講義内容詳細:日本文学特講Ⅱ[1]

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年度/Academic Year 2025
授業科目名/Course Title (Japanese) 日本文学特講Ⅱ[1]
英文科目名/Course Title (English) Lecture on Japanese Literature Ⅱ [1]
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 小松 靖彦
英文氏名/Instructor (English) KOMATSU Yasuhiko

講義概要/Course description
戦争下の『萬葉集』受容を通してジェンダーを考える

 日中戦争・太平洋戦争下、最も広く受容された古典は、『萬葉集』です。政府と軍は、『萬葉集』の歌の〈男性的強さ〉を強調し、「国民」の戦意を高めました。「国民」も「好戦」の表現として『萬葉集』を受け入れました。また、『萬葉集』の女性歌人たちの〈待つ女〉の歌も広く受容されました。政府も軍も、嘆きに満ちた〈待つ女〉の歌を禁じることはありませんでした。このように、『萬葉集』は、戦争を遂行するための〈性役割〉を示すものとして利用されたのでした。
 ただし、戦争下に、近代日本では男性よりも低い地位に置かれていた女性たちにとって、〈男性的〉な『萬葉集』を受容することが、男性と肩を並べる機会となっていたという面もあります。
 また、近代国民国家は、”〈公〉に対する〈私〉”というものを誕生させました。戦争下では、強大な〈公〉によって〈私〉が抑圧されます。それゆえ、〈私〉のように見える、心の表現も、実は、〈公〉的な集団性を帯びる、ということが起こっています。
 この講義では、こうした〈公〉と〈私〉の関係にも注意を払いながら、戦争下の『萬葉集』受容を通して、ジェンダーとは何かを考えます。
達成目標/Course objectives
1.戦争下の『萬葉集』受容についての基本的知識を得る。
2.ジェンダーについての基本的知識を身に付ける。
3.『萬葉集』を通して、戦争とジェンダーについて考える視点を養う。
学部・研究科のディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)に基づき、当該科目を履修することで身につく能力 / Abilities to be acquired by completing the course in accordance with the faculty and graduate school diploma policy (graduation certification and degree conferral)
学部・研究科のディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)/ Undergraduate and Graduate Diploma Policy (Graduation Certification and Degree Conferral)
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class イントロダクション【オンライン(オンデマンド型)授業】
2
授業計画/Class 序論(1):戦争下の『萬葉集』
3
授業計画/Class 序論(2):戦争とジェンダー
4
授業計画/Class 「ますらを」の受容(1):近代における「ますらを」受容の始発
5
授業計画/Class 「ますらを」の受容(2):日中戦争下における「ますらを」
6
授業計画/Class 「ますらを」の受容(3):太平洋戦争下における「ますらを」
7
授業計画/Class 「ますらを」の受容(4):特別攻撃隊における内在化された「ますらを」
8
授業計画/Class 戦争下の女性像(1):日中戦争下のラジオ小説における〈待つ女〉
9
授業計画/Class 戦争下の女性像(2):齋藤瀏『萬葉のこゝろ』と『愛国百人一首』
10
授業計画/Class 戦争下の女性像(3):『知覧からの手紙』から
11
授業計画/Class 女性による『萬葉集』の研究(1):今井邦子の場合
12
授業計画/Class 補論 戦争下の女性歌人:齋藤史
13
授業計画/Class 女性による『萬葉集』の研究(2):関みさをの場合
14
授業計画/Class 戦争下の『萬葉集』の受容と研究をめぐって:折口信夫の〈女歌〉論
15
授業計画/Class 戦争下の『萬葉集』の受容と研究をめぐって(2):女性を演じる歌・男性を演じる歌の評価
 
事前学習/Preparation 授業で考察するテーマについて情報を得ておく。また、配信された資料教材に目を通し、興味を覚えた点と疑問点をまとめておく。
事後学習/Reviewing 毎回の課題にコースパワーで答える(200字以上)。また、知りたいと思ったことについて、自分で調べる。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
補足事項/Supplementary notes講義形式で授業を実施するが、受講者から意見を聞く時間を毎回作る。ディスカッションも行う。
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 レポート Report 40% 毎回の課題回答のうち、最も自信のあるものをブラッシュアップして、学期末レポートとして提出する。
2 平常点 In-class Points 30% 授業での積極的発言、主体的な事前・事後学習(自分が調べたい・考えたいと思ったことを積極的に深める)。
3 その他 Others 30% 毎回、簡単な課題を課す。コースパワーに直接入力して回答する。なお、課題回答の提出をもって「出席」とする。
課題(試験やレポート等)に対するフィードバックの方法/Feedback methods for assignments (exams, reports, etc.)
毎回の課題回答をピックアップしてまとめ、コメントを記した資料教材をコースパワーにアップする。
参考書/Reference books
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
価格
Price
 
1 小松靖彦 戦争下の文学者たち:『萬葉集』と生きた歌人・詩人・小説家 花鳥社 2021 3200(本体)
2 アイリス・ゴットリーブ イラストで学ぶジェンダーのはなし みんなと自分を理解するためのガイドブック フィルムアート社 2021
3 水口文乃 知覧からの手紙:新版(中公文庫) 中央公論新社 2023 840(本体)
キーワード/Keywords
戦争     萬葉集     ジェンダー