講義内容詳細:経済・金融事情(金融機関経営)

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年度/Academic Year 2024
授業科目名/Course Title (Japanese) 経済・金融事情(金融機関経営)
英文科目名/Course Title (English) Economic and Financial Review (Risk Management)
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 酒井 吉廣
英文氏名/Instructor (English) SAKAI Yoshihiro

講義概要/Course description
日本の「金融機関経営」が岐路に立たされてから暫くが経過した。①日銀の超緩和解除の方向性、②直接金融の増加と取引先(日本企業)の競争力低下による金融機関需要の低下(特に東京が国際金融都市に復活できない現状)、③フィンテック対応のための技術者の不足やシステム対応力の向上、さらにはAML(反マネーローダリング対応)の強化等によるコスト増、が新たな動きである。本講義では、金融機関経営の基本と共に、日本経済の転換点を金融機関経営を通して見て行く。
達成目標/Course objectives
「金融機関経営(事業法人経営ではない)」という切り口で、日本経済の推移と共に、その変化を見て行く。「金融の教科書」や「金融機関の説明文」にあるような項目別の授業(縦割り授業)ではなく、金融機関が直面している現状と解決策の観点や実際の金融機関行動からの「横割り授業」(公共性を失わずに収益力ある金融機関経営のためには教科書にある各項目をどう修正して考えていくと良いかを考える)を行って、「金融機関経営」の全体像とその将来を理解することを目標とする。
学部・研究科のディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)に基づき、当該科目を履修することで身につく能力 / Abilities to be acquired by completing the course in accordance with the faculty and graduate school diploma policy (graduation certification and degree conferral)
学部・研究科のディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)/ Undergraduate and Graduate Diploma Policy (Graduation Certification and Degree Conferral)
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
特に履修条件は無い。これまでに「金融機関」を受講した人も履修可能。
授業計画/Lecture plan
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授業計画/Class 1.オリエンテーション
(1)シラバスの説明(講義の概要、課題等の説明、成績評価の説明等)
(2)金融機関経営についての一般的な説明(例、メガバンクと地銀の動きの違いなどが意味するもの等)。
(3)金利上昇は金融機関経営に良いのか悪いのか。国際競争力を上げる方法は何か。なぜ今も地銀再編が続くのか。

【オンライン授業(オンデマンド型)】

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授業計画/Class 2.金融機関経営を左右するもの
(1)金融機関とはどういう組織か、普通の企業と何が違うのか
(2)金融機関の利益の源泉(預貸利鞘、預証利鞘、手数料収入ほか)
(3)金融機関の業務の種類(通常業務、国際業務、証券業務、その他)
3
授業計画/Class 3.戦後の金融機関経営の歴史
(1)規制金利の下での銀行優位(メインバンク制)の時代⇒円の国際化⇒金利自由化と手数料収入へのシフト⇒バブル経済に翻弄された不良債権問題の時代(大手銀行の再編など)⇒ゼロ金利・マイナス金利時代⇒ノーマル金融への回帰という流れを大づかみに理解する。
(2)日本に外資系金融機関参入の成功例がない理由は何か(事業法人ではコカ・コーラ社など成功例が多い)。
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授業計画/Class 4.金融機関の経営者の立場で考える技術革新の推進
(1)顧客対応の差別化、フィンテック等のIT技術の導入、店舗戦略の現代化⇒但し技術者が不足
(2)AML(Anti-Money_Laundering)対応の遅れ(FATF<国際機関>の評価が低い理由等)と反社増加への対応
(3)金融当局による機関規制の適切性と金融機関経営の進化スピード
(4)Fintechはなぜ日本で遅れるのか。Web3はなぜ日本で盛り上がらないのか。ガラパゴス化は進行するのか。

5
授業計画/Class 5.異業種参入の評価と既存金融機関への影響
(1)コンビニ銀行の普及、SBIの新生銀行子会社化、第一生命の銀行業参入(日本の特殊性など)
(2)インターネットバンクは日本の金融界をどう変えたのか
(3)アマゾンはなぜ銀行業務に参入しないのか
(4)PayPayはなぜ現金社会の日本で成功したのか(アリペイ、アップルペイと比較して)
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授業計画/Class 6.日本の金融機関法制は時代に合っているか
(1)金融制度改革法や資金決済法と各金融機関に関する業法
(2)金融再生法と早期健全化法はこれからも必要か(どうしていくべきか)
(3)有価証券の定義や金融機関の企業への出資など日本が今後も変わるべき分野
(4)経済安全保障、外為法、国内利用者への規制など
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授業計画/Class 7.第六回までの総括
(1)全体の纏め
(2)自由討議
(3)今後の授業についての説明
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授業計画/Class 8.金融機関の国際競争
(1)バブル時代の日経金融機関の強さの源泉とその終焉
(2)東京・大阪・福岡が国際金融都市に立候補しているが結果を出せない理由
(3)BIS規制に対する欧米と日本の金融機関対応の相違

