講義内容詳細:職業倫理

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年度/Academic Year 2024
授業科目名/Course Title (Japanese) 職業倫理
英文科目名/Course Title (English) Professional Ethics
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 蟹江 章/町田 祥弘
英文氏名/Instructor (English) KANIE Akira/MACHIDA Yoshihiro

講義概要/Course description
本講義は、「倫理教育の徹底」と「国際人の養成」を2本の柱とした「健全な会計マインドを備えたプロフェッション」の要請を目的とする本研究科にあって、入学後最初の学期で履修することが期待されている。本講義は、監査系列に属しているものの、本講義の内容は、本研究科における他の科目を学ぶ上での必要不可欠な基礎を形成している。
本講義では、職業倫理の基礎概念、職業倫理と財務諸表監査との関係、職業倫理に関する公的規制及び自主規制、会計プロフェッションにおける職業倫理の実践等を取り上げる。また、本講義では、将来、会計プロフェッションとして活躍するために、グローバルな文脈においても整合的な視点から、会計プロフェッションが直面する様々な問題を自ら考える機会を提供する。
達成目標/Course objectives
職業倫理の理論的な枠組み、並びに、職業倫理の公的規制及び自主規制による制度的枠組みを理解するとともに、職業倫理に関する事例の理解を図り、様々な実務上の課題について自ら考える力を養成することが、本講義の到達目標である。
さらには、本講義を通じて身に着けた知識や考え方を基に、それぞれの受講者が、自ら倫理観の醸成を継続し、信頼と尊敬を受けるに値する会計プロフェッションとなることが最終的な達成目標である。
学部・研究科のディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)に基づき、当該科目を履修することで身につく能力 / Abilities to be acquired by completing the course in accordance with the faculty and graduate school diploma policy (graduation certification and degree conferral)
学部・研究科のディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)/ Undergraduate and Graduate Diploma Policy (Graduation Certification and Degree Conferral)
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
本講義は、会計プロフェッション研究科の基幹科目であり、会計プロフェッションとなるための知識を学ぶ前提であることから、入学最初の学期で履修する必要がある。このため、事前に履修すべき科目は指定していないが、日常の生活や仕事や学習の過程で、職業倫理に関連すると思われるような事実や事象に直面した際には、何が倫理観に基づく「解」であるかを自分自身で考えることが重要である。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class ガイダンス/職業倫理の意義/会計プロフェッションの種類[監査人、税理士、PAIB]と職業倫理
本講義のガイダンスを行う。とくに、反転授業の形式で実施する講義の形式とその目的について説明する。
併せて、本講義の導入として、会計プロフェッションとなるには職業倫理を学ぶことが必要であること、監査人、税理士、企業内会計士(PAIB)等のそれぞれにとっての職業倫理について理解を図る。
事前学習/Preparation シラバスを読んでおく。
事後学習/Reviewing 講義内容を踏まえ、職業倫理の必要性について確認しておく。
2
授業計画/Class 職業倫理の基礎概念(1)
規範倫理学の考え方の歴史的展開を概観するとともに、倫理とはいかなるものであるかについての理解を図る。
事前学習/Preparation 予習用ビデオを観て、課題レポート①を作成する。
事後学習/Reviewing 講義内容を踏まえて、課題について再度検討する。
3
授業計画/Class 職業倫理の基礎概念(2)
規範倫理学の考え方について、ビジネス社会における倫理への援用や、会計プロフェッションにおける自主規制としての職業倫理の考え方について検討する。
事前学習/Preparation 予習用ビデオを観て、課題レポート②を作成する。
事後学習/Reviewing 講義内容を踏まえて、課題について再度検討する。
4
