講義内容詳細:自己理解(総合科目)[オンライン][木曜日開講・時限不定]

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年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) 自己理解(総合科目)[オンライン][木曜日開講・時限不定]
英文科目名/Course Title (English) Self-Understanding(Coordinated Courses)[Online]
学期/Semester 前期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 杉谷 祐美子/友野 清文/新田 司
英文氏名/Instructor (English) SUGITANI Yumiko/TOMONO Kiyofumi/NITTA Tsukasa

講義概要/Course description
「大学生としての学びの意味 ―現在の社会と教育から自分を考える―」

  みなさんはどのような目的をもって「大学」に進学し、なぜ今この「青山学院大学」という場で学んでいるのでしょうか。
  わたしたちの講義では、この問いをみなさんにとって最も身近な存在である「大学」、「学校」、「教育」を通して検討していきます。現代の大学・学校の特性、課題、そして社会との関わりを理解することによって、経験的に知りうることから一歩距離をおき、大学・学校そして自分をまずは客観的にとらえなおしてみましょう。そして、現代社会が大学や学生に求めている課題を考えるとともに、自分がなぜ大学で学ぶのか、自分自身の位置づけや目的意識を明確にしてもらいたいと思います。
 授業は3人の教員が各クラス順番に、講義を行います。

「大学生としての自己 -「これから」の自分を考える-」: 杉谷 祐美子
  日本では戦後60年間で、10人に1人が大学・短大に進学する時代から2人に1人が進学する時代へと移り変わりました。もはや、大学への進学は特別なこととは思われなくなっています。私のパートでは、そんな当たり前の「大学生」としての今をみつめなおします。進学率の変化を指標に、大学生の意識や行動、カリキュラム、キャリア形成と就職などに注目して、大学・学生の変容と現在を国際比較の観点も含めて検討します。「大学生」である自分は社会とどのように関わっているか、今後大学生活をどのように過ごしたらよいのか、一緒に考えてみてください。この授業を一つの手がかりにして、「これから」の自分を築いてもらえれば嬉しく思います。

「ジェンダーの視点から自己を理解する」: 友野 清文
  皆さんは今、大人への入口に立っています。この「自分の再発見・再構築」の時期の課題の一つに「自らの性と向き合う」ということが挙げられます。自分の「性」をどのように受けとめて生きていくかということは、人生を通じての大きな課題です。私のパートでは、皆さんが育ってきた社会・教育環境をジェンダー(社会的性別)の視点から検討することで、「女/男としての自分」がどのように形成されてきたのか、これからどのような生き方があり得るのかを考えるヒントを提供することを目的とします。近年「性的少数者」「多様なジェンダーのあり方」が論じられる一方で、日本社会では性別役割分業意識やジェンダー格差が依然として強いと言われます。授業では社会の問題を知ることを通じて、「自分らしく生きる」ことを考えていきます。これまで当たり前と思っていたことでも、見方を変えると自分や社会についての新しい発見があるという体験が得られることを期待しています。

「相対化による自己理解への試み」: 新田 司
  皆さんが大学で学ぶ二十歳前後の時期は、発達段階のなかの青年期に当たります。青年期の皆さんが直面する最大の課題の一つが、自分とは何者であるかを見いだすこと、つまり自己同一性(アイデンティティ)の確立です。自分自身が「自分を知る」ということ、このことは簡単そうで案外難しいものです。私のパートでは、自分を自分とは別のあるものとの関係におくこと=相対化の方法を用いて、皆さんと「自分を知る」手がかりを見つけていこうと思います。授業では、改めて大学で学ぶことの意味、これからの学問と自身の自己実現との関わりについて考えていく機会にしていきたいと思います。

