講義概要/Course description
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金曜1限(後期) 近現代と「不安」の哲学
この講義では、近現代の西洋思想史をふりかえりながら、「人間」と「不安」の問題を中心に考える。かつて20世紀の前半、そして半ばには「実存主義」と呼ばれる思想が流行したときがあった。合理主義によって形作られた「近代文明」に対して人が恐れを抱き、自分が世界のなかで異物と化していることを実感するとき、それは「不安」として現れる。実存主義は現代に生きる人間の「不安」を暴きだした。第一次大戦から第二次大戦直後において見られる理性不信の思想。そこには「不安」にかられた人間の悲鳴がある。 かくして私は、20世紀前半、第一次世界大戦の開戦から第二次世界大戦後までの激動の時代のヨーロッパ、とくにその混乱の源泉にもなったドイツに焦点をあてながら、時代における「不安」と、そこからの生まれてきた「実存」の思想に焦点をあてる。とくに重要視されるのはその時代を彩ったベストセラー、シュペングラー『西洋の没落』、ヒトラー『わが闘争』、ハイデガー『存在と時間』、そしてサルトルの『存在と無』である。これらの書物と、そしてそれが圧倒的に受け入れられる時代状況と人々の「不安」を実存的に見つめなおしていきたい。
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達成目標/Course objectives
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自分と世界をとりまく「不安」。その正体を近現代史と時代を代表する思想書を通して考察。近代的アイデンティティの抱える問題点を理解し、実存主義的な立場からその超克をはかりながら、同時にその限界をも見つめていきたい。
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授業計画/Lecture plan
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1
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授業計画/Class |
導入 近代の不安と「昨日の世界」 オンライン授業(オンデマンド型)での実施
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2
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3
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授業計画/Class |
シュペングラーと「西洋の没落」
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4
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5
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6
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授業計画/Class |
「不安の哲学」とハイデガー①
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7
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授業計画/Class |
「不安の哲学」とハイデガー②
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8
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授業計画/Class |
ナチスの時代:「不安の哲学」とハイデガー③
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9
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授業計画/Class |
無に対する問いかけ:ハイデガーとサルトル
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10
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11
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授業計画/Class |
不安と他者:サルトルの哲学②
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12
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授業計画/Class |
自由と反抗:サルトルとカミュ
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13
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14
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授業計画/Class |
全体主義への反抗:カミュ、ヤスパース、そしてハンナ・アレント
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15
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授業計画/Class |
技術とシステムへの反抗:戦後のハイデガーとヤスパース |
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事前学習/Preparation |
講義プリント(箇条書き版)がcoursepower上にて公開される。そのプリントにおける理解必須事項を事前に参考文献などをもとに調べておく。 |
事後学習/Reviewing |
講義公開時間に合わせて別の講義プリント(文章解説版)が公開される。参考文献などとともにそれを熟読して講義内容を復習する。 |
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授業方法/Method of instruction
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区分/Type of Class |
対面授業 / Classes in-person
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実施形態/Class Method |
ハイブリッド型ブレンド形式 / hybrid blend
補足事項/Supplementary notes・講義用資料はcoursepowerのシステムを利用してpdfファイルで配信する。講義内容もその多くは文章化して配信する。紙媒体での配布は基本として行わない。 ・疑問点などがある場合はcoursepowerの質問、および掲示板システムを利用する。 ・レポートを数回提出してもらう。
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活用される授業方法/Teaching methods used |
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成績評価方法/Evaluation
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1 |
レポート Report
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70%
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課題レポートを2回提出してもらう予定。 評価基準は内容理解度(40%)と論述の論理性及び説得力(30%)。
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2 |
平常点 In-class Points
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30%
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coursepowerにおける授業参加度。質問および掲示板の内容。
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課題(試験やレポート等)に対するフィードバックの方法/Feedback methods for assignments (exams, reports, etc.)
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・各回ごとにcoursepower上にて掲示板を公開。講義内容にかかわる質問、感想、意見などを記す。 ・レポート提出もcoursepower上にて行う。
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教科書/Textbooks
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| コメント Comments |
1 |
使用しない。毎回プリントを配信する。
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参考書/Reference books
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その他/Others
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・事前学習で課されている参考書は、その多くが大部であり、事前に読みとおすことはむずかしい。それでも、どういうことが書かれた書物なのか、興味がわくくらいまで、少しくらいは目を通しておいてほしい。講義の理解度が格段にあがるはずである。それら参考書のとくに重要な部分は講義のプリント資料として抜粋して配布する。講義後の事後学習ではその抜粋された資料をもとに参考書の原点にあたって見直してほしい。 ・この講義の参考書はおもに古典的名著である。それゆえ現代ではそれらを理解するための入門書・解説書も数多く出版されている。それらについては講義中のプリントなどで紹介する。 ・金曜1限前期にも同講師による自己理解(個別科目)が開講されていましたが、内容はまったく別物です。気をつけるようにお願いします。
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キーワード/Keywords
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不安
実存主義
シュペングラー
ヤスパース
ハイデガー
サルトル
カミュ
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