講義内容詳細:化学基礎実験

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年度/Academic Year 2024
授業科目名/Course Title (Japanese) 化学基礎実験
英文科目名/Course Title (English) Basic Experiments in Chemistry
学期/Semester 後期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 木谷 茂/伊藤 崇/西原 達哉/岡村 英治/越中谷 賢治/和田 清二/池田 修己 /金 旼奭/望月 貴博
英文氏名/Instructor (English) KITANI Shigeru/ITO Takashi/NISHIHARA Tatsuya/OKAMURA Eiji/ETCHUYA Kenji/WADA Seiji/IKEDA Masami/KIM Minseok/MOCHIZUKI Takahiro

講義概要/Course description
この科目は、化学分野における基本的な法則や、実生活や科学技術に関連する化学的知見のいくつかを取り扱う。これらの法則や化学的知見は既に確立されたものであって、ここで新たに発見するという性質のものではない。しかし、得られた観察結果や実験データから、一定の条件のもとに見出される一般的な事実や普遍的な法則を導くということは、理工系の学問すべての根幹である。また、実験における一連の作業(文献調査、おこなった実験操作の記録、得られた結果の記録、データ処理、図表の作成、考察、報告書の作成、など)は、理工系の学問すべてに必須の技能である。
「化学基礎実験」においては、化学に関連した全5テーマの実験を各2週にわたっておこなう。実験には、実験室にておこなう少人数制の「対面実験」と、オンライン教材を通じておこなう「オンライン実験」とがある。どちらの場合も、実験操作について学び、おこなった実験操作を実験ノートに記録し、観察や測定をおこない、その結果を実験ノートに記録し、それをレポートにまとめる。これにより、化学分野における基本的な概念や実験操作について学ぶとともに、理工系の学問すべてに共通する技能の獲得を目指す。
達成目標/Course objectives
毎回の実験を通じて、次の各項目を達成する。
(1) 個々の実験の目的と、それに関連する化学の原理とを理解する。
(2) 実験ノートの役割と必要性とを理解し、実験ノートを使った適切な記録法を習得する。
(3) データ処理の方法や、実験結果をまとめる表やグラフの作成法を習得する。
(4) 実験レポートの基本的な作成法を習得する。
学部・研究科のディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)に基づき、当該科目を履修することで身につく能力 / Abilities to be acquired by completing the course in accordance with the faculty and graduate school diploma policy (graduation certification and degree conferral)
学部・研究科のディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)/ Undergraduate and Graduate Diploma Policy (Graduation Certification and Degree Conferral)
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
特になし
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class 初回ガイダンス:   【対面授業】
(1) 科目の目的: 実験室でおこなう「対面実験」とオンライン教材を通じておこなう「オンライン実験」について
(2) 単位修得の条件、履修上の注意
(3) 受講の実際: 受講の仕方、毎回の授業の流れ、質問の仕方
(4) 実験ノート & レポート: 化学基礎実験における実験ノートの役割、レポートの役割、実験ノートの作成法 & 提出法、レポートの作成法 & 提出法
(5) 実験グループ & 実験スケジュール: 各自の「実験グループ」によってスケジュールが異なる
(6) 連絡ページ: 毎回の実験前に事前レポートの受取状況を確認する
(7) 次回までの宿題
(8) 質疑応答
2
授業計画/Class  * * * 実験グループによって 第2回/第3回 の順序が異なるのでスケジュールを確認すること * * *
安全指導・ノート指導:  【対面授業】
(1) 化学実験を安全に行うために留意すべき点について学ぶ。具体的には、
 ・基本的な注意、化学実験室における注意事項
 ・化学薬品の分類と危険性
 ・化学薬品の取り扱い方
 ・実験廃棄物の処理
 ・事故・災害時の対応  など
(2) 毎回の実験時に記録をとる「実験ノート」について学ぶ。具体的には、
