講義内容詳細:経営演習Ⅰ(1)/経営演習Ⅱ(1)

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年度/Academic Year 2024
授業科目名/Course Title (Japanese) 経営演習Ⅰ(1)/経営演習Ⅱ(1)
英文科目名/Course Title (English) Seminar on Business Ⅰ(1)/Seminar on Business Ⅱ(1)
学期/Semester 前期 単位/Credits 2/4
教員名/Instructor (Japanese) 服部 圭介
英文氏名/Instructor (English) HATTORI Keisuke

講義概要/Course description
この演習では、
(1) ランダム化比較試験(RCT)と呼ばれる分析手法を身につけ、
(2) その手法を使い受講生が関心のある研究テーマや疑問を解き明かすための「行動実験(Experiment)」を設計・実施し、
(3) 得られた結果を統計学的な手法で整理・解釈し、
(4)それを「研究プレゼンテーション」という形で効果的にOUTPUTする
という全行程を、演習メンバーみんなで学び・習得することを目的とします。

ランダム化比較試験(RCT)は、20世紀に主に医学の世界で用いられ始めた「因果関係」を明らかにするための方法で、現在では心理学や経済学・経営学だけでなくビジネスの世界でも広く用いられるようになりました。2019年のノーベル経済学賞が、RCTを用いて途上国の貧困削減に挑戦した学者たちに与えられたことも、RCTの重要性を示していると言えます。この演習では、上記の(1)~(4)のプロセスだけでなく、世界にある様々なRCTを用いた面白い研究を、演習メンバーで共有するような活動も行います。

3年生の前期の演習では、グループ研究を行います。3~4人のグループで、RCTを使った行動実験を計画し、上記の(2)〜(4)のプロセスを経験します。研究成果は他大学との合同ゼミや発表会などで報告できるようにします。(2021年度には、専修大学との合同ゼミを開催したり、外部の先生をゼミにお招きし発表にコメントをしていただく機会がありました。)

4年生の前期の演習では、3年生のグループ研究の指導・補助的役割を担ってもらうと同時に、3年次に行った研究のブラッシュアップをしながら、さまざまな研究発表の機会でそれを報告する機会を持ちます。


