講義内容詳細:ビジネスと人権/人権法特論D

戻る
年度/Academic Year 2024
授業科目名/Course Title (Japanese) ビジネスと人権/人権法特論D
英文科目名/Course Title (English) Business and Human Rights/Topics in Human Rights Law D
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 高橋 大祐
英文氏名/Instructor (English) TAKAHASHI Daisuke

講義概要/Course description
 この授業では、「ビジネスと人権」の理論と実務を、SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンス)との関わりも意識しながら、学ぶことができます。
 経済活動がグローバル化する中で、ビジネスに関連した人権侵害に関する懸念の高まりを受けて、2011年に、国連人権理事会で「ビジネスと人権に関する指導原則」が承認されました。指導原則は、企業に対し、サプライチェーンなどの取引関係を通じて、労働者・地域住民・消費者などのステークホルダーの人権への負の影響を評価・対処する、「人権デュー・ディリジェンス(人権DD)」という取組を要請しています。この人権DDの概念は、国際規範、国内外の法規制、企業間の取引ルールなどにも組み込まれ、企業活動にも多大な影響を与えています。企業がサステナビリティ/ESG経営を実践していくにあたっても、企業の人権尊重は中核的な取組の一つになっています。
 企業が直面する人権課題は、差別やハラスメントなどの身近な労働問題にとどまりません。技能実習生などの外国人労働者の人権侵害、ジャニーズ問題等を契機として顕在化したエンターテイメント・メディア業界での人権侵害、気候変動の地域住民に対する影響、AIなどテクノロジーが社会にもたらす様々なリスクなど様々な環境・社会課題が含まれています。
 この授業では、以上のような「ビジネスと人権」の課題を、企業及びその他の関係者が対話や協働を通じてどのように解決していけるかを、具体的な事例を交えながら、一緒に考えてもらいます。さらに、「ビジネスと人権」を学ぶことは、受講生のみなさんが、将来、企業・行政・NGO・国際機関・法曹など様々な立場において社会・企業の双方課題解決のためにリーダーシップを発揮するとともに、仕事と生活の双方を楽しむための工夫を学ぶ一助となるかもしれません。そのような実践スキルを高めていただくために、可能な限り双方向の授業とし、企業・NGO間の対話・交渉のシミュレーションや事例研究に関するグループワークなども実施する予定です。
達成目標/Course objectives
 国連指導原則や日本政府の行動計画やガイドラインなど「ビジネスと人権」に関するルールその影響、SDGsやESGとの関わり、企業における人権尊重の実践方法や留意点について、受講生の皆さんの理解を固めます。
 その上で、受講生の皆さんが、将来、企業・行政・NGO・国際機関・法曹など様々な立場において、社会・企業課題の解決のためのリーダーシップを発揮するための実践スキルを身につけることを目標とします。問題の分析・調査・解決、関係者との対話・交渉・説得、チーム内での連携における工夫についても、ケーススタディ、シミュレーション、グループワークを通じて習得を目指します。
学部・研究科のディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)に基づき、当該科目を履修することで身につく能力 / Abilities to be acquired by completing the course in accordance with the faculty and graduate school diploma policy (graduation certification and degree conferral)
学部・研究科のディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)/ Undergraduate and Graduate Diploma Policy (Graduation Certification and Degree Conferral)
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
 会社法や国際人権法の分野の基礎を習得していた方が、より一層関心をもって授業に臨めるかもしれません。しかし、前提知識は必須ではありませんので、どのような方でも安心して参加してください。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class オリエンテーション:「ビジネスと人権」を学ぶ意義とは?具体的な事例や日々のニュースとの関わりを含めて解説します(オンライン(オンデマンド型)で実施)
2
授業計画/Class 講義:SDGs、ESG、「ビジネスと人権」に関する重要概念・ルール・視点を押さえる
3
授業計画/Class 講義:ビジネスと人権国連指導原則の全体像と第2の柱「企業の人権尊重責任」
4
授業計画/Class 講義:人権デュー・ディリジェンス(DD)の実務と留意点
5
授業計画/Class 事例研究:事例を通じて人権DDの実践方法を学ぶ
6
授業計画/Class 講義:指導原則第3の柱「救済へのアクセス」と苦情処理メカニズム
7
授業計画/Class シミュレーション:事例を通じてステークホルダ―の苦情申立・問題提起への対応方法を学ぶ
8
授業計画/Class 講義:指導原則第1の柱「国家の人権保護義務」と国別行動計画
9
授業計画/Class 講義:「ビジネスと人権」に関するルール形成とグローバルコンプライアンス
10
授業計画/Class シミュレーション:ブランド企業・サプライヤー工場・人権NGO間の対話・交渉を通じた人権課題の対処
11
授業計画/Class 講義:様々な「ビジネスと人権」課題を学ぶパート1(外国人労働者と人権、エンターテイメント・メディアと人権、子ども・女性・障がい者・性的少数者の人権)
12
授業計画/Class 講義:様々な「ビジネスと人権」課題を学ぶパート2(気候変動・環境と人権、AI・テクノロジーと人権、紛争と人権)
13
授業計画/Class グループ事例研究報告
14
授業計画/Class グループ事例研究報告・講評
15
授業計画/Class 総括:「ビジネスと人権」の視座を私たちの生活・仕事・社会でどのように生かすか?
 