 ・実験ノートの役割
 ・実験ノートに記録すべき内容
 ・実験ノートの書き方  など
3
授業計画/Class  * * * 実験グループによって 第2回/第3回 の順序が異なるのでスケジュールを確認すること * * *
レポート指導: 理工系の実験レポートを作成する上で必須となる事項を学ぶ。  【対面授業】
(1) レポートと実験ノートの違い
(2) レポートの様式
(3) レポートの各項目に記載すべき内容
(4) 図表の作成法 (グラフ、表、観察スケッチ、他)
(5) 数値データの処理法 (有効数字、誤差、他)
(6) 文献調査法 (オンライン図書館の利用法、データベースの利用法、SDSの利用法、他)
4
授業計画/Class  * * * 実験グループによって 第4~13回 の順序が異なるので毎回スケジュールを確認すること * * *
コンピュータ・シミュレーション(1)  【オンライン授業(オンデマンド型)】
気体の状態方程式 : 理想気体のシミュレーションから気体の諸法則を導出し、理想気体という概念を理解する。また、van der Waals モデルに基づく実在気体のシミュレーションから、そのモデルの範囲で現実の気体を記述する方法とその結果について学ぶ。
5
授業計画/Class  * * * 実験グループによって 第4~13回 の順序が異なるので毎回スケジュールを確認すること * * *
コンピュータ・シミュレーション(2)  【対面授業】
結晶構造の作成 : シミュレーション・ソフトウエアを使って様々な結晶構造を描画する際の考え方を学び、その三次元構造を理解する。また、単位格子、ブラベ格子、格子面および格子面の族などの概念を理解する。
6
授業計画/Class  * * * 実験グループによって 第4~13回 の順序が異なるので毎回スケジュールを確認すること * * *
定性分析(1)  【オンライン授業(オンデマンド型)】
Ⅰ族・III族の陽イオンが混在する試料溶液に対して、溶液中に含まれる金属イオンを同定する方法とその結果について学ぶ。
7
授業計画/Class  * * * 実験グループによって 第4~13回 の順序が異なるので毎回スケジュールを確認すること * * *
定性分析(2)  【対面授業】
III族・V族・VI族の陽イオンが混在する試料溶液に対して、溶液中に含まれる金属イオンを同定する方法とその結果について学ぶ。
8
授業計画/Class  * * * 実験グループによって 第4~13回 の順序が異なるので毎回スケジュールを確認すること * * *
色の科学(1)  【対面授業】
金属イオンによる光吸収:金属イオンを含む水溶液に対して、分光光度計を用いてその光吸収を測定する方法とその結果について学ぶ。また、濃度未知の水溶液に対して、溶液中に含まれる金属イオンの濃度を求める比色定量の原理と方法、およびその結果について学ぶ。
9
授業計画/Class  * * * 実験グループによって 第4~13回 の順序が異なるので毎回スケジュールを確認すること * * *
色の科学(2)  【オンライン授業(オンデマンド型)】
セラミックス:様々な金属イオンを含む釉薬を用いて七宝焼を作製する過程とその結果について学ぶ。また、釉薬の成分や焼成過程と色の関係について学ぶ。
10
授業計画/Class  * * * 実験グループによって 第4~13回 の順序が異なるので毎回スケジュールを確認すること * * *
液晶(1)  【対面授業】
液晶分子の合成 : コレステリック液晶の一種であるコレステリル・アセテートを合成する方法とその結果について学ぶ。
11
授業計画/Class  * * * 実験グループによって 第4~13回 の順序が異なるので毎回スケジュールを確認すること * * *
液晶(2)  【オンライン授業(オンデマンド型)】
液晶状態の観察 : コレステリック液晶を偏光顕微鏡で観察し、液晶という状態(固体や液体との違い、構造上の特徴、光学的な特性)を理解する。
12
授業計画/Class  * * * 実験グループによって 第4~13回 の順序が異なるので毎回スケジュールを確認すること * * *
水の科学(1)  【オンライン授業(オンデマンド型)】
水の電気分解 : イオン交換膜を使用して塩化ナトリウム水溶液を電気分解し、そのpHや電気伝導度を測定する方法とその結果について学ぶ。
13
授業計画/Class  * * * 実験グループによって 第4~13回 の順序が異なるので毎回スケジュールを確認すること * * *
水の科学(2)  【対面授業】
飲料水の硬度 : キレート滴定法を用いて、飲料水に含まれるカルシウムとマグネシウムを定量する方法とその結果について学ぶ。
14
授業計画/Class 補講(1)  【対面授業 または オンライン授業(オンデマンド型)】
第4~8回の実験テーマに関する学習の中から、授業時間内に実施できなかった学習をおこなう。
15
授業計画/Class 補講(2)  【対面授業 または オンライン授業(オンデマンド型)】
第9~13回の実験テーマに関する学習の中から、授業時間内に実施できなかった学習をおこなう。
 
