講義内容詳細:言語科学概論Ⅱ

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年度/Academic Year 2025
授業科目名/Course Title (Japanese) 言語科学概論Ⅱ
英文科目名/Course Title (English) Introduction to Linguistic Sciences Ⅱ
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 井川 肇
英文氏名/Instructor (English) IKAWA Hajime

講義概要/Course description
 「言語・ことば」には多くの疑問がついて回ります。その中で最も大きなものが、子供はどうやって言語を獲得するのかという疑問です。子供は、みんな小学校低学年の段階で、我々大人が何年かかっても完璧に学べない言語を、何語でも母語として皆一様に獲得してしまいます。これがいわゆる「学習」の結果ではないということは、獲得した母語に関しては、子供の間に得手、不得手の差がないことからも見て取れます。我々が子供の頃に「学習」した水泳や、自転車などを思い起こして下さい。必ずうまい子、へたな子がいました。我々も昔は子供でしたが、母語である日本語を一生懸命「お勉強」をして獲得した覚えがありますか。ないですよね。このような事実は、子供は人間の話す言語についての基本的な知識を、脳に持って生まれてくるということ、そして我々が話す言語は基本的には似ているということを強く示唆しています。そして、子供が持って生まれて来るとされる言語の知識というのが非常にきっちりとした規則のシステムであることが明らかになって来ました。例えば、「太郎は花子を自分の部屋で叱った」という文では、「自分」は主語の「太郎」は指せますが、目的語の「花子」は指せません。言語とは、このような規則性の集合体なのです。言語科学概論IIでは、言語の単語(Morphology)、文構成(Syntax)にはどのような規則性が存在するのか、その規則性は、どのような分析をすれば捉えられるのか、そしてその規則性がどのように子供の言語獲得に反映されているのかを概観します。まず、日英語(場合によっては、他言語)の単語(例えば、「蜜蜂」は蜂で「蜂蜜」は蜜のことだとどう区別しているか)、そして文の構成(例えば、上で見た「自分」が指せるものの制限)に見られる規則性の検討をします。実際に、与えられた言語のデータから規則性を導き出す作業を行いつつ、両言語がどれだけ共通の原理に支配されているかを見てみようと思います。その後、近年盛んに研究がされるようになって来た「言語はどのように発生し、進化して来たか」という問題、そしてそこから派生的に出て来る「言語はそもそもコミュニケーションの道具として我々に備わっているのか」という問題を、動物のコミュニケーションの手段などとの比較をしつつ考えてみようと思います。
達成目標/Course objectives
 言語の分析においての形態論(Morphology)、統語論(Syntax)の分析方法の基礎を理解し、その運用ができるようにする。
学部・研究科のディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)に基づき、当該科目を履修することで身につく能力 / Abilities to be acquired by completing the course in accordance with the faculty and graduate school diploma policy (graduation certification and degree conferral)
学部・研究科のディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)/ Undergraduate and Graduate Diploma Policy (Graduation Certification and Degree Conferral)
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
少なくとも、言語に興味を持っていること。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class オリエンテーション:オンライン(オンデマンド)で行います。詳しくは、担当教員の指示に従って下さい。
事前学習/Preparation 講義内容の精読
事後学習/Reviewing プリントの復習
2
授業計画/Class 言語とは何か(1)
事前学習/Preparation 前回のプリントおよびエクササイズの復習
事後学習/Reviewing 授業で配布されたプリントおよびエクササイズの復習
3
授業計画/Class 言語とは何か(2)
事前学習/Preparation 前回のプリントおよびエクササイズの復習
事後学習/Reviewing 授業で配布されたプリントおよびエクササイズの復習
4
授業計画/Class 単語の構造 (Morphology) (1)
事前学習/Preparation 前回のプリントおよびエクササイズの復習
事後学習/Reviewing 授業で配布されたプリントおよびエクササイズの復習
5
授業計画/Class 単語の構造 (Morphology)(2)
事前学習/Preparation 前回のプリントおよびエクササイズの復習
事後学習/Reviewing 授業で配布されたプリントおよびエクササイズの復習
6
授業計画/Class 単語の構造 (Morphology)(3)
事前学習/Preparation 前回のプリントおよびエクササイズの復習
事後学習/Reviewing 授業で配布されたプリントおよびエクササイズの復習
7
授業計画/Class 単語の構造 (Morphology)(4)
事前学習/Preparation 前回のプリントおよびエクササイズの復習
事後学習/Reviewing 授業で配布されたプリントおよびエクササイズの復習
8
授業計画/Class 文の構造 (Syntax)(1)
事前学習/Preparation 前回のプリントおよびエクササイズの復習
事後学習/Reviewing 授業で配布されたプリントおよびエクササイズの復習
9
授業計画/Class 文の構造 (Syntax)(2)
事前学習/Preparation 前回のプリントおよびエクササイズの復習
事後学習/Reviewing 授業で配布されたプリントおよびエクササイズの復習
10
授業計画/Class 文の構造 (Syntax)(3)
事前学習/Preparation 前回のプリントおよびエクササイズの復習
事後学習/Reviewing 授業で配布されたプリントおよびエクササイズの復習
11
授業計画/Class 文の構造 (Syntax)(4)
事前学習/Preparation 前回のプリントおよびエクササイズの復習
事後学習/Reviewing 授業で配布されたプリントおよびエクササイズの復習
12
授業計画/Class 文の構造 (Syntax)(5)
事前学習/Preparation 前回のプリントおよびエクササイズの復習
事後学習/Reviewing 授業で配布されたプリントおよびエクササイズの復習
13
授業計画/Class 子供の言語獲得 (Children's acquisition of language)
事前学習/Preparation 前回のプリントおよびエクササイズの復習
事後学習/Reviewing 授業で配布されたプリントおよびエクササイズの復習
14
授業計画/Class 言語の発生と進化 (Emergence and evolution of language)
事前学習/Preparation 前回のプリントおよびエクササイズの復習
事後学習/Reviewing 授業で配布されたプリントおよびエクササイズの復習
15
授業計画/Class これまで見て来たことに基づいて、もう一度「言語とは何か」を考える (Considering language again based on what we have seen)
事前学習/Preparation これまでの授業内容のレビュー
事後学習/Reviewing 期末試験の準備
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
補足事項/Supplementary notes 対面授業を基本として行います。

 単語の構造、文の構造についての基本的な分析を毎週の授業で導入して行きます。それまでの授業で学んだことを基礎として、毎回新しいことを導入します。毎回の授業の最後には、その授業で学んだことが理解できているかどうかをチェックするため、エクササイズをしてもらいます。 
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 試験 Exam 65%
2 平常点 In-class Points 35% 毎回の授業でのエクササイズの合計点を35点満点に換算します。
教科書/Textbooks
 コメント
Comments
1 なし。プリントを使います。
その他/Others
履修登録条件:
少なくとも、言語に興味を持っていること。