講義概要/Course description
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金曜1限(前期) 詭弁・煽動のレトリック
「僕は昨日、空飛ぶ妖しい光る物体を見た。それは飛行機なんかでは考えられないような不規則な飛び方をしていた。だからあれは絶対UFOだ。」こんな論法を使う人をたまにみかける。こういうとき、人は自分の用いている論法のおかしさにはほとんど気づいていない。ところが同じ論理でもって僕がこう言ったらどうだろう。「僕は昨日、空飛ぶ妖しい光る物体を見た。それは飛行機なんかでは考えられないような不規則な飛び方をしていた。だからあれは絶対にガメラだ。」今度はだれも信じてくれない。なぜだろうか。UFOもガメラも、ともにその実在が確認されず、現時点では空想上の存在だという点では同じなのに(むろんUFOを定義どおりに単なる未確認飛行物体とした場合は別である)。もしこの論法が正しいのなら、ガメラだろうが魔法使いサリーちゃんだろうが同じでなければならないはずである。 この講義では、上記のように様々な文章を論理的に分析しながら、誤った論法がどのようにして説得力を得て人の心をつかむまでになるかを考えていく。キーワードは詭弁と煽動、そして説得力である。主に古典論理、古典レトリック、そして近代の雄弁学などの手法を用いながら、さまざまな詭弁とウソ、煽動の詐術を見ぬく方法を学び、そしてそのメカニズムを解明する。レトリックと論理を介して、言語の限界と力を理解し、それによる人間の自己形成、そして自己理解の過程を学ぶ。それらを通して論理と人間、自己との複雑な絡み合いを概観する。
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達成目標/Course objectives
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言葉の力と自己への影響力・形成力を古典レトリック及び論理学、雄弁学の視点から学ぶ。
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授業計画/Lecture plan
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1
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授業計画/Class |
講義の導入 詭弁の具体例と分析を用いながら、講義全体の概観を紹介する詭弁や論理的詐術を歴史的に概観し、言語表現と自己理解のかかわりを学ぶ。 オンライン授業(オンデマンド型)での実施
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2
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授業計画/Class |
古典的レトリックと論理:古代ギリシャのソフィストによる詭弁の実例
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3
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4
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授業計画/Class |
逆説的説得と反論ーソフィストの詭弁を読む2
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5
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授業計画/Class |
民主制ローマとレトリックーブルータスとアントニー
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6
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7
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10
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授業計画/Class |
これまでのまとめと小テスト。
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授業計画/Class |
体系化したレトリックと学校教育
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授業計画/Class |
政治演説―あえてヒトラーに学ぶ |
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授業計画/Class |
講義全体のまとめと小テスト。
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事前学習/Preparation |
講義プリント(箇条書き版)がcoursepower上にて公開される。そのプリントにおける理解必須事項を教科書および参考文献をもとに調べておく。 |
事後学習/Reviewing |
講義公開時間に合わせて別の講義プリント(文章解説版)が公開される。教科書および参考文献とともにそれを熟読して講義内容を復習する。 |
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授業方法/Method of instruction
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区分/Type of Class |
対面授業 / Classes in-person
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実施形態/Class Method |
ハイブリッド型ブレンド形式 / hybrid blend
補足事項/Supplementary notes・講義用資料はcoursepowerのシステムを利用してpdfファイルで配信する。講義内容も一部は文章化して配信する。 ・疑問点などがある場合はcoursepowerの質問、および掲示板システムを利用する。 ・教科書があるのでなるべく早めに購入することが望ましい。 ・coursepower上で小テストを数回実施予定。詳しくは講義で配信されるプリント、およびお知らせでの連絡事項を参照。
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活用される授業方法/Teaching methods used |
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成績評価方法/Evaluation
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1 |
平常点 In-class Points
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30%
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coursepowerにおける授業参加度。質問および掲示板の内容。
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2 |
試験 Exam
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70%
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適宜実施する予定のテスト。coursepowerを用いて行う。基本は第10回と第15回に実施予定。他に実施する際は事前にcoursepowerのお知らせを用いて通知する。判定基準は、①誤った論法を見抜く基礎的論理力(50%)、②古典レトリック及び雄弁法についての基礎的知識(20%)、とする。
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課題(試験やレポート等)に対するフィードバックの方法/Feedback methods for assignments (exams, reports, etc.)
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・各回ごとにcoursepower上にて掲示板を公開。講義内容にかかわる質問、感想、意見などを記す。 ・試験はcoursepower上にて行う。 ・レポート提出(現時点では未定)もcoursepower上にて行う。
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教科書/Textbooks
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| 著者名 Author | タイトル Title | 出版社 Publisher | 出版年 Published year | ISBN | 価格 Price |
1 |
佐藤拓司著
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「雄弁学」を学ぶ
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DTP出版
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2013.4
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9784862113542
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2300円+税
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参考書/Reference books
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その他/Others
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・論理学の講義ではないが、古典論理学と現代記号論理学の手法を一部で用いることがある。講義中におさらいをする余裕はないから、復習をしっかりとすること。 ・講義内容はとても多岐にわたる。十分な理解のために講義前に教科書、および紹介する参考文献などで予習をすること。 ・事前学習で課された書物には大部のものもある。すべて読みとおしておくことはむずかしいが、どういう書物なのか、機会があれば、かんたんにでも眼を通しておいてほしい。講義の理解度が格段に違うはずである。 ・金曜1限後期にも同講師による自己理解(個別科目)が開講されていますが、内容はまったく別物です。間違いのないよう注意してください。
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キーワード/Keywords
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詭弁
雄弁
弁論術
レトリック
ソフィスト
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