授業計画/Class 資本市場における職業倫理(1) 経営者[株式会社、ディスクロージャー制度、ガバナンス・コード]
資本市場に参加する各当事者の職業倫理に関して、経営者を取り上げ、株式会社及び資本市場を利用した現代のビジネスの利点と問題点、ならびに、株式会社システムを支えるディスクロージャー制度やガバナンス・コードによる規制の問題から、企業経営におけるビジネス倫理の問題を検討する。併せて、財務諸表の作成・開示、その他のディスクロージャー等にかかる経営者の責任について検討する
事前学習/Preparation 予習用ビデオを観て、課題レポート③を作成する。
事後学習/Reviewing 講義内容を踏まえて、課題について再度検討する。
5
授業計画/Class 資本市場における職業倫理(2) 利用者[株主、投資家、アナリスト、格付け機関、証券取引所、スチュワードシップ・コード]
資本市場に参加する各当事者の職業倫理に関して、利用者である株主・投資家、情報媒介者であるアナリストや格付け機関等、資本市場の自主規制機関としての証券取引所等を取り上げ、フェア・ディスクロージャーやインサイダー取引等の問題を含む、利用者にとっての倫理の問題について検討する。
事前学習/Preparation 予習用ビデオを観て、課題レポート④を作成する。
事後学習/Reviewing 講義内容を踏まえて、課題について再度検討する。
6
授業計画/Class 職業倫理に関する公的規制及び自主規制[自主規制の意義、公認会計士法、税理士法、会社法、金商法、倫理規則等]
職業倫理に関する公的規制と自主規制の関係について検討するとともに、自主規制としての職業倫理の意義を検討する。また、国際的な職業倫理規制の枠組みと、わが国における法制度(公認会計士法、税理士法、会社法、金商法等)及び倫理規則等(公認会計士協会の倫理規則、税理士会等における倫理規定)、及びそれらの法規等が関連する諸機関の活動状況を取り上げ、規制の対象、規制等の構造、及び適用方法等を理解する。
事前学習/Preparation 予習用ビデオを観て、課題レポート⑤を作成する。
事後学習/Reviewing 講義内容を踏まえて、課題について再度検討する。
7
授業計画/Class 事例(1) 海外
海外における非違事例を取り上げ、それらにおける職業倫理の問題、及びそれらの事例がその後の制度等にいかなる影響を及ぼしたのかについての理解を図る。
事前学習/Preparation 予習用ビデオを観て、課題レポート⑥を作成する。
事後学習/Reviewing 講義内容を踏まえて、課題について再度検討する。
8
授業計画/Class 事例(2) 国内
わが国における非違事例を取り上げ、それらにおける職業倫理の問題、及びそれらの事例がその後の制度等にいかなる影響を及ぼしたのかについての理解を図る。
事前学習/Preparation 予習用ビデオを観て、課題レポート⑦を作成する。
事後学習/Reviewing 講義内容を踏まえて、課題について再度検討する
9
授業計画/Class 公認会計士の職業倫理(1) 職業倫理規範の体系 
公認会計士に係る職業倫理の規範体系を概説し、倫理に関する公認会計士法、日本公認会計士協会会則、ならびに倫理規則に定める基本原則及び概念的枠組みアプローチについて検討する。その際、企業等所属の場合と監査事務所所属の場合の違い、監査証明業務に従事する場合とそれ以外の業務に従事する場合の違いに留意する。
事前学習/Preparation 予習用ビデオを観て、課題について検討し、自らの考えを纏めておく。
事後学習/Reviewing 授業内容を復習し、自らの理解度を確認する。
10
授業計画/Class 公認会計士の職業倫理(2) 独立性 
会計事務所所属の公認会計士にとって中心的な課題である「独立性」について、公認会計士法,日本公認会計士協会の倫理規則などに基づき、保証業務及びそれ以外の業務の視点から検討する。
事前学習/Preparation 予習用ビデオを観て、課題について検討し、自らの考えを纏めておく。
事後学習/Reviewing 授業内容を復習し、自らの理解度を確認する。
11
授業計画/Class 公認会計士の職業倫理(3) 守秘義務、違法行為への対応及び責任
会計事務所所属の公認会計士にとって、独立性とともにもう一つの重要な課題である守秘義務に関する法令及び倫理規則、ならびに情報管理のあり方について検討するともに、会計事務所所属の公認会計士による違法行為への対応などについて検討する。また、公認会計士及び監査法人の責任と処分について把握する。
事前学習/Preparation 予習用ビデオを観て、課題について検討し、自らの考えを纏めておく。
事後学習/Reviewing 授業内容を復習し、自らの理解度を確認する。
12
授業計画/Class 企業等に所属する公認会計士の倫理問題
企業等に所属する公認会計士(PAIB)について、日本公認会計士協会の組織内会計士協議会の活動について紹介するとともに、PAIBに関して守秘義務、利益相反及び違法行為への対応などの倫理問題について検討する。また、企業等に所属する税理士の業務や役割などについても検討する。
