講義概要/Course description
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企業経営に関する様々な場面で意思決定, すなわち組織の次の行動を決めることが求められますが, 組織の行動を「決める」には「正しいと考えられる」かつ「関係者も正しいと納得できる」選択であることが求められます. そして, 様々な価値観を持つ人々の集合であり, それぞれが自分の目的のために行動している組織でこれらの条件を満たす選択をすることは一般に難易度が高いことが知られています.
このような場面で有効性が知られるのが「論理的思考」です. 論理的思考は「論理的に物事を考える」ことなので, 当然正しいと考えられる選択を見つけることに貢献してくれるのですが, 実はコミュニケーションツールでもあります. 例えば論理的思考とは真逆の「思いつき」で何かを提案しても関係者はその提案の良し悪しを十分に検討する材料を得ることができず, 良い提案であっても印象などによって賛成・反対を表明することしかできません. 一方論理的思考に基づく提案では, 何が問題なのか, その問題を解決することの価値は何か, その問題を解決できる手段としてどんなものが存在するのか, その中から今回はどのような理由で何を選ぶのか, などを順序立てて説明することができ, 例えば問題設定そのものに同意ができない, あるいは数ある手段の中から1つに絞る過程で検討できていない点があるなど, 論点を整理した上で議論することができ, 選択の同意だけでなく選択の改善も含めて組織で建設的に動くことができます. ゆえに, 組織の意思決定をするには論理的思考がとても重要となります.
しかし日本では, そもそも論理的思考以前に, 何かについて「考える」というトレーニングを受けてきた人は世の中的にもとても少ないのが現状です. 特に企業経営での意思決定では正解は必ずしも存在せず, そのような問題を「考える」ことのハードルは殊更高くなります.
そこで本講義では「考える」ことと「論理的思考」のトレーニングとして Python というプログラミング言語によるプログラミングを扱います. プログラミングは複雑な計算・処理をコンピュータに実行させるために, その計算・処理をコンピュータが実行できるぐらい単純なものに分解し, 順序立てながらどのような計算・処理をどのような条件が成立するときに実行するのか制御条件等を明示しながら指示します. このような作業をするためには自分が実行させたい計算・処理をどう分割すれば良いのか, どのような順番でどのような条件が成立するときに計算・処理をさせれば良いのかを順序立てて考えていく必要があり, まさに「考える」ことや「論理的思考」のトレーニングとなります. さらに Python によるプログラミングを学ぶことで, 例えば「エビデンスベースドマネジメント応用」で扱うようなデータ分析をすることも可能になっていきます. 実はこのデータ分析も組織の行動を決めるのには便利な道具です. と言うのも, 正しくデータ分析をした結果は選択の根拠にすることができ, また, その結果を提示すると関係者の理解を得られやすいからです.
具体的には, Google Colaboratory というサービスを利用して Python によるプログラミングの基礎を学びます. ただし, 講義の内容は状況によって適宜修正します. また, この科目は講義後に自ら理解する機会を設けることが非常に重要となります. 復習は絶対に行って下さい.
なお, 本講義はオンデマンド型オンライン講義として実施します. 「インターネットへの接続環境」と「インターネットにアクセス可能なPC」を各自で準備して下さい. また, 各回の講義動画や講義資料のURLは CoursePower を通してお知らせします. (基本的にはPCを利用した受講を前提にしています. タブレットなどそれ以外の環境で受講する場合には不具合等発生する可能性もありますが, それは自分で対応して下さい. )
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達成目標/Course objectives
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Python によるプログラミングをある程度容易に扱えるようになること. 目の前の問題に対し, 論理的に分割しながら解決策を考えられるようになること.
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学部・研究科のディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)に基づき、当該科目を履修することで身につく能力 / Abilities to be acquired by completing the course in accordance with the faculty and graduate school diploma policy (graduation certification and degree conferral)
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学部・研究科のディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)/ Undergraduate and Graduate Diploma Policy (Graduation Certification and Degree Conferral)
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履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
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自宅にインターネットへの接続環境とインターネットに接続可能なPCを準備すること. 毎回の講義の後で必ず復習してください. また、本講義は2020年度以降経営学部経営学科生のみ受講可能な科目です.
