講義概要/Course description
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文学/文化分析を通して、文化と言語教育の脱中心的で協同的な未来を考える。 講義形式。具体的な文献資料を共に読み進め、時に映像・マンガ・音楽も交えながら考える。講義、各人の読み取り作業と討議を通じて、文学/文化についての既存の意味をなぞる享受の態度をやめて、テクストを歴史過程のなかで分析し、創造的に意味づけられる主体へと転換を図る。主として多数者の利益のためにそぎ落とされてきた個々の声や感性に基づく文学テクスト・批評を素材とし、歴史的な布置における読解、ポスト・コロニアルな眼差し、理論を要点とする。
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達成目標/Course objectives
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文学テクストが構成し、また問いかけている「問題」を歴史的に熟考する。なかでもこの日常世界からは一見、ないものであるかのようにされた存在の声を聴き、読み出すこと――そのくり返しの中で、屈折し、微妙で、秘められつつ顕れるような表現の機微を理論的、思想的に読み解けるようにし、またみずからそれを相互性において教授できるようにする。
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学部・研究科のディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)に基づき、当該科目を履修することで身につく能力 / Abilities to be acquired by completing the course in accordance with the faculty and graduate school diploma policy (graduation certification and degree conferral)
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学部・研究科のディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)/ Undergraduate and Graduate Diploma Policy (Graduation Certification and Degree Conferral)
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授業計画/Lecture plan
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1
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授業計画/Class |
導入――文学・文化研究とは何か (4/5オンライン授業(オンデマンド型)での実施)
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2
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授業計画/Class |
〈いのち〉と文学について(宮沢賢治の童話の検討Ⅰ)
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3
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授業計画/Class |
〈いのち〉と文学について(宮沢賢治の童話の検討Ⅱ)
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4
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授業計画/Class |
テロリズムと文学について(宮沢賢治の童話の検討Ⅲ)
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5
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授業計画/Class |
ふたたび〈いのち〉と文学について(宮沢賢治の童話の検討Ⅳ)
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6
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授業計画/Class |
名づけをめぐる戦争と文化――サラという名、番号、「千と千尋の神隠し」、植民地支配、J・デリダ、石原吉郎
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7
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授業計画/Class |
言語の個別性・地域性(方言)と文学――長谷川義史訳『ちがうねん』・小田実・井上ひさし、方言札
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8
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授業計画/Class |
震災と文学1――1923.9関東大震災、「一五円五〇銭」、折口信夫「横浜からあるいて来ました・・・・・・」
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9
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授業計画/Class |
震災と文学2――大杉栄の経験、吃音の思想、美と乱調と結わえられたトンボ
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10
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授業計画/Class |
文学の理論①――V・シクロフスキー「手法としての芸術」から、「異化」について
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11
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授業計画/Class |
文学の理論②――V・シクロフスキー、「蹴りたい背中」、川端康成、芥川龍之介、メトニミーとキュビスム
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12
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授業計画/Class |
文学の理論③――「異化」と原爆、大田洋子、原民喜
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13
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授業計画/Class |
隔離されたハンセン病文学のために――優生学、隔たり、歴史無き進歩
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14
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授業計画/Class |
差別と在日(ディアスポラ)の文学――金時鐘
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15
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事前学習/Preparation |
前回までに考察された思想的課題、諸文献について各自の取り組みが継続されること。(初回のみ)既存の旧弊な知識を廃棄し、新しい世界観を柔軟に受け入れるマインドが用意ができていること。
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事後学習/Reviewing |
授業内で提示された課題について、資料の渉猟をしつづけ、思想的に繰りつづけること。 |
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授業方法/Method of instruction
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区分/Type of Class |
対面授業 / Classes in-person
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実施形態/Class Method |
ハイブリッド型ブレンド形式 / hybrid blend
補足事項/Supplementary notes本講義は基本的に対面授業で実施し(一部の回にオンライン授業を取り入れ)ます。 第二回目から数回を遠隔で受講できるオンライン授業(オンデマンド形式)にて行なう予定(コースパワーからの連絡を確認できるように必ずしておいてください)。
便宜上各回ごとの授業内容を記してあるが、毎回毎回の内容は段階的積み上げレッスン方式ではない。15回の中で思考すべきテーマはむしろ一定して、毎回もしくは時をおいて繰り返し顕れ、異なった素材、条件のもとで再考に付される。よって各回は相互に嵌入し、前回引き出された解答は新しいステージにおいて否定され、全体としての問題意識が、棄却を重ねながら、徐々に深められていくことになる(授業の理解度に照準して、一部内容を他の回に繰り入れる場合があります)。
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活用される授業方法/Teaching methods used |
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成績評価方法/Evaluation
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1 |
平常点 In-class Points
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100%
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毎回、授業時に提起された問題に対する考察レポートを課す。クライテリアは、講義内容を前提とし、きちんとした資料調査、社会的思考、理論的読解ができているか。文の巧拙をも含む。
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課題(試験やレポート等)に対するフィードバックの方法/Feedback methods for assignments (exams, reports, etc.)
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毎回大量の添削結果が提示され、それ自体が授業内での相互啓発の契機を構成する。
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教科書/Textbooks
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| コメント Comments |
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●授業資料はプリント(オンライン時はコースパワーに添付形式)で配布します。
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メッセージ/Message
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イミを調べさせ、作家の周辺を語ってお茶を濁すような文学観(教育)からは少し遠出してみたい。この半世紀以上の間、構造主義からポスト・モダンに至る深甚な議論もあって激しく変化した文学研究の世界の「いったいどこに生きていたんだ」、ということにならないように。
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その他/Others
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一部オンライン授業実施にあたり、大学の提供する Course Power を使用します。
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