修正をかけることがあります。LMSを通じた担当者からの連絡に常に気を配っていただくようお願いします。
キーワード/Keywords
スペイン     文化     現代史