ゼミの研究については、服部ゼミのwebsiteをご覧ください。
達成目標/Course objectives
(1) ランダム化比較試験や様々な行動実験の仕組みを理解できること。
(2) 演習メンバー自らで出した研究のアイディアに基づいて、実際に被験者を集めた「実験」を計画・実施できること。
(3) 実験から得られたデータを「統計学的な手法」に基づいて評価・分析できること。
(4) 研究結果を、効果的なプレゼンテーションによってoutputできること。
このような能力を身に付けることで、有能なビジネスパーソンとして活躍することができる人材育成を目指します。
学部・研究科のディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)に基づき、当該科目を履修することで身につく能力 / Abilities to be acquired by completing the course in accordance with the faculty and graduate school diploma policy (graduation certification and degree conferral)
学部・研究科のディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)/ Undergraduate and Graduate Diploma Policy (Graduation Certification and Degree Conferral)
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
特定の科目の履修条件はありませんが、基礎的な統計学の知識があると、よりスムーズに研究が進められると思います。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class ■オリエンテーション(対面で実施)
最初に簡単なガイダンスを行ったあと、アイスブレーキングとして自己紹介をからめたゲームを行います。その後、チーム分けをして、チームワークを高めるアクティビティを行います。
2
授業計画/Class ■RCT講習・実習 I
担当教員が、RCT(ランダム化比較試験)の意義や方法、またはそれを使った様々な研究についてレクチャーします。その後、チームにて「与えられたリサーチクエスチョン」に対してどのようなRCTを行えばよいかに関してのグループワークをします。
3
授業計画/Class ■RCT講習・実習 II
担当教員が、様々なRCTを用いた研究の紹介をします。多くの研究に触れることで、自らのリサーチアイディアを出す練習をします。その後、グループでいくつかのリサーチアイディアを出すワークを行います。
4
授業計画/Class ■プレゼンテーション:研究紹介プレゼンテーション
各自が、世の中にある様々なRCTを使った研究のなかで一つ、好きなものを取り上げ、それを研究報告というスタイルでプレゼンテーションします。たくさんの既存研究に触れることでRCTの実施に関するノウハウや、結果の提示方法や統計処理などについての課題を浮き彫りにします。
5
授業計画/Class ■プレゼンテーション:研究紹介プレゼンテーション
各自が、世の中にある様々なRCTを使った研究のなかで一つ、好きなものを取り上げ、それを研究報告というスタイルでプレゼンテーションします。たくさんの既存研究に触れることでRCTの実施に関するノウハウや、結果の提示方法や統計処理などについての課題を浮き彫りにします。
6
授業計画/Class ■リサーチ・アイディアコンペ
各グループで複数のリサーチアイディアを元にしたプラン(リサーチクエスチョン・仮説・検証方法など)を出し合い、それらを発表します。また、グループで競い合い、順位をつけます。
7
授業計画/Class ■実験設計の実習
講師が実験を設計する際の手順や、調査票項目の設定などについてレクチャーします。その後、各グループで前回発表したリサーチアイディアに沿った行動実験・アンケート調査などを設計します。
8
授業計画/Class ■先行研究・既存研究・関連データ探し講習・実習
ここでは、先行研究や既存研究、関連データの探し方に関するレクチャーを行います。自分たちのリサーチクエスチョンが、広大な研究分野の中の、どの点で「新しい」のか、どのような貢献ができるのか、先行研究でどこまで明らかになっているのか、などを調べることは、学術研究では必須の作業となります。実習では、実際にGoogle Scholar や CiNIIなどのサイトを使って、自分たちの研究テーマに関連する研究を探します。
9
授業計画/Class ■研究計画プレゼンテーション
研究計画のプレゼンテーションを行います。担当講師から実験開始が承認されたグループから、実際に被験者を集めた実験を行います。
10
授業計画/Class ■データ分析・プレゼンテーション資料作成の講習・実習
担当教員が、実験で得られたデータの分析方法やプレゼンテーション資料作成についてのレクチャーをします。具体的には、データの様々な代表値の性質、統計的手法(t検定, カイ二乗検定, ANOVAなど), さらにはデータビジュアライゼーションの手法(様々なグラフ, エラーバーなど)を学びます。その後、実習では実際に、自分たちの実験データに対して学習した知識を活かして分析・資料作成を行います。
11
授業計画/Class ■予備日
これまでの演習の予備日として設定します。研究が予定どおりに進んでいれば、グループ研究を進める時間や、ゼミ生が主体となったイベントなどを行います。
12
授業計画/Class ■研究成果報告 I
1回目の研究成果報告会です。各グループ研究の成果を15分程度のプレゼンテーション(+15分程度の質疑応答)で発表します。可能であればゲストを招いてコメントやサジェスチョンをもらいます。
13
授業計画/Class ■グループワーク:最終調整
次回の最終報告会にむけてのグループワークを行います。研究はアイディアが良くとも、面白い結果が得られようとも、それを発表する方法(プレゼンテーション・論文)のクオリティが低いと誰にも関心を持ってもらえません。ここでは、自分たちの研究をブラッシュアップさせる作業を徹底的に行います。
14
授業計画/Class ■最終研究報告 I
グループ研究の最終報告会です。みなさんにとっておそらく(小学生時代の『夏休みの自由研究』以来の)初めての「オリジナルな研究」の成果になります。研究報告を動画にて記録し、みなさんの保護者の方々や来年のゼミ生などに見てもらえるようなクオリティを目指します。
15
授業計画/Class ■最終研究報告 II
グループ研究の最終報告会です。みなさんにとっておそらく(小学生時代の『夏休みの自由研究』以来の)初めての「オリジナルな研究」の成果になります。研究報告を動画にて記録し、みなさんの保護者の方々や来年のゼミ生などに見てもらえるようなクオリティを目指します。
 
