講義概要/Course description
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哲学史を学ぶことは、それ自体が「哲学」そのものである。そしてそれはつねに「現代の哲学」でもある。 偉大な哲学者、およびその哲学も、そのときどきの社会的環境、時代の政治・制度のもとで生まれたものである。そして同時に後世の政治・制度を形成していく動因でもある。それゆえ哲学史を学ぶことは必然的に歴史を学ぶことであり、そしてそれは「現代」に過去の哲学をよみがえらせることにもつながる。 私たちは哲学の歴史を学ぶとき、つねにその哲学が時代の産物であったことを意識していなければならない。そしてその時代の問題意識と現代との差異に注意する必要がある。新たな問題意識が新たな哲学をつくりだす。だから哲学史を学ぶことは自ら「哲学する」ことにもなる。 この講義では、以上の視点のもとに、古代ギリシアから近世初期までの哲学史を概観する。
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達成目標/Course objectives
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この講義では、哲学の歴史を学びながら、同時にそれが今にどうつながっているかの考察を求めていく。この考察を自ら行うことができ、将来教壇に立つ者として恥ずかしくない哲学的素養を身につける。これを達成目標とする。
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授業計画/Lecture plan
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1
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授業計画/Class |
導入:哲学史を学ぶということ オンライン授業(オンデマンド型)での実施
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2
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授業計画/Class |
古代ギリシアの概観―哲学の生まれた背景①
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3
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授業計画/Class |
悲劇を読む―哲学の生まれた背景②
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4
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授業計画/Class |
自然と驚き―ソクラテス以前の哲学
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5
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授業計画/Class |
ソクラテスの登場―プラトン①
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6
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授業計画/Class |
当時のアテナイと『国家』―プラトン②
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7
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授業計画/Class |
プラトン対アリストテレス①-イデア論批判
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8
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授業計画/Class |
プラトン対アリストテレス②-時代の変化と求められる学問
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9
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授業計画/Class |
ヘレニズムの時代―エピクロス派とストア派に見る時代の変遷
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10
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授業計画/Class |
すべての道はローマへ通じる―キケロからセネカまで
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11
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授業計画/Class |
新プラトン派、そしてグノーシス
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12
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13
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授業計画/Class |
キリスト教の哲学②-中世とスコラ哲学
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14
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授業計画/Class |
ルネサンスとは何だったのか―「新時代」の幕開けと「古き良き時代」の終わり
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15
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事前学習/Preparation |
講義プリント(箇条書き版)がcoursepower上にて公開される。そのプリントにおける理解必須事項を教科書および参考文献をもとに調べておく。 |
事後学習/Reviewing |
講義公開時間に合わせて別の講義プリント(文章解説版)が公開される。教科書および参考文献とともにそれを熟読して講義内容を復習する。 |
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授業方法/Method of instruction
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区分/Type of Class |
対面授業 / Classes in-person
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実施形態/Class Method |
通常型 / regular
補足事項/Supplementary notes・対面授業。ただし初回のみオンライン(オンデマンド型)で行う。 ・疑問点などがある場合はcoursepowerの質問、および掲示板システムを利用する。 ・レポートを数回提出してもらう。 ・教科書を指定してあるが、講義はけっしてそのとおりに進むわけではない。教科書はあくまで基礎をおさえるための自習用と考えてよい。
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活用される授業方法/Teaching methods used |
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成績評価方法/Evaluation
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1 |
レポート Report
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70%
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レポートを1~2回提出してもらう。レポートは基本としてcoursepowerで行う。判定基準は①哲学史の正しい知識(30%)、②それぞれの哲学思想が生まれた背景、その時代に生きている人々への理解を有していること(20%)、③哲学史を現代に生きる自分に基づいて語ること(20%)。
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2 |
平常点 In-class Points
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30%
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授業態度。質問および掲示板の内容など。
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課題(試験やレポート等)に対するフィードバックの方法/Feedback methods for assignments (exams, reports, etc.)
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・各回ごとにcoursepower上にて掲示板を公開。講義内容にかかわる質問、感想、意見などを記す。 ・レポート提出もcoursepower上にて行う。
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教科書/Textbooks
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| 著者名 Author | タイトル Title | 出版社 Publisher | 出版年 Published year |
1 |
岩崎武雄
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西洋哲学史(再訂版)
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有斐閣
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1975
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参考書/Reference books
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| 著者名 Author | タイトル Title | 出版社 Publisher | 出版年 Published year | ISBN | コメント Comments | |
1 |
バートランド・ラッセル[著] ; 市井三郎訳
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西洋哲学史 全3巻
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みすず書房
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1970
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問題点もありますが、20世紀に生きた一人の哲学者による哲学史全体の概説書としてすぐれたものであり、おおいに有用です。個々の問題については講義内で触れる予定。
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2 |
ヘーゲル著 ; 武市健人訳
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哲学史序論
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岩波書店
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1967.5
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4003362985
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こちらは序論だけを一冊にまとめた文庫版です。全訳もべつに出版されています。
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蔵書情報 / Library information
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3 |
ヘーゲル著 : 長谷川宏訳
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歴史哲学講義 上下巻
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岩波書店
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1994
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4 |
クラウス・リーゼンフーバー
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西洋古代・中世哲学史
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平凡社
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2000年
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458276357x
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5 |
萩野弘之
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哲学の原風景
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NHK出版
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1999
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6 |
萩野弘之
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哲学の饗宴
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NHK出版
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2003
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メッセージ/Message
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テストと単位のためだけでなく、「時代の哲学」を味わうという意識で講義に参加してほしいと思ってます。
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