講義内容詳細:キリスト教と人権

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年度/Academic Year 2025
授業科目名/Course Title (Japanese) キリスト教と人権
英文科目名/Course Title (English) Christianity and Human Rights
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 塩谷 直也
英文氏名/Instructor (English) SHIOTANI Naoya

講義概要/Course description

「我々を食い物にし、我々を不正と抑圧に閉じ込めようと願った人々は、実際のところ私たちに聖書を手渡すべきではなかった。何故なら聖書を手渡すとは、彼らの極悪な企ての下に、ダイナマイトを仕掛けることであったからである。聖書は人類について実に驚愕すべき主張を行う。そしてその主張は、現代、そして私たちの時代にあまりに当たり前になった基本的人権の文化の基礎となったのである。」

(デスモンド・M・ツツ The first word: to be human is to be free.)

 人権とは一切の抑圧から解放されて自由であること(「出エジプト記」参照)。それは神からすべての人に等しく与えられた無償のプレゼント。そのプレゼントを得るために一切の努力は不要。ただあなたが存在するだけで生涯、いや天国に行ったとしても離れることの無い当然の権利を指す。これが聖書的理解に立つ人権。

  ところがこの神からのプレゼントを地上の人々は奪い取る。なぜなら、その方が権力者にとって(弱い立場にいる)人々を支配しやすいから。それはデスモンド・ツツが南アフリカで経験したように国家レベルで起こるだけではない。共同体の最小単位、家庭の中でも起こりうる。子どもを守るべき大人そして親達(=子どもにとっての最初の権力者)が、最も弱き者の人権を強奪するのである。まさに「人の敵は家の中の者である」(ミカ書7章6節)のだ。また弱き者も、みずから自由を安易に売り渡す。なぜなら、自由とは責任を伴い、あまりに重荷だから(出エジプト記14章12節)。

  本講義ではキリスト教人権意識のモデルと言えるイエスの言動と生涯を、幼少期の保護者である母マリアの視点から(聖書および映画『イエスと二人のマリア』を通して)読み解いていく。「聖母」として絶対化されやすいマリア、しかし聖書を丁寧に読み解いていくと、そこに母子の葛藤、戦い、そして互いが互いの生き方を尊重しつつ別の人生を歩み始める姿など、現代に通じる、いや現代でも実現できていない親子、家族、共同体の人権意識、自由の尊重が見てとれる。

 「聖書の人間観」をあらためて学びたい、また親子関係に問題意識を持ち「生きづらさを自覚」している、そして周囲の期待する「○○らしさ」から神が求める「本来の私らしさ」を目指す旅、すなわち「私の出エジプト」を開始した学生たちに開かれています。




達成目標/Course objectives
①キリスト教概論で身につけた聖書を読み込み、意味を汲み取り、実践にいかす力を更に養います。
②聖書の人間観に関し、一定の知識を身につけます。
③以上を通し、表層的に終わらない、宗教・歴史に深く根を張った「人権への考え方、取り組み」を身につけます。
学部・研究科のディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)に基づき、当該科目を履修することで身につく能力 / Abilities to be acquired by completing the course in accordance with the faculty and graduate school diploma policy (graduation certification and degree conferral)
学部・研究科のディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)/ Undergraduate and Graduate Diploma Policy (Graduation Certification and Degree Conferral)
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
「キリスト教概論Ⅰ」を履修済みであることが条件です。(旧約聖書「出エジプト記」のストーリーを知っているとさらに受講しやすいかもしれません)
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class オンデマンド授業。コースパワーの動画を見て、小テストを受験してください。
ビデオ「マリアの冒険物語」 ルカ1:5〜25
2
授業計画/Class オリエンテーション
人が人である限り奪われないもの〜受胎告知 
ルカ1:26〜38
3
授業計画/Class マリアの讃歌〜「言葉」を信じるって?
ルカ1:39〜56
4
授業計画/Class 「ひとり」でも倒れない秘訣
マタイ1:1〜25
5
授業計画/Class クリスマス〜世界で最も淋しい人々の祝宴
ルカ2:1〜11
6
授業計画/Class 人生の問題は分割しよう
ルカ2:22〜35
7
授業計画/Class 子どもは親の所有物ではない
マタイ2:19〜23
8
授業計画/Class 「貧しい人」は幸いなのか?
ヨハネ2:1〜17
9
授業計画/Class 小さなことに大きな愛を
マルコ6:14〜29
10
授業計画/Class なぜ「いつまでも子ども扱い」されるのか?
マルコ6:14〜29
11
授業計画/Class イエスの弟子は“クズ”ばかり?
ヨハネ8:1〜11
12
授業計画/Class 「目には目を」の法則は、全ての人を盲目にする
マタイ21章
13
授業計画/Class 母子関係の発展的清算
マタイ27:15〜61
14
授業計画/Class 伏線の回収〜いつかわかる日が来る
ヨハネ20:11〜18
15
授業計画/Class 授業内試験
 
事前学習/Preparation コースパワーで事前に指定された聖書個所を読んでおいてください。
事後学習/Reviewing コースパワーでの指示に従ってください。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
補足事項/Supplementary notes1回目の授業はオンデマンドです。
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 試験 Exam 90% 期末レポート及び不定期テストをコースパワーも用いながら行います。
2 平常点 In-class Points 10% 授業への取り組み、積極性を評価します。
課題(試験やレポート等)に対するフィードバックの方法/Feedback methods for assignments (exams, reports, etc.)
対面及びコースパワーを通して行います。
教科書/Textbooks
 タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
ISBN
1 聖書 聖書協会共同訳 日本聖書協会 2018 9784820213444
メッセージ/Message
このクラスは、いわば法学部が開講する「キリスト教概論Ⅲ」(ただし選択!)です。青学生として卒業前にもう一歩、聖書を使いこなしたい、キリスト教の学びを深めてみたい方、お待ちしています。全授業で聖書(聖書協会共同訳)を必要とします。特段の理由がない限り、デジタルブックはお避け下さい。