事前学習/Preparation (1) CoursePower からテキストとレポート作成用ワークシートをダウンロード・印刷する。
(2) 実験ノートに実験方法の予習を用意する。
事後学習/Reviewing (1) 実験ノートの記録に基づいてレポートを作成する。
(2) 期限までに実験ノート(その回の予習と記録に使用したページ)とレポートを提出する。
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method ハイブリッド型ブレンド形式 / hybrid blend
補足事項/Supplementary notesこの科目は対面授業(ハイブリッド型ブレンド形式)でおこなわれる。

第1回(ガイダンス)、第2回(安全指導)、第3回(レポート指導)の3回は、全員が対面授業を受講する。ただし、第2回と第3回の順序は「実験グループ」によって異なるのでスケジュールを確認すること。
第2回または第3回の「レポート指導」の受講に必要な課題が、第1回(ガイダンス)のより前(金曜クラス:9/19(木)  月曜クラス:9/22(日))に出題される。必ず期限(金曜クラス:9/25(水)  月曜クラス:9/28(土))までに提出すること。
第2回または第3回の「レポート指導」は「実験グループ」ごとに教室に分かれて受講する。「実験グループ」については第1回(ガイダンス)において説明する。
第4~13回は、毎回、この実験テーマのうちのいずれか1テーマを受講する。各人の受講スケジュール(どの回にどのテーマの実験をおこなうか、また、対面/オンライン のどちらで実験をおこなうか)については、第1回ガイダンスにおいて説明する。
第14~15回については、第1回ガイダンスにおいて説明する。
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 レポート Report 100% 全10回の実験ごとに毎回作成・提出する次の (1)(2) を評価する。
 (1) 実験ノート
 (2) 実験レポート
それぞれの提出方法や提出期限については、第1回ガイダンスの説明にしたがうこと。
教科書/Textbooks
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1 CoursePower に提示されるテキスト(2024年度後期版)を使用する。実験テーマや課題が毎回少しずつ異なるため、必ず自分の CoursePOwer に提示されるテキストを使用すること。2023年度以前のテキストや前期のテキスト、他人のテキストは使用できない。
参考書/Reference books
 コメント
Comments
 
1 化学基礎実験テキスト(2024年度後期版:CoursePower に提示される)に記載
メッセージ/Message
今年度の化学基礎実験は、実験室でおこなう少人数制の「対面実験」と、通常教室でおこなう「オンライン実験」とを併用する形式で開講します。
対面実験では、自分自身の手を動かして実験操作をおこない、自分自身の目や耳をフル活用して結果を観察してください。実験ノートを見ながら実験操作を行い、実際におこなった実験操作を実験ノートに記録します。また、観察した結果や測定した結果も実験ノートに記録しましょう。
オンライン実験では、自分自身の手を動かして実験操作をおこなうことはできません。ですが、実験操作以外の部分は、対面実験と変わりません。オンライン教材を視聴しながら、おこなわれた実験操作を実験ノートに記録します。対面実験と同じように、自分自身の目や耳をフル活用して結果を観察し、観察や測定の結果を実験ノートに記録しましょう。オンライン教材には、皆さんが実験室で実験をおこなったら観察できたであろうことや、もしかすると一度きりの実験では見逃してしまったかも知れないことが、すべて記録されています。それをよく観察して、必要なら何度でも見直して、気づいたことや見つけ出したものを実験ノートに記録してください。
おこなった実験の内容を適切に記録すること、これは理工学部のどの学科の人にとっても、2年生以降に履修する専門実験や4年生でおこなう卒業研究において要求される基本的な能力です。この能力を1年生のうちに身につけられるように、毎回の実験ノート作成に取り組んでください。実験後には報告書(レポート)も作成・提出してもらいますが、化学基礎実験では実験ノートを重視して、皆さんの取り組みを評価します。
対面実験では、そのテーマの担当教員から実験ノートの作成について指導を受けられます。オンライン実験は、授業当日の4・5限に指定の教室で受講してください。毎回指定の時間帯に質問受付があり、実験ノートの作成についてアドバイスももらえます。また、火曜と木曜の午後に「オフィスアワー」も予定しています。PCやスマホを使って直接質問ができるので、活用してください。

その他/Others
(1) 対面実験の回もオンライン実験の回も、実験の受講には実験ノートを持参すること。
(2) 対面実験(コンピュータ・シミュレーションを除く)の回には、実験ノートの外に、白衣、名札、保護メガネ、不織布マスクを必ず用意すること。
キーワード/Keywords
化学         実験     理工学基礎実験