(4)金融技術力・Financial Engineeringの外資との格差
(5)金融機関の人材確保は大丈夫か(日本の給与は安すぎるのか)
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授業計画/Class 9.外資系の各金融機関の国際競争力
(1)規模で有意な米系と中国系、歴史のあるフランス系とスイス系
(2)英系Merchant Bankの競争力の浮き沈みとスペイン系の競争力拡大
(3)イスラム金融が世界に通用した背景
(4)財閥グループの強い結束に乗った日系金融機関の栄華盛衰

(5)金融機関の国際競争力の鍵に国家の支援あり
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授業計画/Class 10.利用者視点からみた金融機関の現在
(1)日本国民にとって金融機関は便利になったのか(なぜ消費者金融が流行るのか)
(2)地方の経済界や住民は地銀に銀行業務以外を求める必要はあるのか(離島や過疎地への金融をどう考えるか)
(3)規模の利益を追求する金融機関とこれをカバーする筈の政府系金融機関
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授業計画/Class 11.金融機関の規制と検査
(1)免許業の銀行と届出業の証券へのオンサイトとオフサイトによる監視(保険業など他業態との比較を含む)
(2)金融機関のリスク管理の種類と範囲
(3)必要な規制と緩和すべき規制のバランスとは
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授業計画/Class 12.暗号資産は金融業を変えるか
(1)中央集権型の金融機関と分散型金融の競合
(2)ビットコインとイーサリアム
(3)不正事件が頻発する暗号資産の弱点
(4)Web3で技術面での国際競争力ある会社が日本に登場しない理由
(5)仮想通貨と現実通貨のブリッジはどこまで進むのか

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授業計画/Class 13.デジタル通貨の実現と暗号資産
(1)デジタル通貨は現金の変形、暗号資産は金融商品の一つ
(2)ドルや円とステーブルコインの競合および補完関係(ステーブルコインが盛り上がれない本当の理由とは)
(3)世界に先駆けてスタートしたデジタル人民元の世界へのインパクト
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授業計画/Class 14.現金比率の高い日本でデジタル通貨はどこまで普及するのか
(1)スマホ利用のペイメントとの違いおよび株式よりリスクの高い投資商品である暗号資産
(2)暗号学は難しい学問なのか(数学レベルのような一般への普及は可能か)
(3)世界の通貨当局や中央銀行はデジタル通貨の普及をどこまで認めてその影響をどう想定しているのか
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授業計画/Class 15.全体の総括
・14回分の講義を総括したテストを実施
 
事前学習/Preparation シラバスを見て、可能な限りウェブサイト等で次の授業の内容についての知識を得ておく。
事後学習/Reviewing 授業の復讐。特に、教科書にないような話が少なくないので、わからないことを必ず質問して疑問を解決しておくことが重要。メールや授業外の質問も歓迎。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method ハイブリッド型ブレンド形式 / hybrid blend
補足事項/Supplementary notes授業は、オンライン講義と、授業中のディスカッションを交えて行う。なお、講義中にChat機能を使った個別質問も歓迎。
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 試験 Exam 100% 授業参加態度の結果が出るようなテストとする。実際に理解しているか、またその深度はどうか、が評価基準となる。但し、学生にとっては初めての話題も少なくないと思われるため、問題自体は「A」が取れるようなものとする予定。
教科書/Textbooks
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1 特になし。
参考書/Reference books
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1 東洋経済新報社・読本シリーズ「金融読本」第32版(島村二嘉、中島真志)。新潮選書「中央銀行が終わる日」(岩村充)。ETHEREUM (Mark Gates)。
メッセージ/Message
金融機関や証券会社、保険会社への就職を考えている人、金融機関に興味のある人、企業で財務や経理の仕事をしたい人、起業を考えている人(企業経営をやりたい人)、暗号資産を知りたい人など、様々な学生の履修を期待します。

その他/Others
日本銀行、政府系金融機関、証券会社、保険会社、一般事業法人での勤務やアドバイザー経験をもとに、新しい話題を盛り込んだ講義とする予定。
キーワード/Keywords
金融、金融機関、銀行、信用金庫、信用組合、農協、ゆうちょ銀行、証券会社、保険会社、金融論、暗号資産、仮想通貨、政府系金融機関、ペイメント会社、金融業への異業種参入。