講義内容詳細:国文学特論D

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年度/Academic Year 2023
授業科目名/Course Title (Japanese) 国文学特論D
英文科目名/Course Title (English) Topics in Japanese Literature D
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 遠藤 知恵子
英文氏名/Instructor (English) ENDO Chieko

講義概要/Course description
 19世紀末から20世紀終盤にかけての日本で出版された絵本や児童書の挿絵の歴史を、主に児童文学の歴史の流れの中で概観する。基本的には、絵本と挿絵を、児童文学と協働し、並走する芸術として捉え、必要に応じて同時代美術の動向を参照する。また、出版物である絵本や児童書の挿絵にとって、「版」を用いた表現(版表現)という意味で近接ジャンルである、版画、そして印刷物や版画と同様に「printする表現メディア」である写真も視野に入れながら、絵本や挿絵への理解を深める。なお、今年度は特に大正期〜昭和初期に焦点を当て、「童画」と呼ばれた作品群を中心に扱っていく。
達成目標/Course objectives
 一般的に、私たちは書物の中身(文章)にのみ注目しがちだが、この講義では挿絵や装丁なども含めた「1冊丸ごと」を「よく観察する」ことを重視する。歴史的背景を踏まえた上でどのような観点で作品(1冊丸ごとの書物)を評価するかを考え、批評文のなかに自分の考えを客観的に表現できるようになることを目標とする。
学部・研究科のディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)に基づき、当該科目を履修することで身につく能力 / Abilities to be acquired by completing the course in accordance with the faculty and graduate school diploma policy (graduation certification and degree conferral)
学部・研究科のディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)/ Undergraduate and Graduate Diploma Policy (Graduation Certification and Degree Conferral)
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
なし
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 【オンデマンド授業】絵本や挿絵について、また、この講義で扱う範囲(時代)についての概説。「童画」とは何か。
2
授業計画/Class 「童画」登場以前の代表的な作家の一人、竹久夢二について。また、回覧雑誌の役割や本講義における「版表現」の考え方について。
3
授業計画/Class 代表的な童画家である、岡本帰一・初山滋・武井武雄の経歴(概説)と彼らの共通点(版画)について。
4
授業計画/Class 岡本帰一①
代表的な作品の紹介とこの画家の経歴。
5
授業計画/Class 岡本帰一②
フュウザン会と初期の作品について。
6
授業計画/Class 岡本帰一③
岡本帰一の童画観。
7
授業計画/Class 初山滋①
代表的な作品とこの画家の経歴。
8
授業計画/Class 初山滋②
初山滋の初期作品(戯曲)について。
9
授業計画/Class 初山滋③
初山滋の挿絵観。
10
授業計画/Class 武井武雄①
代表的な作品とこの画家の経歴。
11
授業計画/Class 武井武雄②
初期作品に見られる北原白秋からの影響・竹久夢二に見出される「人的感応」について。
12
授業計画/Class 武井武雄③
武井武雄の挿絵観について。
13
授業計画/Class 初めての童画史・童画をめぐる環境の変化について。
14
授業計画/Class 岡本帰一・初山滋・武井武雄における「創作する子ども」のイメージ①
童画の中の「創作する子ども」は、どんなふうに描かれているか。
15
授業計画/Class 岡本・初山・武井における「創作する子ども」のイメージ②
創作者のマニフェストとしての「創作する子ども」像。
 
事前学習/Preparation テキストの該当箇所(次の回で扱うところ)に目を通しておく。
事後学習/Reviewing 毎回の講義で複数の作品を紹介するので、そのうちのいずれか1つ以上を実際に見て確認する。国立国会図書館やその他の機関のデータベースで画像が公開されている場合は、それらのオンライン画像を利用しても構わないが、可能であれば現物を手に取ることが望ましい。復刻された書籍も活用のこと。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
補足事項/Supplementary notesオンライン授業は第1回のみ。第2〜15回は対面授業を予定。必要に応じてオンラインに切り替える可能性がある。
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 レポート Report 85% 本を1冊選び、よく観察して批評する。
2 平常点 In-class Points 15% 意欲的に取り組んでいるかどうか。
課題(試験やレポート等)に対するフィードバックの方法/Feedback methods for assignments (exams, reports, etc.)
レポートの提出はCoursePowerを用い、フィードバック(レポートに対するコメント)もCoursePowerを用いて送信する。
参考書/Reference books
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
ISBN価格
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1 今井良朗編著 絵本とイラストレーション 見えることば、見えないことば 武蔵野美術大学出版局 2014年 9784864630139 3400円+税 図版が豊富。
2 今井良朗+中川素子編著 イラストレーション/絵本 武蔵野美術大学出版局 2002年 4901631268 4200円+税 本の構造と部位を説明する頁がある。
メッセージ/Message
教科書に代わるテキストを、対面授業の最初にまとめて、または数回に分けて配布します。毎回の講義で使用しますので、忘れないように気をつけてください。
キーワード/Keywords
挿絵     絵本     童画     初山滋     岡本帰一     武井武雄