達成目標/Course objectives
  この授業では、自己を理解することの意味を認識し、大学生活の意義を探求する態度を見いだすことを目標としています。また、新しい視点・考え方を柔軟に受け入れ、自分の考えを相対化する力の基礎とともに、今後の人生選択において、必要な情報を獲得し自ら判断していける能力の基礎を身につけることを目指しています。
  3名の担当教員はいずれも教育学の専門家ですが、同じ対象を扱いながらも、独自の観点からアプローチすることによって、三者三様の持ち味を出しています。時に意見を異にするかもしれませんが、それも物事は多面的に理解できることをみなさんに学んでもらいたいからです。
  大学での学びは、正解はひとつではありません。「自分」にとってどのような意味があるのかを念頭におきつつ、主体的に問題を考えることこそ、大学の学びといえます。わたしたち教員はあくまでも、そのための材料を提供するにすぎません。「自分とは何か」といった難題を一緒に考えながら、みなさん自身が自分なりの答えをみつけだすお手伝いができればと願っています。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class ガイダンス
事前学習/Preparation シラバスの内容をよく確認し、理解する。
事後学習/Reviewing ガイダンスで紹介された参考文献について情報を収集したり、入手先を確認したりする。
2
授業計画/Class 「大学生としての自己 -「これから」の自分を考える-」(杉谷)
 1.誰のための大学か
       新制大学の理念/教育機会の拡大/生涯学習社会の構築

事前学習/Preparation 自分がなぜ大学に進学したのか振り返る。
事後学習/Reviewing 授業の内容を復習し、大学に進学する意味について考える。
3
授業計画/Class 「大学生としての自己 -「これから」の自分を考える-」(杉谷)
 2.大学生は「学生」か
       教養主義の衰退/モラトリアム/大学の学校化

事前学習/Preparation 高校までの自分と大学からの自分との違いは何か考える。
事後学習/Reviewing 授業の内容を復習し、社会において大学生とはどのような存在か考える。
4
授業計画/Class 「大学生としての自己 -「これから」の自分を考える-」(杉谷)
 3.大学で何を学ぶか
       学歴から学修歴へ/産業界が期待する人材/大学における学修成果

事前学習/Preparation 自分が日頃どのような学生生活を送っているか振り返る。
事後学習/Reviewing 授業の内容を復習し、自分とはどのような人間か考える。
5
授業計画/Class 「大学生としての自己 -「これから」の自分を考える-」(杉谷)
 4.大学で自分はみつかるか
       青年期の変質/キャリア意識/自分さがし

事前学習/Preparation 自分は将来どのような仕事をしたいか考える。
事後学習/Reviewing 授業の内容を復習し、自分のこれからの生き方について考える。
6
授業計画/Class 「ジェンダーの視点から自己を理解する」(友野)
 1.「女」・「男」であることとは?  (ジェンダーとは何か?)
       sexとgenderとsexuality/多様な性とLGBTQ/「性差」と「個人差」

事前学習/Preparation ・「sex」「gender」「sexuality」の言葉の意味を調べる。
・ジェンダーに関わる問題についてどのようなものがあるかを調べる。
事後学習/Reviewing ・ジェンダー以外の「stereotype threat」の事例を調べる。
7
授業計画/Class 「ジェンダーの視点から自己を理解する」(友野)
 2.「男は外・女は内?」  (家族の中のジェンダー)
       近代家族/性別役割分業/母性と父性/WLB

事前学習/Preparation ・「性別役割分業」「work-life balance」の言葉の意味を調べる。
・「仕事と家庭」をめぐる問題にどのようなものがあるのかを調べる。
事後学習/Reviewing ・「work-life balance」実現のための政策にどのようなものがあるのかを調べる。
8
授業計画/Class 「ジェンダーの視点から自己を理解する」(友野)
 3.「男が先・女は後?」  (学校の中のジェンダー)
       良妻賢母主義/女子特性論/隠れたカリキュラム/男女共学と別学

事前学習/Preparation ・「良妻賢母主義」「隠れたカリキュラム」の言葉の意味を調べる。
・学校でジェンダーをめぐる問題にどのようなものがあったのかを振り返る。
事後学習/Reviewing ・具体的にどのような「クオータ制」があるのかを調べる。
9
授業計画/Class 「ジェンダーの視点から自己を理解する」(友野)
 4.「人」とは「男」か?  (学問とジェンダー) 
        近代社会の「人」/フェミニズムと「女性学」/ジェンダーバイアス/ジェンダー主流化/男性学