事前学習/Preparation 各授業の前に、文献の確認や課題の検討をお願いすることがあります。
事後学習/Reviewing リアクション・ペーパーの提出をお願いすることがあります。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
補足事項/Supplementary notes 受講生のみなさんに、具体的な事例・課題について検討してもらい、授業の中でディスカッションを行う予定です。
 対話・交渉のシミュレーションでは、企業・NGOなどのチームに分かれて、特定の「ビジネスと人権」課題の解決に向けた対話・交渉を行い、その方法や課題を実体験を通じて学んでもらいます。
 グループワークは、特定の企業やステークホルダーが直面している特定の「ビジネスと人権」課題に関して、チームで調査検討を行った上で、解決案を取りまとめて、発表してもらう予定です。
 なお、授業は、特段の事情がない限り、対面式で実施する予定です。

活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 レポート Report 40% 期末レポートに関して、知識量ではなく、論理的・説得的・独創的か否かといった視点から評価します。
2 平常点 In-class Points 30% 授業・ディスカッション・シミュレーションへの参加・貢献の状況から評価します。
3 その他 Others 30% グループワークに関して、成果物の内容及びチームへの貢献度から評価します。
教科書/Textbooks
 著者名
Author
タイトル
Title
出版年
Published year
価格
Price
コメント
Comments
1 財団法人アジア・太平洋人権情報センター ビジネスと人権に関する指導原則 和訳 2011年 無料 https://www.hurights.or.jp/japan/img/hrc1731framework.pdf
2 国際連合人権高等弁務官事務所 ビジネスと人権に関する指導原則 英語原文 2011年 無料 https://www.ohchr.org/documents/publications/GuidingprinciplesBusinesshr_eN.pdf
3 日本弁護士連合会 人権デュー・ディリジェンスのためのガイダンス(手引) 2015年 無料 https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2015/opinion_150107_2.pdf
4 OECD 責任ある企業行動のためのOECDデュー・ディリジェンス・ガイダンス 2018年 無料 https://mneguidelines.oecd.org/OECD-Due-Diligence-Guidance-for-RBC-Japanese.pdf
5 日本政府 ビジネスと人権に関する行動計画 2018年 無料 https://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/hr_ha/page22_001608.html
6 日本政府 責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン 2022年 無料 https://www.meti.go.jp/press/2022/09/20220913003/20220913003-a.pdf
参考書/Reference books
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
価格
Price
コメント
Comments
 
1 高橋大祐 グローバルコンプライアンスの実務 金融財政事情研究会 2021年 3960円 https://store.kinzai.jp/public/item/book/B/13985/
2 高橋大祐 SDGs/ESG経営とルール活用戦略 商事法務 2022年 2970円 https://www.shojihomu.co.jp/publication?publicationId=17923595
3 大村恵実=佐藤暁子=高橋大祐 人権デュー・ディリジェンスの実務 金融財政事情研究会 2023年 2200円 https://store.kinzai.jp/public/item/book/B/14226/
4 日本弁護士連合会国際人権問題委員会編 詳説 ビジネスと人権 現代人文社 2022年 3960円 http://www.genjin.jp/book/b606008.html
メッセージ/Message
この講義を通じて、受講者の皆さんが、ご自身の夢や理想を実現する一歩を踏み出されることを少しでも応援できればと思っています。
その他/Others
 講師は、弁護士として、以下のような「ビジネスと人権」を含むサステナビリティ/ESGに関係する様々な活動に関与しており、実務経験もふまえた工夫を受講生に皆さんに共有できれば幸いです。
 国際法曹協会(IBA)ビジネスと人権委員会共同議長、日本弁護士連合会弁護士業務改革委員会CSRと内部統制PT副座長、ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)共同代表。
 OECD責任ある企業行動センター・コンサルタント、外務省ビジネスと人権行動計画作業部会構成員、環境省環境デュー・ディリジェンス普及に関わる冊子等検討会構成員、2025年日本国際博覧会協会持続可能な調達ワーキンググループ委員などの公職も歴任。
 企業・金融機関の社外役員、サステナビリティ委員会委員、サステナビリティ・アドバイザリー・ボードメンバーなども歴任。
キーワード/Keywords
ビジネスと人権     SDGs     ESG     コンプライアンス     実務経験