事前学習/Preparation 予習用ビデオを観て、課題について検討し、自らの考えを纏めておく。
事後学習/Reviewing 授業内容を復習し、自らの理解度を確認する。
13
授業計画/Class 税理士の職業倫理
税理士資格の取得と登録、税理士の使命、義務ならびに責任について検討し、税理士にとっての職業倫理のあり方について理解する。
事前学習/Preparation 予習用のビデオを観て、課題について検討し、自らの考えを纏めておく。
事後学習/Reviewing 授業内容を復習し、自らの理解度を確認する。
14
授業計画/Class グループ・ディスカッション(1)税理士の倫理問題
税理士業務における倫理問題に関する事例を題材としてグループディスカッションを行い、税理士に課せられた課題や税理士としてあり得るべき職業専門家としての倫理について検討する。
事前学習/Preparation これまでの授業内容を踏まえて、税理士業務において求められる職業倫理とは何か、自らの考えを纏めておく。
事後学習/Reviewing ディスカッションの内容を復習し、自らの理解度を確認する。
15
授業計画/Class グループ・ディスカッション(2)公認会計士の倫理問題
公認会計士業務における倫理問題に関する事例を題材としてグループディスカッションを行い、公認会計士に課せられた課題や公認会計士としてあり得るべき職業専門家としての倫理について検討する。
事前学習/Preparation これまでの授業内容を踏まえて、公認会計士の業務において求められる職業倫理とは何か、自らの考えを纏めておく。
事後学習/Reviewing ディスカッションの内容を復習し、自らの理解度を確認する。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
補足事項/Supplementary notes第2回以降は、反転講義で進める。反転講義とは、事前にビデオをオンデマンドで提供し、それを視聴した上で、実際の講義時には、質疑応答やディスカッションを行う講義形式である。
前半(2回~8回)は、事前視聴のビデオを観て、提示される課題に対してレポートを作成してもらう。実際の講義では、自らがレポートとして作成した解答について発言を求め、ディスカッションを行うとともに、課題に対する考え方を学習する。
後半(9回~15回)のうち、9回から13回は、事前視聴のビデオで講義内容を学習し、実際の講義時に質疑応答を行う。また14回及び15回は、講義時に提示した課題について、グループディスカッションを行う。
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 レポート Report 45% 講義時に提出を求めるレポート
2 試験 Exam 45% 期末テスト
3 平常点 In-class Points 10% 講義への参加状況等
課題(試験やレポート等)に対するフィードバックの方法/Feedback methods for assignments (exams, reports, etc.)
第8回までの課題レポートについては,点数を告知する。また,授業の中で出題の意図や考え方などを説明する。
試験については,希望者に対して個別面談を行う。
教科書/Textbooks
 著者名
Author
タイトル
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出版社
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出版年
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価格
Price
1 蟹江章、小松義明、清水涼子、林隆敏、町田祥弘 職業倫理標準テキスト 同文舘出版 2023年 3,200円+税
参考書/Reference books
 著者名
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タイトル
Title
出版社
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出版年
Published year
 
1 マーク・チェファーズ/マイケル・パカラック 『会計倫理の基礎と実践』 同文舘出版 2011年
2 梅津光弘 『ビジネスの倫理学』 丸善出版 2002年
メッセージ/Message
職業倫理は、会計プロフェッション研究科の基幹科目であり、会計プロフェッションとなるための知識を学ぶ前提であることから、入学最初の学期で履修する必要がある。
その他/Others
単位取得には、少なくとも、講義回数の3分の2以上の出席が必要になります。
キーワード/Keywords
職業倫理     倫理的ジレンマ     倫理規則     倫理ケース