講義内容詳細:社会科教材論A/社会科教材論

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年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) 社会科教材論A/社会科教材論
英文科目名/Course Title (English) Materials for Teaching Social Studies A/Materials for Teaching social Studies
学期/Semester 前期/通年 単位/Credits 2/4
教員名/Instructor (Japanese) 益井 岳樹
英文氏名/Instructor (English) MASUI, Takaki

講義概要/Course description
中学校社会科は地理・歴史・公民の三分野から構成されていますが、それぞれの学習内容は本邦の公民として社会生活をおくる上で必要とされる基礎的知識として必須であり、その構成員として求められる考え方の基礎となるものです。本講義は、中学校社会科の授業担当者として、「社会科の教材とは何か」を端緒に、その選択・作成・提示・利用方法について学習を深め、生徒の教科学習に対する自発性や積極性を向上させるために、教員と教材の果たす役割について、講義と実践(仮)を通して自ら考え、反芻して、教科を通して生徒と向き合うことが出来る能力を獲得するためのものです。講義の内容は、生徒が社会科の授業内容を教材を通してどう受けとるかについて、教員を志す皆さん自らが考えを深める授業にしたいと考えています。
達成目標/Course objectives
習得内容は以下の五項目です。①中学校社会科で生徒が身につけるべき学習内容についての考え方 ②学習内容への生徒の興味・関心を喚起するための教材準備およびそれに基づく授業構築の方法 ③生徒が自発的に授業に関われるよう、教員が果たす役割とその準備(含「主体的、対話的で深い学習」) ④各種教材の授業内における利用方法とそこへの教員の関わり ⑤社会科三分野(地理・歴史・公民)の授業の教材作成と、その利用に必要な知識・技能・考え方
なお、これらが授業を行う上でなぜ必要なのか、また社会科の授業がその内容や構成によって、授業実施時点で、また将来の社会生活上どういった影響を生徒に与えるのかについても理解を深めて貰います。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 前期:第1回 授業計画と進め方、評価方法等の説明(非対面式講義)
2
授業計画/Class 前期:第2回 小学校課程の社会科、高等学校課程の「公共」「歴史総合」「地理総合」との違い
3
授業計画/Class 前期:第3回 学習指導要領から見る中学校社会科の教材に求められる役割
4
授業計画/Class 前期:第4 -1回 学習内容への生徒の理解を促すには-地理的分野等-
5
授業計画/Class 前期:第4 -2回 学習内容への生徒の理解を促すには-歴史的分野等-
6
授業計画/Class 前期:第4-3回 学習内容への生徒の理解を促すには-公民的分野等-
7
授業計画/Class 前期:第5回 学習に役立つ教材選択およびその利用について(考え方と利用上の注意)
8
授業計画/Class 前期:第6回 主・副教材および補助教材の授業内における活用方法について
9
授業計画/Class 前期:第7回 教材研究の深化、教材提示の方法、授業方法の検討
10
授業計画/Class 前期:第8-1回 教材から考える授業進行の検討について-地理的分野-
11
授業計画/Class 前期:第8-2回 教材から考える授業進行の検討について-歴史的分野-
12
授業計画/Class 前期:第8-3回 教材から考える授業進行の検討について-公民的分野-
13
授業計画/Class 前期:第9回 「知識」「考察力」「理解力」を育むための、社会科の授業における教材活用
14
授業計画/Class 前期:第10-1回 「主体的、対話的で深い学習」で利用する教材とその実践例について
15
授業計画/Class 前期:第10-2回「主体的、対話的で深い学習」の実践とその考察
 
事前学習/Preparation  自治体のHP等で調べた上で、自身の出身中学校で現在採用されている社会科の三分野(地理、歴史、公民)の最新版教科書を必ず準備し、自身が中学生だったときの内容とはどこが異なっているのかを必ず把握しておいてください。加筆された部分と削除された部分については特に注意を要します。 
 中学校の授業はここ数年で、授業の方法に大きな変化が有りました。教材研究の本質的な部分に変化は少ないのですが教材をどう提示するかまでが、教材研究には含まれます。多様化した授業方法とそこに含まれる提示方法に、教材研究の成果をどのように組み合わせることが出来るかが、生徒の学力や学習能力の向上とも密接に関わってきます。様々なメディアを通して、こういった授業方法の変化についても関心を注ぐことを続けて下さい。
 
