講義内容詳細:特殊講義C(Ⅲ)

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年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) 特殊講義C(Ⅲ)
英文科目名/Course Title (English) Special Lecture C (Ⅲ)
学期/Semester 不定(夏休集中) 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 小林 誉明
英文氏名/Instructor (English) KOBAYASHI Takaaki

講義概要/Course description
 国際協力とりわけ、途上国開発のための支援は、所得水準の高い国からより低い国へ向かう「南北協力」としてのODA(政府開発援助)がスタンダードな形態と考えられてきた。しかし、自らも未だ発展途上国でありながらも、他の途上国に対して支援を行う「南南協力」と呼ばれる事象は古くから見られ、近年の新興国の台頭に伴い規模が増加したこともあり脚光を浴びつつある。
 本講義では、この古くて新しい事象である南南協力につき、その実態を明らかにするとともに、その特徴が既存のODAとどのように異なるのか、また共通点はどこにあるのかを分析していく。比較する項目は、規模や対象範囲、形態、スキーム、制度、効果、評価といった点である。
 講義のなかでは、南南協力を実施する国として、アジア、中東・欧州、アフリカと、多様な地域の国々を具体的なケースとして採りあげる。また、支援を受ける側からの視点についても見ていく予定である。
達成目標/Course objectives
他国を支援する形態として、これまで国際社会のスタンダートとされてきたODAが、実は協力形態の一形態に過ぎないこと、世界には多様な協力の形態があることを理解すること。講義のなかで展開される「比較」の視点を通じて、これまで各位が学んできたODAに関する知識を「相対化」できる地点に達することが到達目標である。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
国際協力(特にODA)についての一般的な知識をもっていること、もしくはそのような知識を獲得できる関連科目を同時履修することが望ましい。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 国際協力の世界:ODAとその制度化
2
授業計画/Class 南南協力の展開: 二つの異なる文脈
3
授業計画/Class 「量」で捉える南南協力
4
授業計画/Class 「対象と範囲」からみた南南協力
5
授業計画/Class 「ツールと方法」からみた南南協力
6
授業計画/Class 「制度とリソース」からみた南南協力
7
授業計画/Class ケーススタディ1:中国援助の虚像と実像:カンボジアのケース
8
授業計画/Class ケーススタディ2:ネパール大地震における南南協力プロバイダーの役割
9
授業計画/Class ディスカッション1:南南協力に対して日本ができることは何か?
10
授業計画/Class 「動機」からみた南南協力
11
授業計画/Class 「負担」からみた南南協力
12
授業計画/Class ケーススタディ3:シリア危機に対応するヨルダン・トルコ・レバノン
13
授業計画/Class ケーススタディ4:大湖地域の紛争に対応するウガンダ
14
授業計画/Class ディスカッション2:なぜ南南協力が成立しうるのか?
15
授業計画/Class まとめ: 南南協力の多様性:南北協力との差異と共通点
 
事前学習/Preparation 通常の国際開発協力の仕組みや概要について、他の授業などを通じてすでに把握していること。もしもそうした科目をとってない場合は、書籍などを用いた自己学習を進めておくこと。
事後学習/Reviewing 新興国ドナーによる援助のニュースなどにアンテナを張り、授業のなかで習得したものの見方を使って、自分なりに解釈したり理解したりするように努めること。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
補足事項/Supplementary notes現在の状況の下では、「対面授業」を予定している。
集中講義の利点を活かし、通常のレクチャーに加え、テーマを設定してのディスカッション、個別具体的なケーススタディといった形式の授業も織り交ぜる。通常のレクチャーの際にも、講師による一方通行の講義ではなく、様々な「問い」を発するなど、双方向のスタイルを心がける。
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 レポート Report 30% 学期末レポート
2 その他 Others 70% 講義の際に提示する小レポート(40)%、
プレゼンテーションや発言など授業への貢献(30%)
教科書/Textbooks
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1 特に定めない。
参考書/Reference books
 コメント
Comments
 
1 必要に応じて講義のなかで提示する。
授業関連情報/Class-related information
 件名/Title内容/Contents備考/Memo
1 ホームページ http://www.i‑c‑lab.com/ 国際協力ラボ
メッセージ/Message
本講義は南南協力に特化した講義である。南南協力の実態は、日本ではほとんど紹介されることがないが、世界中の途上国によって多様な形態によって繰り広げられている事象であり、従来のODAの枠組そのものの再編を迫るほどの影響を与えつつある。本講義は、国際協力の最前線で起こっていることを垣間見る機会を提供できよう。