講義内容詳細:著作権法

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年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) 著作権法
英文科目名/Course Title (English) Copyright Law
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 三浦 正広
英文氏名/Instructor (English) MIURA, Masahiro

講義概要/Course description
 著作権法は、伝統的に文芸、学術、音楽、美術などの著作物を保護することによって、文化の発展に寄与してきましたが、デジタル・ネットワーク時代の到来とともに、大きく変貌しています。一方で、著作権の歴史は、海賊版との闘いの歴史でもあります。そもそも、なぜ著作者の権利を保護する必要があるのか、著作権法は、文化財としての著作物を保護するのか、著作物を創作した著作者を保護するのか、著作権法の意義や目的は必ずしも一様ではありません。
 また、とりわけ欧州において著作者の権利は「人権」として認識されています(国際人権規約(社会権規約))。文化を創造する者の権利だけでなく、文化を享受する者の利益も権利として保護されています。
 このような目的意識から、著作権法の体系的な概要を理解するとともに、著作権制度の意義や目的について方法論的な視点から考えます。
達成目標/Course objectives
 著作権法に関する基礎的な知識を修得するにとどまらず、体系的な理解を踏まえて、現代の情報社会における著作権制度の意義や目的について理解することを目標とします。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 講義の目的、スケジュール、成績評価等について【オンライン授業(オンデマンド型)】
2
授業計画/Class テーマ:知的財産権としての著作権
産業財産権・著作者の権利、排他的独占権、保護(存続)期間、産業と文化、人格権と財産権 無体物と有体物、著作権と所有権

3
授業計画/Class テーマ:著作者の権利:歴史と体系
創作者主義、無方式主義、著作者人格権と著作権(財産権)、著作権一元論・二元論、大陸法とアングロ・アメリカ(英米)法、著作者の権利とコピーライト

4
授業計画/Class テーマ:著作者の権利の性質
著作者人格権と著作権(財産権)、世界人権宣言、国際人権規約(社会権規約)、著作者と著作権者、法人著作:職務著作(創作者主義の例外)、文化を創造する者と享受する者

5
授業計画/Class テーマ:保護を受ける著作物(1)
著作物の要件:思想・感情、創作性、表現(著作物性)、文芸・学術・美術・音楽の領域、アイデアと表現、パロディ

6
授業計画/Class テーマ:保護を受ける著作物(2)
著作物の種類 〜小説、脚本、論文、音楽、舞踊、美術、建築、図形、映画、写真、コンピュータプログラム / 応用美術、キャラクター、ゲームソフト、動画、タイプフェイス… / 二次的著作物、共同著作物、結合著作物、編集著作物、データベース著作物 

7
授業計画/Class テーマ:著作者の権利(1)
著作者の定義(創作者)、創作者主義の原則と例外、著作者人格権(公表権、氏名表示権、同一性保持権)、著作者死後の人格的利益の保護、著作者の名誉声望の保護

8
授業計画/Class テーマ:著作者の権利(2)
著作権(財産権としての著作権)、著作権の性質(排他的独占権)、利用権・支分権、著作権の種類(複製権、上演権・演奏権、公衆送信権… )

9
授業計画/Class テーマ:著作者の権利(3)
著作権の種類(…頒布権、貸与権、譲渡権、翻訳権、翻案権… )、保護期間、公有著作物(文化財としての著作物)

10
授業計画/Class テーマ:著作物の利用(1)
著作権の制限(1): 自由利用、私的使用のための複製 〜原則と例外、アナログとデジタル、私的録音録画補償金制度、技術的保護手段の回避、違法複製物のダウンロード、映画盗撮防止法…

11
授業計画/Class テーマ:著作物の利用(2)
著作権の制限(2): 図書館における複製、図書館資料データのオンライン配信、引用、教育および福祉目的のための利用、授業目的公衆送信補償金制度、 営利を目的としない利用、時事の事件の報道のための利用、公開の美術の著作物の利用、出所の明示…

12
授業計画/Class テーマ:著作物の利用(3)
著作権契約、出版契約、著作者契約法、インターネット時代における著作者(創作者)の保護

13
授業計画/Class テーマ:芸能実演と著作隣接権
実演芸術家(実演家)の権利、ワンチャンス主義、実演家人格権、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者

14
授業計画/Class テーマ:肖像権とパブリシティ権
15
授業計画/Class テーマ:文化の多様性と人権としての「著作者の権利」の保護 
 
事前学習/Preparation 各テーマについて、教科書の該当部分を熟読し、法令集において関連条文を確認し、および関連判例・学説を確認する。
事後学習/Reviewing 教科書およびレジュメにもとづいて、各テーマの論点・問題点を整理してまとめる。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
補足事項/Supplementary notes著作権法の理論、体系、判例・学説等の解釈論について、講義形式により授業を行ないます。指定した教科書に準拠したレジュメを配布し、レジュメにしたがってすすめます。
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 レポート Report 100% 課題レポートによって評価します。
教科書/Textbooks
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
1 半田正夫 著作権法概説 法学書院
メッセージ/Message
著作権に興味がある人の履修を希望します。