事後学習/Reviewing  当日の講義で示される教材準備の方法や理念を基に、生徒だったときに得てきた学習内容と、それを教授する側になった際に、学習内容の裏側で教員がなにを考え準備しているのかを読み取るように努める訓練を怠らないようにしてください。特に必要とされる教材準備と、実際に授業で生徒に提示される教材にはどういった差異があるかについての考察が常に求められます。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
補足事項/Supplementary notes授業方法は第1回目のみ非対面式で行い、それ以降は「対面授業(通常型)」を採用します。前期科目である本講義は社会科の教材についての理念を中心に扱います。
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 その他 Others 80% 「授業資料作成」(複数回:随時)、「期末提出物(夏期課題)」の内容は、中学校社会科三分野の授業に始めて触れる生徒に、教科がどういう印象を与えるかという面から考察出来ているかどうかが重要となります。提出物に反映された学習内容を、教材を通して提供する側と受け取る側から見た違い、またその延長線上にある授業という場を共有した際に、繋がっていくことになる教材としての良し悪しについて教員と生徒という立場の異なる双方がどう見るか、まで考察を深められた作りになっているか、さらにはそれらが本講義の要である教材研究方法からみて、どういった完成度にあるかを成績判断の材料に用います。1:「授業資料作成」の作成物は細かく評価の対象とします。これに教員の評価が加算されます。2:「期末提出物(夏期課題)」の完成度も重視します。これらを合算して成績評価を行います(最終的に80/100として計算します)。
2 平常点 In-class Points 20% 受講態度および授業参加については、これらを総合的に判断して評価対象とします。授業参加については、どの程度、真摯にかつ意欲的に参加できているかを判断の基準とします。
教科書/Textbooks
 タイトル
Title
出版社
Publisher
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1 中学校社会科各分野教科書(地理分野,歴史分野,公民分野) 検定済教科書出版会社 各自が中学校で教育実習を行うと仮定し、その際に使用する「地理的分野」、「歴史的分野」、「公民的分野」の教科書および副教材(資料集・地図帳等)の最新版(全分野)を準備しておいてください。4年生時に中学校に実習に赴くことを希望している方は、自治体のHP等を参照し、受け入れ予定の中学校で採用されているものを準備しておくと良いでしょう。
参考書/Reference books
 著者名
Author
タイトル
Title
 
1 文部科学省 『中学校学習指導要領 社会編』(告示:平成29年3月)
2 文部科学省 『中学校学習指導要領解説 社会編』(平成29年6月)
メッセージ/Message
受講者は中学校社会科教職志望者と見なし、社会科担当教員として総合的な教育能力の中で教材についての考察、取得、表現、提供の4つの能力の獲得と向上を目指します。科目担当教員として必要とされる資質に関して、また社会科教育に関係する個別の事項については、講義の中で採り上げ指摘も行いますが、なによりも受講者が自助努力を重ねるとともに助け合って、生徒にとって最適な教材を利用した授業とは何かを模索し、それぞれの教員としての能力を高めてもらえるよう望みます。受講生は中学生期に「主体的、対話的で深い学習」を積極的に導入した授業を体験した可能性が低いかもしれませんが、今後の中学校社会科の授業は、生徒が自立的に活動する場であり、それに応じた授業内容やテーマをどのように提供できるかが、社会科教員としての必須能力となっていくことでしょうから、教材や授業方法の面でも事前に下調べをする心がけを忘れないようにして下さい。
その他/Others
個別の発表および提出物があります。また数名で班を構成して地理・歴史・公民の各分野の授業を担当する準備をしてもらいます。Bで実施することになる模擬授業の準備として、班ごとの教材研究を含めた学習準備を行い(学習指導案の準備)、実践的な活動としての模擬授業(授業ノートの作成等)準備を含みます。Aでは教材についての基本的な考え方とその内容についての学習がメインとなりますが、それらが座学においてのみではなく、実際に教壇に立って授業の中で生きてくるものに昇華させるためには、授業を提供する側としての教材についての視点や考え方を学習してもらいます。これらの教材には、伝統的なものから、急速に導入が進むICTを利用したものまで多岐に亘りますが、最も効果的な学習環境の構築と学習内容の提供のために、担当する授業環境に応じて上手に使いこなし、また状況に応じて使い分けが出来るよう、その理念から提示方法に至るまでを学習します。
キーワード/Keywords
実務経験     観察     気づき     教材取得     教材作成     調査(実地、インターネット)     文献     見聞     中学社会科教材=日常生活