講義内容詳細:アジア太平洋政治論Ⅱ

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年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) アジア太平洋政治論Ⅱ
英文科目名/Course Title (English) Politics in the Asia-Pacific Ⅱ
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 菊池 努
英文氏名/Instructor (English) KIKUCHI Tsutomu

講義概要/Course description
  日本のインド太平洋戦略―インド太平洋の新しい秩序を模索する日本―
 今日のアジアの国際関係は戦後最も不安定で、緊張に満ちています。日本の平和と豊かさがますますアジアの国際関係に依存するなかで、これまで平和と繁栄を謳歌してきた日本の将来も不透明になりつつあります。この地域では、国同士の対立が激化しています。特に、アメリカと中国の対立はこれまでとは質的に異なるものであり、その深刻さは「米中冷戦」や「米中離間(decoupling)」という言葉に表れています。米中の対立はアジアの国際関係に様々な対立や混乱を生んでいます。
 新型コロナがこの対立と混乱をさらに深刻なものにしています。これまで順調に経済発展を続け、「アジアの時代」の到来といわれたアジア経済の今後も不透明です。米中対立と新型コロナは、アジア経済を混乱させています。日本も例外ではありません。おそらくこれからかなり長期に渡り日本は政治的にも経済的にも大きな困難を経験するでしょう。厳しい時代の到来です。
 では、日本はこれにどう対応しようとしているのでしょうか。
 日本は近年、インド洋と太平洋を結ぶ広大な地域を「インド太平洋」と呼び、この地域に新しい地域秩序を築くことで日本の平和と繁栄を維持しようとしています。日本の政治、経済、安全保障の空間は「アジア」から「アジア太平洋」そして「インド太平洋」へと拡大しています。「自由で開かれたインド太平洋戦略」はそうした日本の関心を反映しています。この講義では、アメリカや中国、インド、東南アジア諸国などのインド太平洋への取り組み(インド太平洋戦略・構想)を検討したあとに、日本とアジアとの歴史的な関係を振り返りつつ、21世紀日本の生存戦略である「インド太平洋」戦略についてお話しします。





達成目標/Course objectives
1、本授業の目的は、日本の平和と繁栄と密接に関連しているインド太平洋の国際関係を理解することにある。特に、激動するこの地域の国際関係に各国や地域組織がどのような戦略と構想で取り組んでいるかを理解し、今後日本がインド太平洋諸国との友好関係を発展させてゆくためにはどのような考慮(外交努力)が必要なのかを考えることにある。
2、日本とインド太平洋諸国との関係についての歴史と今日の状況を理解し、自分の考えをまとめ、それを的確な日本語で表現できるようになって欲しい。
3、論文批判を通じて、批判精神を養う。



履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
1、ポータルを通じて送る資料や文献を事前に読んで授業に臨むこと。
2、インド太平洋の地図を手元に置くこと。また、この地域にどのような国があるのか、基礎的な知識を習得しておくこと。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 第1回:第1回目の授業はオンライン(オンデマンド)で行います。アクセスはCoursePowerで確認してください。
1. 講義内容、参考文献、課題、試験、レポート、成績評価方法などの説明
2
授業計画/Class 2. インド太平洋の国際関係:論点と視点
3
授業計画/Class 3. アメリカのインド太平洋戦略:ネットワーク型の連携(同盟、有志連合、利害共有国)
4
授業計画/Class 4. 中国とインド太平洋:「一帯一路」構想と中国主導の地域秩序の構築
5
授業計画/Class 5、インドとインド太平洋:「Look East」から「Act East」へ(南アジアを超えた国際関係の模索)
6
授業計画/Class 6、ASEAN(東南アジア諸国連合)とインド太平洋構想:独立、自主、中心性(Centrality)

7
授業計画/Class 7. オーストラリアとインド太平洋
8
授業計画/Class 8. 欧州諸国(英仏独など)のインド太平洋政策
9
授業計画/Class 9、日本の地域外交:「アジアの一員」から「太平洋協力」へ(戦後日本のアジア外交を振り返る)
10
授業計画/Class 10、冷戦後の日本の地域外交:「アジア太平洋」から「東アジア」へ
11
授業計画/Class 11. 日本のインド太平洋戦略(1):アメリカおよび中国との関係
12
授業計画/Class 12. 日本のインド太平洋戦略(2):インド太平洋諸国との新しい関係の構築
13
授業計画/Class 13.日本のインド太平洋戦略(3):インド太平洋の国家間の新しいネットワーク(二国間、三国間、四国間)の形成
14
授業計画/Class 14. 日本のインド太平洋戦略(4):米中関係を超えてー「多極秩序」の構築へ
15
授業計画/Class 15. 講義のまとめと内容確認
 
事前学習/Preparation 1,あらかじめ配布された講義用レジュメを熟読し、疑問点などをまとめておくこと。
2,事前に指示された論文、資料、記事などに目を通し、疑問点をまとめておくこと。





事後学習/Reviewing 授業内容を復習し、疑問点があればそれをまとめ、翌週の授業に備えること。
授業内容に関連した論説やニュース記事を読む。


授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method ハイブリッド型ブレンド形式 / hybrid blend
補足事項/Supplementary notes1、講義中に質問時間をとります。不明な点などがあればいつでも質問をしてください。
2、講義に使用するレジュメは事前にCourse Powerで履修生に送りますので、事前に熟読したうえで授業に臨んでください。


活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 試験 Exam 60% 期末試験を行います。
2 レポート Report 30% レポート(期末)の課題は「論文批判」です。あらかじめ指示された論文から一つを選び、その内容を批判すること。分量はA4 2-3枚程度。
3 平常点 In-class Points 10% 授業への参画度(的確な質問や意見などを評価します)
課題(試験やレポート等)に対するフィードバックの方法/Feedback methods for assignments (exams, reports, etc.)
レポートを書く参考に「論文の読み方」を講義する予定です。レポートはコメントをつけて返却します。
教科書/Textbooks
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1 特に指定しない
参考書/Reference books
 コメント
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1 参考書は特に指定しませんが、数多くの論文や論説を読んでもらいます(日英両語で書かれたもの)。授業時に内外の論文や新聞記事を紹介するので、それらに積極的に取り組んで欲しい。
メッセージ/Message
履修登録条件:特になし。
日本と近隣諸国との関係に関心を持つ学生の履修を希望します。
授業出席5分の4以上が単位修得の前提(出席をとります)。
その他/Others
高校の日本史・世界史の戦後史程度の基礎的知識が前提になるので、教科書を再度読んでおくこと。
新聞の国際面を毎日読むこと。BBCのアジア太平洋関連のニュースを英語で読むこと。