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授業計画/Lecture plan
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1
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授業計画/Class |
オリエンテーション(授業で扱う内容・授業の進め方・成績評価方法などについての説明, 予備知識の確認, Google アカウントの作成) |
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2
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授業計画/Class |
プログラミング入門(if-else 文による条件分岐) |
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3
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授業計画/Class |
プログラミング入門演習(if-else 文による条件分岐を利用したプログラミング問題の解決) |
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4
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授業計画/Class |
関数(複数のコードをまとめる "関数" の定義や使い方について) |
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5
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授業計画/Class |
関数演習(関数を利用したプログラミング問題の解決) |
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6
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授業計画/Class |
コンテナ1(複数の値を格納できるコンテナの基本とリスト) |
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7
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授業計画/Class |
コンテナ2(タプルや辞書というコンテナの使い方) |
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8
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授業計画/Class |
文字列操作(文字の置換や分割, 複製, 文字列フォーマットなどの Python での文字列の扱い方) |
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9
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授業計画/Class |
ループ(for 文や while 文など, 特定条件下で同じような演算を繰り返すループの使い方) |
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10
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授業計画/Class |
ループ演習・中間レポート出題(ループを利用したプログラミング問題の解決) |
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11
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12
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授業計画/Class |
モジュール(複数の関数やメソッドをまとめたモジュールの使い方と, モジュールを使ったプログラミング問題の解決) |
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授業計画/Class |
復習2・講義のまとめ・期末レポート出題 |
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事前学習/Preparation |
前回講義の内容を前提に講義を進めていきますので, 復習をしっかりして下さい. |
事後学習/Reviewing |
毎回の講義で出題される課題に講義内容を復習しながら取り組んでください. |
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授業方法/Method of instruction
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区分/Type of Class |
オンライン授業 / Online
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実施形態/Class Method |
オンデマンド型 / on-demand
補足事項/Supplementary notes本講義は全ての講義回をオンライン講義(オンデマンド型)で実施します. インターネットへの接続環境とインターネットにアクセス可能なPCを各自で準備し, Youtube にアップする講義動画を各自で再生速度などを変更しながら受講してください. また, 講義動画は毎週月曜日の朝9時までに配信を開始する予定です. また講義情報は CoursePower にて共有予定です.
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活用される授業方法/Teaching methods used |
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成績評価方法/Evaluation
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1 |
レポート Report
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77%
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講義内容を理解しているかについてプログラムを作成する問題を出題し, 中間レポート40%・期末レポート60%の割合で100点満点で評価し, 60点を超えた場合にはその点数を最終評価にします. 一方, 中間・期末レポートの点数が60点に届かなかった場合には平常点を30点換算で加点し, 60点以上になれば60点, それ未満ならばその点数を最終評価にします. (※つまり, レポートの評価の割合は最大100%, 最低77%=(100)/(100+30) です. )
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2 |
平常点 In-class Points
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23%
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講義への参加度や講義で出題される課題等によって評価. 中間・期末レポートでうまくできなかった人の救済を目的に最大30%利用します. ※ min{60, 中間・期末点数 + 平常点換算点数}
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課題(試験やレポート等)に対するフィードバックの方法/Feedback methods for assignments (exams, reports, etc.)
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毎週講義の最初に前回講義で受け取った質問への回答を行います. また, 毎週出題する課題については正解例を次回講義で説明します. ですので, 毎回の課題を必ずしも完璧にできる必要はありませんが, 次の回での課題の解説を聞きながら理解できなかったトピックを振り返り, 理解できるようになって下さい.
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教科書/Textbooks
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| 著者名 Author | タイトル Title | 出版社 Publisher | ISBN |
1 |
コーリー・アルソフ
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独学プログラマー Python言語の基本から仕事のやり方まで
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日経BP
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9784822292270
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メッセージ/Message
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本講義は, 完全オンデマンド形式による講義となり, 学生と教員のコミュニケーションの機会が限定されます. また, 毎週の課題も決して簡単ではなく, 学習を継続することは決して簡単ではありません. ただ, その中でも毎年7割の学生が頑張って最後まで学習し, そのうちの4割の学生がきちんとプログラミングの基本をマスターしてAAの評価を獲得しています. さらに一部の学生はこの講義をきっかけにプログラミングにハマり, 自分で勉強を開始してしまうほどです. つまり, この講義は頑張れば頑張るほど(※ 人によって必要な頑張りの量は異なりますが)理解が進み, 楽しくなっていく講義になっており, これからもそれを目指していくつもりです. ですので, 真剣に「考える」ことや「プログラミング」を学びたい人を歓迎します.
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キーワード/Keywords
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データサイエンス
プログラミング
Python
論理的思考
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