講義概要/Course description
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オペレーションズ・リサーチ(OR)は,様々な状況下で意思決定を行う際に,数理モデルを用いた分析を行うことで最適なアプローチを導き出すための方法論である.そして,数理計画は,与えられた制約条件下で目的関数を最大または最小にする手法である.数理計画は,ORにおける基本的な技術であり,様々なORモデルにおいて重要な役割を果たしているのみならず,工学,統計学,経済学,経営学などにも幅広い応用を持つ.本科目では,数理計画問題を解くための代表的な手法を学ぶ.また,終盤では,数理計画以外のOR手法として,多様な問題のモデル化に用いられるマルコフ連鎖を扱う.
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達成目標/Course objectives
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数理計画問題を解くための代表的な手法の基本的な考え方を理解すること,および,マルコフ連鎖の基本的な考え方を理解することを目標とする.具体的な達成目標は次のとおりである. - 凸関数を説明することができる. - 制約なし最適化問題の最適性条件を説明することができる. - 降下法の考え方を説明することができる. - KKT条件を説明することができる. - マルコフ連鎖とはなにかを説明することができる. - 具体的な事象をマルコフ連鎖を用いてモデル化することができ,小規模な問題について手計算で行うことができる.
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学部・研究科のディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)に基づき、当該科目を履修することで身につく能力 / Abilities to be acquired by completing the course in accordance with the faculty and graduate school diploma policy (graduation certification and degree conferral)
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学部・研究科のディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)/ Undergraduate and Graduate Diploma Policy (Graduation Certification and Degree Conferral)
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履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
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必須ではないが,次の科目を事前に履修しておくことが望ましい. 解析学ⅠA,解析学ⅠB,線形代数ⅠA,線形代数ⅠB
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授業計画/Lecture plan
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1
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授業計画/Class |
【オンライン(オンデマンド型)】数学的準備: 多変数関数,微分と積分 最適化問題を扱うために必要な,多変数関数,微分と積分の基本的な事項を整理する. |
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2
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授業計画/Class |
数学的準備: 行列と固有値 行列の演算と,固有値の求め方を学ぶ.
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3
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授業計画/Class |
凸関数 凸関数の性質を理解し,基本的な関数の凸性の判定を行う. |
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4
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授業計画/Class |
制約なし最適化問題1: 1次の最適性条件,2次の最適性条件 制約なし最適化問題の1次の最適性条件,2次の最適性条件の意味を学ぶ.
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5
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授業計画/Class |
制約なし最適化問題2: 凸関数と凹関数,凸関数の最適化 凸関数,凹関数,および,凸関数の最適化の方法を学ぶ. |
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6
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授業計画/Class |
制約なし最適化問題3: 降下法の収束性,収束速度 降下法のアルゴリズムの大域的収束性と,その収束速度を学ぶ. |
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7
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授業計画/Class |
基本的な降下法アルゴリズム 基本的な降下法アルゴリズムと,直線探索の方法を学ぶ. |
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8
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授業計画/Class |
最急降下法 最急降下法の手順と理論を学ぶ.また,理論による最急降下法の解析を行う. |
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9
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授業計画/Class |
制約つき最適化問題1: 制約式,接平面,1次の最適性条件(等式条件の場合) 制約式,接平面,等式制約の場合の1次の最適性条件を学ぶ. |
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10
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授業計画/Class |
制約つき最適化問題2: 二次の最適性条件,接部分空間上の固有値 等式制約からなる最適化問題の二次の最適性条件を学ぶ.さらに,収束速度と接部分空間上の固有値との関係を学ぶ. |
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11
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授業計画/Class |
制約つき最適化問題3: 感度分析(等式制約),KKT条件 等式制約からなる制約つき最適化問題の感度分析,等式制約と不等式制約からなる最適化問題に対するKKT条件を学ぶ. |
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12
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授業計画/Class |
マルコフ連鎖(1): 推移図,マルコフ性
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13
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授業計画/Class |
マルコフ連鎖(2): 推移確率行列,定常分布
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14
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授業計画/Class |
マルコフ連鎖(3): 状態空間の分割
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15
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事前学習/Preparation |
教科書の該当箇所を読み,内容を理解する。必要に応じてメモを作成する。 |
事後学習/Reviewing |
実施回の内容で理解が十分でないものがあれば,復習して理解する。 |
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授業方法/Method of instruction
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区分/Type of Class |
対面授業 / Classes in-person
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実施形態/Class Method |
通常型 / regular |
活用される授業方法/Teaching methods used |
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成績評価方法/Evaluation
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1 |
試験 Exam
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70%
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期末の試験により評価する
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2 |
その他 Others
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30%
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発話,徘徊等で講義室内の学修環境を乱す履修生は,そのたびごとに評点を減ずる。
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教科書/Textbooks
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| 著者名 Author | タイトル Title | 出版社 Publisher | 出版年 Published year | ISBN |
1 |
Nicolas Privault
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Understanding Markov Chains - Examples and Applications, Second Edition
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Springer Singapore : Imprint: Springer
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2018.
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9789811306594
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2 |
by David G. Luenberger, Yinyu Ye
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Linear and Nonlinear Programming
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Springer Science+Business Media, LLC
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2008.
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9780387745039
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メッセージ/Message
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平均的な学修到達度の学生で,90時間の学修が必要である。総講義時間はそのわずか3分の1にしかならないことに留意すること。講義各回では内容の一部のみを解説するため,それ以外の内容は講義外の時間での学修が必要である。試験の難易度はこのような充分な学修を前提としたものであるため,それを実行する意思のないものは,単位の取得は期待しないこと。
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