事前学習/Preparation ・「フランス人権宣言」「アメリカ独立宣言」を読む。
・「男性にとってのジェンダー問題」にどのようなものがあるのか調べる。
事後学習/Reviewing ・自分の専攻領域でどのようなジェンダーの課題があるのかを調べる。
10
授業計画/Class 「相対化による自己理解への試み」(新田)
 1.過去との相対化(歴史のなかの自分)
      鏡の役割としての歴史/過去・現在・未来/今を生きるということ

事前学習/Preparation シラバスやガイダンス資料をよく読んでおく。
事後学習/Reviewing 相対化の意味を確認し、授業で配布した資料のうち、授業で扱わなかった部分を読む。
11
授業計画/Class 「相対化による自己理解への試み」(新田)
 2.社会との相対化(他者との関係における自分)
      社会的動物としての人間/社会化と社会性/他者理解と共感能力

事前学習/Preparation 自分と社会との関わりについて振り返る。
事後学習/Reviewing 授業で配布した資料を読み、今後社会とどのように関わっていくことが必要か考察する。
12
授業計画/Class 「相対化による自己理解への試み」(新田)
 3.大人との相対化(子どもから大人への過程にいる自分)
      子どもから大人へ/大人になることの難しさ/シティズンシップの獲得

事前学習/Preparation 大人と子どもの違いについて考察しておく。
事後学習/Reviewing 授業で配布した資料を読み、自分が大人になる上で何が必要か、またその実現のためにどうしたらいいか考察する。
13
授業計画/Class 「相対化による自己理解への試み」(新田)
 4.自己の内面との相対化(自分とは何者なのか)
      「自分とは何者か」への探求/自己と自我/「自分を知る」ということ

事前学習/Preparation あなたにとって自分とはどのような人か考えておく。
事後学習/Reviewing 授業で配布した資料を読み、客観的にみた自分とはどのような人かを振り返り、また自己理解がなぜ大切なのかを復習する。
14
授業計画/Class 振り返り
 担当者3名による個別質問への回答と授業の補足
事前学習/Preparation これまでの授業に関する質問を考える。
事後学習/Reviewing これまでの授業内容を振り返る。
15
授業計画/Class まとめ
 担当者3名による共通質問への回答とパネルディスカッション
事前学習/Preparation 「自己理解」とはどういうことか考える。
事後学習/Reviewing これからの学生生活や将来について考える。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class オンライン授業 / Online
実施形態/Class Method オンデマンド型 / on-demand
補足事項/Supplementary notes 各担当教員が講義を行い、毎回、授業内容に関する論述式の小テストを行います。
 この授業はオンラインで行います。オンデマンド授業の動画・資料・小テストは毎週木曜日午前9時に公開し、翌週木曜日午前9時までを公開期限・小テスト提出期限とします。
 CoursePowerとともに、教員によってWebexやYouTube等を併用する予定です。
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 平常点 In-class Points 100%   評価は平常点(授業中に毎回行う論述式の小テスト)によって行います。定期試験ならびに期末レポートは実施しません。
  オンデマンド授業をすべてきちんと受講のうえ、小テストに取り組んでください。
  最低10回以上、小テストを受けて提出することが必要です。
教科書/Textbooks
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1 教科書は特に指定しません。
参考書/Reference books
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1 参考文献等は授業において随時紹介します。
メッセージ/Message
  大学生としての自覚をもって、主体的に授業に臨んでください。また、受講者は第1回ガイダンスの授業説明をよく理解して履修してください。質問等は基本的に、CoursePowerの質問機能(Q&A)で受け付けます。特に何かあれば、17号館2階スチューデントセンター学務部教務課窓口へ連絡してください。教員から連絡がある場合は、CoursePowerの「お知らせ発信」を利用します。