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講義概要/Course description
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この授業は当初「未決の戦争問題」を中心におこなってきたが、2016年度以降、戦争非経験者による「継承」の問題に重点を置いた考察を深めてきた。その際、「君たちはボイスレコーダーではない」ということを述べてきたように、「継承の主体性」について考えてきた。今年は戦後80年ということで、戦争の継承問題が活発になると思えるが、戦争を反省し平和を主張することは、ある意味で結論が明確であるため、権威主義的になるか、模範解答をおうむ返しに答える(思考停止の)おそれがある。そのため、授業を通して、自分の頭と語彙で「なぜ、平和が大事なのか」考えることに取り組んでもらいたい。この授業では2021年度から「歴史の声は音声多重である」、「現在は歴史の積み重ねであるが、歴史像は現在の価値観に規制される」ということ念頭において、歴史理解の意味を考えてきた。25年度は、21年度の実践から見えてきた課題、①「自分は正しい」病の問題、②「愛国心と自由に考える」は相性が悪いのかという問題について、引き続き検討していく。この点は、実証だけでは解決できない、ナショナリズムと歴史認識についての考察となる。 本講義では、「多様な歴史像の共有」を目的にしているが、「見解の相違」のように没交渉的な「知の隔離状態」と何処が違うのか考えていきたい。あわせて、授業の初発の課題でもある「慰霊と反省の両立」、「思考停止にならない慰霊の方法」について考えを深めていくようにしたい。 講義時間内で講義題目を十分に伝えることは難しいので、配布するブックリストを活用して、授業以外でも本問題について、主体的に取り組んでもらいたいと考えている。 なお、授業計画は便宜的な見通しであり、授業の流れや学生の関心などによって変更もありうるので、この点、承知しておくように。
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達成目標/Course objectives
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立ち位置によって解釈の異なる「植民地支配の歴史」、「戦争の歴史」について学んでいく。これら歴史を通して、講義の主要キーワードである「思考停止」、「慰霊と反省の両立」、「多様な歴史像の共有」、「寛容さと語彙力の獲得」などの意味について主体的に考えていく。本講義では、かかる問題を考えることで、現代日本で生きることと、アジアの中で生きることについて考える視点を養うことを目的とする。歴史像は可変的であり、歴史認識は用語の暗記や年表を覚えて済む問題ではないので、「答えの無い問い」について考える能力を身に着けることを目標とする。
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学部・研究科のディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)に基づき、当該科目を履修することで身につく能力 / Abilities to be acquired by completing the course in accordance with the faculty and graduate school diploma policy (graduation certification and degree conferral)
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学部・研究科のディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)/ Undergraduate and Graduate Diploma Policy (Graduation Certification and Degree Conferral)
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授業計画/Lecture plan
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1
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| 授業計画/Class |
オリエンテーションー歴史の見方について考える(オンライン(オンデマンド型)授業での実施) |
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2
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| 授業計画/Class |
「敗戦」経験と近代日本像の変遷について |
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3
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| 授業計画/Class |
「近代」について考えるー「自由に考える」意味を確認するために
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4
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| 授業計画/Class |
「正義」の戦争ー戦争を始める論理について考える
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5
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| 授業計画/Class |
慰霊碑を通して「歴史問題」を考えるーレポートを書くために
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6
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| 授業計画/Class |
本年度の課題の確認ーこれまでの「現代史B]の実践を踏まえてー
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7
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| 授業計画/Class |
戦後50年から70年を経てー「慰霊と反省の両立」について考える
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8
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9
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| 授業計画/Class |
植民地の人、「日本兵」になる
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10
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| 授業計画/Class |
植民地の歴史を理解する視座について |
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11
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12
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| 授業計画/Class |
「戦争継承」論の問題について考える |
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13
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14
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| 授業計画/Class |
改めて「愛国心と自由に考える」の相性について考える |
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15
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| 授業計画/Class |
講義のまとめ‐今後の課題について考える‐ |
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| 事前学習/Preparation |
参考図書などを利用し、歴史認識をめぐる議論の大枠について理解しておくこと(2時間程度)。
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| 事後学習/Reviewing |
授業で扱った内容から関心をもったテーマを各自でほりさげて理解しておくこと(2時間程度)。
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授業方法/Method of instruction
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| 区分/Type of Class |
対面授業 / Classes in-person
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| 実施形態/Class Method |
通常型 / regular |
| 活用される授業方法/Teaching methods used |
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成績評価方法/Evaluation
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| 1 |
試験 Exam
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35%
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授業理解に関する論述問題(授業期間内の終わりごろに実施する最終レポート的位置づけの課題、CoursePowerを利用して実勢)。※成績評価の種別選択でレポートを2つ置くことができないので、こちらは試験と表示。
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| 2 |
レポート Report
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35%
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期間内に課題を提示する(中間レポート的位置づけの課題、CoursePowerを利用して実施)。
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| 3 |
平常点 In-class Points
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30%
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授業内で数回提示する課題など
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課題(試験やレポート等)に対するフィードバックの方法/Feedback methods for assignments (exams, reports, etc.)
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授業内で講評をおこなう(この授業では、数年前から現在までの授業内課題、レポート、試験回答を踏まえつつ授業を進めるところもあるので、課題については成績評価物の作成ではなく、「知の共有財産」を作成しているつもりで取り組んでください)。
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教科書/Textbooks
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参考書/Reference books
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| | 著者名 Author | タイトル Title | 出版社 Publisher | 出版年 Published year | ISBN | 価格 Price | |
| 1 |
内海愛子・大沼保昭・田中宏・加藤陽子
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戦後責任
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岩波書店
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2014年
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40000258548
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2600円+税
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| 2 |
古市憲寿
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誰も戦争を教えられない
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講談社
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2015年
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4062816067
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935円
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| 3 |
成田龍一
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増補「戦争体験」の戦後史
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岩波書店
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2020年
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4006004230
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1628円
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| 4 |
林志弦
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被害者意識ナショナリズム
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東洋経済新報社
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2022年
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4492212523
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3520円
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| 5 |
成田龍一・吉田裕編
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記憶と認識の中のアジア・太平洋戦争
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岩波書店
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2015年
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9784000610599
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3400円+税
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蔵書情報 / Library information
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メッセージ/Message
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授業外の関連事項にも関心をもってください。
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