講義内容詳細:グローバルエコノミー

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年度/Academic Year 2022
授業科目名/Course Title (Japanese) グローバルエコノミー
英文科目名/Course Title (English) Global New Economy
学期/Semester 前期 単位/Credits 2
教員名/Instructor (Japanese) 鈴木 明彦
英文氏名/Instructor (English) SUZUKI Akihiko

講義概要/Course description
グローバルエコノミーと言われても、何のことだかよくわからないかもしれない。しかし、新型コロナウイルスの感染が世界に広がったことは、グローバルエコノミーの一つの表れだ。
世界経済は、貿易や投資はもちろん、情報、金、ヒトなどさまざまな面で結びつきを強めてきた。それが経済のグローバル化、すなわちグローバルエコノミーだ。学生時代に留学する人が増えていることも、グローバルエコノミーの表れと言えるだろう。同時に、人やモノの移動が盛んになると、伝染病が世界で流行するリスクが高まる。
今回のコロナショックだけではなく、グローバルエコノミーの進展は経済成長にとってマイナスではないかという考え方も広がっている。また、グローバルエコノミーが、国、企業、個人などさまざまなレベルで格差を広げる原因になるとの見方もある。
反グローバル化、保護主義などという言葉を耳にすることが多くなったのはこのためだ。新型コロナウイルスの感染が広がったことにより、人の移動が途絶えてしまった今の状況は、グローバルエコノミーの流れの逆流と考えられる。
さらに、米国と中国の対立だけではなく、さまざまな国と国との対立が激しくなることは、たとえ戦争に至らなくても、グローバルエコノミーの流れを阻害する要因になるのは間違いない。
グローバル化が正しいのか、間違っているのか、さまざまな意見があるだろう。新型コロナウイルスの感染の広がりや激しさを増す米中対立を受けて、グローバルエコノミーの流れは反転するという意見もでてきた。しかし、江戸時代の鎖国のように世界に背を向けて生きていくことは現実的ではない。
理工学系の大学院生にとってもグローバルエコノミーを理解することが重要であることは間違いない。常日頃から、新聞、雑誌、テレビ、インターネットなどさまざまなツールから情報を得ることが、グローバルエコノミーを理解する第一歩だ。同時にそうした情報を鵜呑みにするのではなく、自分の座標軸で整理しながら受け止められるようにすることが望ましい。本講義では、そのために必要な、基本的な知識や考え方を整理して説明していく。
達成目標/Course objectives
本講義は、グローバルエコノミーにかかわるさまざまなトピックスを考えていくことで、世界で何が起きているのかしっかり理解できるようになることを目指している。
履修条件(事前に履修しておくことが望ましい科目など)/Prerequisite
経済理論のバックグラウンドは必要ないが、さまざま情報を興味をもって吸収し、グローバルエコノミーに関する感性を磨いていこうという意欲を持っていることが必須。
授業計画/Lecture plan
1
授業計画/Class ・グローバルエコノミーとは何か:伝染病の流行とグローバルエコノミー
事前学習/Preparation ・「グローバルエコノミー」という言葉から何を連想するか
・なぜ、本講義を受けようと思ったか。本講義で何を知りたいと思うか