事前学習/Preparation グループワークにかんしては、各グループでゼミの時間外に、オンラインやオフラインで打ち合わせをする必要があることがあります。
事後学習/Reviewing グループワークにかんしては、各グループでゼミの時間外に、オンラインやオフラインで打ち合わせをする必要があることがあります。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
補足事項/Supplementary notes本演習は全て対面形式で実施します。
ただし新型コロナウィルス感染拡大などにより大学本部からの対面自粛要請があった場合には、Zoomを用いたオンライン演習に移行する可能性があります。


演習は主に学生さんが主体となって、プレゼンテーションやグループアクティビティを中心に進めます。講習の回には、今年度は担当教員によるレクチャーがありますが、次年度以降は4年生ゼミ生がレクチャーする形式をとる予定です。
演習は座学の講義と違って「どんな些細なことでも積極的に発言する」ことが求められます。むしろ「一見関係ない意見」にこそ、研究を進めたりチームワークを高めたりする力が秘められているものだと思います。
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 平常点 In-class Points 60% 研究紹介プレゼンテーションの評価が 30%
その他、グループ研究への貢献度、ゼミ運営への貢献度、ゼミ内での発言を30%評価します。
2 その他 Others 40% グループ研究の成果を 40% 評価します。
参考書/Reference books
 著者名
Author
タイトル
Title
出版社
Publisher
出版年
Published year
ISBN価格
Price
 
1 越智 啓太 恋愛の科学:出会いと別れをめぐる心理学 実務教育出版 2015 4788914859 1540
2 伊藤 公一朗 データ分析の力:因果関係に迫る思考法 光文社新書 2017 4334039863 858
3 経済協力開発機構 (OECD) (著, 編集), 齋藤 長行 (監修), 濱田 久美子 (翻訳) 世界の行動インサイト:公共ナッジが導く政策実践 明石書店 2018 4750346969 7480
授業関連情報/Class-related information
 件名/Title内容/Contents備考/Memo
1 服部ゼミのwebsite https://note.com/hattorizemi ゼミを希望されるかたは、必ずご覧ください。
メッセージ/Message
このゼミでは、日々のニュースで目にするような経営・経済学にかんするトピックや、その他学生が自主的に選んだ題材(漫画や映画、競馬やスポーツ、恋愛など、どのようなテーマでも構いません)に関する行動実験などを設計し、分析するという作業を行います。また、研究を「発表する」機会をできるだけ多く設けます。小・中・高・大学と皆さんは「勉強」という名の 知識の”input”を長らくしてきたと思います。このゼミでは”input”よりも”output”、つまり今まで学んだ知識や思考を他者との関係の中で「いかに活かすか」を重点にします。熱意ある方には多くのoutputの機会を提供し、とことん指導します。

過去に(他大学での担当教員のゼミで)扱ったテーマは、経済学と心理学が融合したような分野である行動経済学に関する実験を行ったり、アンケートを通じて人の行動様式や好みに関する研究を行ったりと、多岐にわたります.しかし「なんでもあり」というわけではなく「学生さんの好きなテーマを、しっかりとしたアカデミックなやり方で取り組む」という統一的なテーマを設けていますし、それができるような指導を行います.

参考までに、これまで私のゼミで学生さんたちが行った研究テーマを列挙しておきます(どれも素晴らしい学術的な研究です)
・AIによるおすすめと口コミはどちらが効果があるのか?(2023)
・鏡を見るとモチベーションがあがるのか?(2023)
・笑顔は人の自己開示を促すのか?(2022)
・散らかったものを見るとクリエイティブになる(2022)
などなど、もっと刺激的な研究テーマを、みなさんが考えてくれるのを楽しみにしています。

また、研究成果はゼミのweb pageで公開し、また他大学との合同ゼミなどで発表する機会を設けます。
キーワード/Keywords
ランダム化比較試験     行動実験     行動経済学     マーケティング心理学