講義内容詳細:アジア太平洋政治論Ⅰ

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年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) アジア太平洋政治論Ⅰ
英文科目名/Course Title (English) Politics in the Asia-Pacific Ⅰ
学期/Semester 前期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 菊池 努
英文氏名/Instructor (English) KIKUCHI Tsutomu

講義概要/Course description
 冷戦後のアジア太平洋の国際関係
 この授業では、冷戦終結から今日までのアジア太平洋(最近では「インド太平洋」いう呼び方が一般的になってますが)の国際関係をお話しします。この授業で特に着目するのは以下の点です。第一に、大国と呼ばれる諸国の関係の変化です。しばしば冷戦終結後の世界はアメリカの一極構造と呼ばれるように、アメリカの力が圧倒的に強い時代であったといわれています。アジア太平洋の国際関係はどうだったのでしょうか。第二は、アジアの中小国の動きです。一般に、国際関係の基本構造は大国が規定するといわれています。ただ、アジア太平洋の国際関係を子細に検討すると、異なる姿が見えてくるよう思います。「その他のアジア諸国」、つまり、通常であれば国際関係にそれほどの影響力を持たない諸国の役割と機能が、アジア太平洋の国際関係ではかなり大きいことが指摘できます。アジア太平洋の国際関係は、国際政治学の理屈(理論)だけでは理解できないということかもしれません。「理論」を学ぶことは大事ですが、決まりきった「理論」で説明できないことを探求するのが勉強の面白さであることをこの講義を通じて知って欲しいです。つまり「自分の頭で考えることの大事さ」です。第三は、大国と中小国が織りなす「地域制度の国際政治」です。地域協力不毛の地といわれたアジア太平洋においても近年、地域協力を推進するための地域制度の形成が始まりました。1960、70年代のASEAN(東南アジア諸国連合)やSPF(南太平洋フォーラム)で始まったこの波は、80年末以降、APEC(アジア太平洋経済協力会議)、ARF(ASEAN地域フォーラム)などの「アジア太平洋」の地域制度の形成へと拡大します。また「ASEAN+3(日中韓)」「東アジア首脳会議」など「東アジア」の地域制度の形成や朝鮮半島での六者協議を母体にした多角的な地域制度形成の試みがなされます。また最近は日米豪印からなるQUADとよばれる制度もできました。これらの地域制度は、大国間の権力政治を抑制し、地域の平和と安定に貢献できるのでしょうか?
 おそらく今年もアジアの国際関係にも大きな変化(混乱?)が起きるでしょう。皆さんの将来に大きな影響を及ぼす事態がアジア太平洋で起こる可能性すらあります。そうした予測の難しいアジアの国際関係をにらみながら、また私自身の国際会議などでの経験も紹介しながら、履修生の頭を大いに刺激する講義をしたいと念じています。
 
達成目標/Course objectives
1、 冷戦後のアジアの国際関係の展開とその背景を理解する。
2、 大国政治とともに、中小国と呼ばれる諸国の国際行動とその背景、国際政治での影響力とその源泉を理解する。
3、 地域制度の形成と変容の経緯および地域制度に関する国際政治理論について理解を深める。
4、批判精神を養う(期末レポートは(大学教師の書いた)論文を批判するのが課題)
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
「環太平洋圏概論」を履修していることが望ましい。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 第1回:第1回目の授業はオンライン(オンデマンド)で行います。アクセスはCoursePowerで確認してください。
授業の概要説明(授業の目的、授業計画、成績評価、課題・レポート等)
2
授業計画/Class 第2回:冷戦とアジア
3
授業計画/Class 第3回:冷戦の終結とアジア太平洋:多角的な安全保養の枠組みつくり
4
授業計画/Class 第4回 冷戦終結後のアジア太平洋とアメリカ
5
授業計画/Class 第5回:冷戦終結後のアジア太平洋と中国
6
授業計画/Class 第6回:冷戦終結後のアジア太平洋の国際関係とASEAN(その1)
7
授業計画/Class 第7回:冷戦終結後のアジア太平洋の国際関係とASEAN(その2)
8
授業計画/Class 第8回 冷戦終結後のアジア太平洋とインド
9
授業計画/Class 第9回:冷戦後の朝鮮半島の国際関係(その1)
10
授業計画/Class 第10回:冷戦後の朝鮮半島の国際関係(その2)北朝鮮の核・ミサイル問題
11
授業計画/Class 第11回:冷戦後のアジア太平洋の地域協力の進展
12
授業計画/Class 第12回:冷戦後のアジア太平洋の地域制度の形成
13
授業計画/Class 第13回:冷戦後のアジア太平洋の国際関係と日本
14
授業計画/Class 第14回:「アジア太平洋」から「インド太平洋」へ:日本の地域外交の新展開
15
授業計画/Class まとめと課題(これまでの学習内容の確認と今後の勉強の課題)
 
事前学習/Preparation 1,あらかじめ配布された講義用レジュメを熟読し、疑問点などをまとめておくこと。
2,事前に指示された論文、資料、記事などに目を通し、疑問点をまとめておくこと。
事後学習/Reviewing 1、授業内容の確認
2,要点の整理
3、授業内容に関連にした論説やニュースを読む
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method ハイブリッド型ブレンド形式 / hybrid blend
補足事項/Supplementary notes第1回目はオンラインで実施します。2回目以降は原則として対面ですが、数回オンラインを入れる予定です。
授業は毎回A4 2枚程度のレジュメを事前にポータル(Course Power)で配布し、これに従って講義します。また、必要な資料等もポータルを通じて紹介します。


活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 平常点 In-class Points 10% 授業中に質問をしますから、積極的に回答してください。また、質問やコメントも歓迎です。
 
2 レポート Report 30% 期末レポートを提出してもらいます。課題は「論文批判」です。あらかじめ指示された論文から一つを選び、その内容を批判してください。「論文の読み方」は授業時に随時解説します。
3 試験 Exam 60% 期末試験を行います。
教科書/Textbooks
 
1
参考書/Reference books
 コメント
Comments
 
1 授業の際に読むべき本や論文を紹介。(大学図書館のデータベースなどで入手可能な論文が多いので、ダウンロードし、丹念に読んで欲しい)。授業のレジュメ、参考資料などはポータルを通じて事前に送るので、しっかり予習すること。講義を受けた後に疑問点等を整理し、翌週の授業の時に質問すること。
メッセージ/Message

その他/Others
1、授業時やCourse Powerで随時参考文献を紹介するので、あらかじめ読んだ上で授業に臨むこと。
2、新聞の国際面を毎日読むこと。
3、英語で国際ニュースを読む習慣をつけること(イギリスのBBC放送のウエッブサイトを推薦します。カバーする対象が広く、英語が平易です。英語を母語としない読者に優しいウエッブサイトです。「大英帝国」のソフトパワーかもしれません。)