事後学習/Reviewing ・新型コロナウイルスの感染拡大は、グローバルエコノミー(経済のグローバル化)の流れを止めてしまうのか
2
授業計画/Class 第二次世界大戦後のグローバル化の進展:自由貿易の推進と経済成長
事前学習/Preparation ・GDP、IMF、GATT、WTO、自由貿易、とは何か?
事後学習/Reviewing ・「自由貿易が広がると世界が豊かになる」というのは本当か、考えてみよう
3
授業計画/Class グローバルエコノミー化に反対する勢力の広がり:なぜ保護主義は広がるのか
事前学習/Preparation ・トランプ氏は大統領時代に「米国に支払われた関税は、製品のコストにほとんど影響を与えておらず、ほとんどが中国が負担してきた」とつぶやいた。この発言は正しいか、それとも間違っているか。また、なぜそう思うか。
事後学習/Reviewing ・自由貿易に賛成か、反対か。またなぜそう考えるのか
4
授業計画/Class 高齢化しても活力がある米国経済:内向き志向は米国の伝統?
事前学習/Preparation ・アメリカはなぜ「アメリカ」と呼ばれるのか?
・アメリカ大陸に住んでいた先住民がなぜ「インディアン(インドの人)と呼ばれたのか
事後学習/Reviewing ・トランプ大統領からバイデン大統領に代わっても、米中間の高関税が続くのはなぜか?
5
授業計画/Class EU統合のエネルギーが後退する欧州:東西、南北で深まる分断
事前学習/Preparation ・どこからどこまでがヨーロッパか?
・「ヨーロッパ」の語源は何か?
事後学習/Reviewing ・欧州の国々はなぜ統合しようとしたのか
・EUはこれからどうなるのか? このまま分断が激しくなるのか、それともまた統合を深めていくのか?
6
授業計画/Class 減速しても存在感が高まる中国経済:大国から強国への道を歩む
事前学習/Preparation ・一人っ子政策、一帯一路、中国製造2025、中等先進国、共同富裕とは何か?
事後学習/Reviewing ・中国は米国を抜いて世界第一位の経済大国になれるか?
・「自由と民主主義が守られていないと、経済成長は続かない」という主張についてどう思うか
・「韜光養晦(とうこうようかい)と「戦狼(せんろう)外交」という言葉の意味を調べてみよう
7
授業計画/Class アジアNIEsとASEAN経済:中所得国の罠を抜ける国と抜けない国
事前学習/Preparation ・アジアNIEsとはどの国・地域を指すのか。ASEAN10カ国とはどこの国を指すか。
・「中所得国の罠」とは何か
事後学習/Reviewing ・米国と中国の対立が続く中で、香港や台湾はこれからどうなると思うか
8
授業計画/Class グローバルエコノミーに参入したインド:将来性が注目されるインド
事前学習/Preparation ・インドの人口は何人? 言語はいくつ? インド人はみんなターバンを巻いているのか? 
・インドで一番多いのはヒンズー教徒、では2番目は?
事後学習/Reviewing インドは第二の中国(経済大国)になれると思うか?
9
授業計画/Class エマージング国の動向:ASEAN各国を概観する
事前学習/Preparation ・CIS(独立国家共同体)とはどういう国々か
・サブサハラとはどういう国々か
事後学習/Reviewing ・ASEAN10カ国のそれぞれの特徴と米中対立のはざまにあっての立ち位置を整理してみよう
10
授業計画/Class FTAとEPA:自由化の行き詰まりを打開する地域貿易協定
事前学習/Preparation ・FTA、EPA、TPP、RCEP、太平洋同盟、とは何か
事後学習/Reviewing ・インドはなぜRCEPに参加しなかったのか
・日本政府は米国のTPP復帰を期待しているが、中国と台湾が相次いでTPP参加を正式に申請してきた。日本はどう対応したらよいと思うか
11
授業計画/Class 為替と経済:強い国の通貨は強い
事前学習/Preparation ・1ドル=100円と1ドル=110円では、どちらが円高?
・1970年代初めまで続いた固定相場で、1ドルは何円だったか
事後学習/Reviewing ・「円安になると輸出が増える」というのは本当か。「円安になると株価が上がる」という主張についてどう思うか
・日本の物価目標はなぜ欧米と同じ2%なのか。購買力平価説に基づいて考えてみよう
12
授業計画/Class エネルギー資源と産油国:エネルギー問題から見えてくるグローバルエコノミー
事前学習/Preparation ・OPEC、シェールオイル、WTI、ブレント、スンナ派、シーア派とは何か
事後学習/Reviewing ・米国とイランはなぜ仲が悪いのか
13
授業計画/Class 日本のグローバルエコノミーの歩み:稲作伝来から江戸の鎖国まで
事前学習/Preparation ・以下の事柄は本当か?
①神戸港を開港したのは平清盛
②徳川家康には外国人の家来がいた
③ガリバー旅行記の話の中で、主人公のガリバーは鎖国時代の日本に来ている
事後学習/Reviewing ・なぜ日本は鎖国したのか。その判断は正しかったか、間違っていたか
14
授業計画/Class 日本のグローバルエコノミーの歩み:押し寄せるグローバルエコノミーの荒波
事前学習/Preparation ・大黒屋光太夫、近藤重蔵、最上徳内、間宮林蔵、高田屋嘉兵衛、はそれぞれどんな人か
事後学習/Reviewing ・なぜ、日本は世界の中で孤立し、戦争への道を歩むことになったのか
15
授業計画/Class 事前に提示したレポート課題に関連するトピックスについての討議
事前学習/Preparation ・レポート課題について自分なりに考えをまとめてくる
事後学習/Reviewing ・講義内容を踏まえ、さらに関連する情報を集め、自分の頭で整理して、レポートを作成する
授業方法/Method of instruction
区分/Type of Class 対面授業 / Classes in-person
実施形態/Class Method 通常型 / regular
補足事項/Supplementary notes・初回から対面授業の実施を予定している
・教科書は指定しない
・質問や意見など授業への積極的な参加を期待する。また、Course Powerを活用した授業への質問、事前学習・事後学習への回答も歓迎し、それに対するフィードバックもできる限り行う。質問や意見については、出来る限りその後の授業で紹介し、それに対する私の考えも併せて示していくことにする。
活用される授業方法/Teaching methods used
成績評価方法/Evaluation
1 レポート Report 100% レポートの結果で評価する
課題(試験やレポート等)に対するフィードバックの方法/Feedback methods for assignments (exams, reports, etc.)
フィードバックは行わない