講義内容詳細:科学史

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年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) 科学史
英文科目名/Course Title (English) History of Science
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 千葉 淳一
英文氏名/Instructor (English) CHIBA Junichi

講義概要/Course description
「科学」は現代社会を支え、我々の生活を豊かにすると同時に、我々を支配しつつあります。行政は「科学」を根拠にして政策を決定し、「非科学的である」として住民の請求を棄却します。特に文科系の皆さんは数字で納得させられ(騙され?)ます。これほど大きな力を持つようになった「科学」とは一体何なのでしょうか?なぜ「科学」は大きな力を持つようになってしまったのでしょうか?

実は「科学とは・・・」というように「科学」という言葉を定義しようとすると、大変な困難が伴います。例えば「実験や観察などで経験的に論証できる知識である」あるいは「たったひとつの証拠によって反証できるものである」とすると、現在「科学」として研究されている活動のほとんどすべてが科学ではなくなってしまうのです。そもそも心理学、歴史学、社会学、経営学、さらにはマイナスイオン、UFO、X-File・・・一体どこまでが科学でどこからが科学ではないのでしょうか?

「科学」というものの性質をとらえるには、我々が一般的に「科学」と呼んでいる活動の歴史を学んで、科学というのがどういう営みであるのかを歴史的に理解するのが有効です。本講義は、科学史を学んで「科学」の性質や特徴を把握した上で、「科学」がどのように現代社会で利用されているのか、という事例を学び、あなたが考える「正義」のために「科学」を利用できる政策決定者、あるいは市民になっていただくことを目標とします。

達成目標/Course objectives
テーマ:科学とは何か?
科学と呼ばれる営みの歴史
科学と社会の関係の歴史

到達目標
1:科学という営みの性質を知り、科学政策に関するオピニオンを持つ。
2:科学が社会からどのような影響を受け、また社会にどのような影響を与えるのかを知り、自分と科学とのかかわり方について考える力を身につける。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 講義のねらいの説明→イントロダクション―なぜ科学史を学ぶのか?【オンライン(オンデマンド型)】
科学的資料が政策決定や判決に用いられる例の紹介。相反する科学的主張のどちらを信じるか?自分の態度の決定に活かすか?そもそも科学とは何か?
2
授業計画/Class 科学史の概観・科学の始まり(エジプト・メソポタミア・中国・インド・ギリシアの科学)
現代の科学の「外見」はどのように整ってきたのか?科学史の流れをさかのぼって概観する。
3
授業計画/Class 自然哲学の始まり(古代ギリシア~ヘレニズム)
タレスに始まる自然哲学が、ピュタゴラス、プラトン、アリストテレスと、どのように変遷していったのか説明する。
4
授業計画/Class 17世紀の科学革命①(コペルニクスからティコ・ブラーエまで)
天動説から地動説への革命はどのように始まったのか?
5
授業計画/Class 17世紀の科学革命②(ケプラー・ガリレイ・ニュートン)
ケプラーはなぜ第三法則を調和の法則と呼んだのか?理系が数学必須になったきっかけは?
6
授業計画/Class 熱と電気の物理学(ニュートン力学の2つの危機)①
世界を制覇したかに見えたニュートン力学に迫る危機。
7
授業計画/Class 光の物理学(ニュートン力学の2つの危機)②
光は波?粒子?光の正体をめぐって19世紀終わりに訪れた物理学の危機。もしかして科学は全部ウソ?
8
授業計画/Class 相対性理論の登場
19世紀末の古典物理学の危機に登場した特殊相対性理論。その基本を説明する。
9
授業計画/Class 近代科学の始まりと科学のアイデンティティの確立作業
科学思想の発展と科学の「形」の進化、政治思想の発展と国家や社会の「形」の進化の関係。
近代国家において科学が果たす役割の拡大と、「制度化された科学」の自我の目覚め。
10
授業計画/Class (予備)科学史7つの事件ファイルから①
11
授業計画/Class (予備)科学史7つの事件ファイルから②
12
授業計画/Class 科学と社会①企業活動・行政と健康被害(水俣病・イタイイタイ病を例として)
科学的知見に基づいて政策決定をする、と言えば聞こえはよいが・・・。真実を慎重に求めるという科学者の姿勢は問題を解決できるのか?
13
授業計画/Class 科学と社会②専門家と行政・住民の認識のずれ(阪神大震災、2000年有珠山噴火を例として)
今そこにある危機を回避するために、科学をどう使う?どう使える?どう使うべき?
14
授業計画/Class 科学と社会③科学と司法(高速増殖炉「もんじゅ」差し止め訴訟を例として)
黒つけられない科学を、白黒つけるために使いたい司法。そして、「便益のためにリスクを引き受ける」という決断は誰がするのか?誰がすべきなのか?
15
授業計画/Class 講義のまとめ
 
事前学習/Preparation 各自足利事件について調べておくことが望ましい。
事後学習/Reviewing 講義内で指示
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 レポート Report 100% 基本的に2回のレポートのみで評価します。
レポートの提出がない方は無条件で不合格とします。

不正引用(コピー&ペースト)には厳正に対処します(即座に不合格とします)。
教科書/Textbooks
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1 特定の教科書は使用しません。
参考書/Reference books
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1 参考図書については講義時に紹介します。
その他/Others
数式や化学式などをほとんど使わない講義です。文科系の方、高校で物理・化学・生物・地学を履修していない方にも配慮いたします。